2010.03.18
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子供を自然で育てる

軽井沢SOBO 代表 今野 篤

「基礎学力」「体力」「心力」の3つが、子供の育成の3本柱である。「基礎学力」があるかないかで、仕事の選択肢の幅は大きく異なるのは周知の通りである。しかし、現社会において終身雇用が崩れ、ライフスタイルが多様化するなかで、単なる学力主義では到底通用しないのは、明白なことだろう。


それでは子供の体力はいかがだろうか。【子どもの体力の現状】(子どもの体力向上ホームページ http://www.recreation.or.jp/kodomo/intro/now.html)によれば、


子どもの体力・運動能力は、昭和60年ごろから現在まで低下傾向が続いている。現在の子供の結果を、その親の世代である30年前と比較すると、ほとんどのテスト項目において、子どもの世代が親の世代を下まわっている。一方、身長、体重など子どもの体格についても同様に比較すると、逆に親の世代を上回っている。


実際に子供の体力は、昔に比べて落ちている。確かに、ひょろ長い子供をよく見かけるようになった。学力中心でない、なんらかの教育が必要ではないだろうか。

 
子供の体力をつけるには様々な方法があるが、自然での体験がなによりだと考える。だから私は、娘が小学校にあがったのを機に、一家で自然を求めて田舎に移住した。今のところ勘違いでなければ、子供たちは自然の中で、伸び伸びと育っているようである。テレビゲームが減り、外で遊ぶ時間が増えたことは、とても素晴らしいことだ。

移住までは…と思っても、多くの親が「子供に自然を体験させたい」と願っているのではないだろうか。しかし残念ながら、この国の自然に対する考え方は、あまり褒められたものではない。それが、大都市の一極集中化を招き、結果、子供が手軽に自然と接することを、年々難しくさせている。


【青少年の自然体験の実態】(内閣府共生社会「青少年育成ホームページ」 http://www8.cao.go.jp/youth/index.html)によると、驚くことに自然体験をしたことがない子供が多くいる。ほんのちょっと前までは、どこにでも里山的な自然があり、そこは子供たちの恰好のたまり場だったのに。10年前に比べ、自然体験をしたことがない子供の割合が、増えていることはやはり寂しい。

仲間が集まれば、秘密基地づくり、ザリガニ釣り、ピンポンダッシュ、草野球、ドロケイ(ケイドロ)、ケンケンパ…で盛り上げる。年上も年下もごっちゃ。いや~、どれもこれも懐かしい!


また、自然の中で子供が育つと、道徳観や正義感が生まれることもおもしろい。確かに田舎の子供は、都会の子供に比べてよく挨拶をしてくれる。ついこの間も下校途中の小学生から挨拶のシャワーを浴びた。ほとんどの子供が初対面であったが。実に気持ちの良い挨拶であった。

昨今、すぐにキレる子供が多くなったと聞くが、子供は子供なりにストレスを感じているのではないだろうか。私は仕事柄、子供と接する機会が多かったゆえに、子供事情をまじまじ見せつけられてきた。

なんとも忙しい子供が多いことだろう。週5日も6日もみっちり習い事や塾が入っており、友達と遊ぶ時間すらない子は珍しくない。自然と触れ合う時間なんて皆無に等しい。


ほんの少し前まではどんな子供でも、友達と遊ぶことにより仲間意識が芽生えたり、自然の中で遊ぶことで新しい体験をしてきた。しかし、習い事や塾のような机上のバーチャルでは、自然で体験する百分の一の感動すら味わうことはできない。

もちろん習い事を否定しているのではなく、適度で適切な習い事は推奨したい。しかし、習い事が多過ぎると、あれもこれもと子供を管理することになり、将来、自分で考えることのできない人間になってしまう恐れがある。

是非、自然の中で子供を育て、自然から多くのことを学ばせてみて欲しい。この週末は、お子さんと郊外に出かけてみてはいかがだろうか。きっと、あなたの街でも、小さな自然発見があることだろう。


この半年間この場をお借りして、子供が自然と触れ合う機会を増やすべく、あらゆる角度から自然体験の楽しさや面白さを伝えてきた。ひとりでも多くの子供が自然を通して育てば、この国の未来も少しは変わってくるのではないだろうか。

自然体験は、子供に体力をつけ、心を鍛えてくれる。
IMG_0887.JPGIMG_1092.JPGP3170019.JPG

今野 篤(こんの あつし)

軽井沢SOBO 代表
学生時代、自転車でアラスカ1,500kmを縦断。2008年、住み慣れた千葉から、大自然で子どもを育てるべく長野の軽井沢に移住。毎日がアウトドア、四人の子どもを持つ。

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