2010.01.27
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「一宿一飯の恩義」に通じる『心』

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 私の住む群馬県は、上州と言われています。この上州名物に「かかあ天下と空っ風」がというのがあります。
 群馬県は江戸中期頃から養蚕・製糸・織物業が盛んになり、これらは手先の器用な女性に大変適していたことから女性は高い賃金で雇い入れられました。そこで、家庭内で経済的収入の担い手となった女性は、男性と対等あるいはそれ以上の立場に立ったようです。その結果、必然的に男は遊び人になり、博打に走りやくざが生まれたと言われています。江戸末期には、侠客として知られる国定忠治や大前田英五郎などが誕生したわけです。

 さて、私の信条の一つに「一宿一飯の恩義」があります。その「一宿一飯」とは、博徒の世界では一度でも他人の世話になったことを一生の恩義とする風潮があったことからきています。いかに上州人でも、私はそこまで考えていませんが、「ちょっとした恩義でも忘れないように」という自戒としています。

 あるテレビ番組で、「一宿一飯の恩義」という言葉を聞きました。
 その番組は、テレビ東京で制作されている『田舎に泊まろう!』です。番組の流れとしては、「芸能人が希望する田舎に行く→突然、たずねていった家にお泊まり交渉をする→泊めてもらい、ご飯をご馳走になる→一宿一飯の恩義を果たす→お別れ」のパターンで構成されています。

 旅行が好きで、テレビの旅番組もよく見ます。この『田舎に泊まろう!』は、有名な観光地でもなく、名所・旧跡、郷土料理もほとんど出てこないのですが、何か魅力を感じます。
 それは、なぜでしょうか。
 そこで、表現させているのは、芸能人と田舎の人々との心の通った交流から生まれる温かい『人情』ではないでしょうか。その『人情』は、現代、特に都会では忘れかけているからこそ、魅力となっているように感じました。
 そして、同番組では、同時にほのぼのとした古き良き日本の原風景を映し出しているから、魅力を増幅させているのではないでしょうか。

 ただ、テレビ番組ですから、それなりの演出も入っているでしょうが、「人のあたたかさ」や「別れの涙」は、本物でしょう。たった、一宿一飯であっても、人間として感じ合える美しさをこの番組から感じます。

 まもなく、小学校では「6年生を送る会」や「卒業式」に向けての準備が始まります。
 「一宿一飯の恩義」に通じる『心』は、人間の本質の一つだと思います。こうした日本人としての心の美しさを、年度末の行事の中で培うようにしていきたいと思っています。

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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