民主党政権が発足して、そのマニフェストの推進・実施について、大きな話題になっています。そのマニフェストで示された「5つの約束」の1番目に挙げられているのが、税金の無駄遣いの根絶で、公共事業の見直し問題があります。早速、前原誠司国土交通相は、「八ツ場(やんば)ダム」(群馬県)と「川辺川ダム」(熊本県)の建設中止を表明し、我が群馬県は大きく注目されることになりました。
八ツ場ダムの建設予定地は、人口約6千人の群馬県長野原町で、国指定名勝の「吾妻渓谷」のある吾妻川です。この吾妻渓谷は、群馬県の地域カルタである上毛カルタで、「耶馬渓しのぐ 吾妻峡」と詠まれ、渓谷美と紅葉の美しさを見せてくれる名所なのです。
上毛カルタは、群馬県では大変親しまれ、年末から年始にかけては、地域子ども会が中心となり、市町村の大会から県大会まであります。
さて、八ツ場ダムの建設計画が持ち上がったのは、半世紀以上も前の昭和27年で、当時は「吾妻渓谷」の一部や800年以上の歴史を誇る「川原湯温泉」がダムに沈むことなどから、大きな反対運動が起きました。しかし、問題が長期化すると、運動に疲れた住民の中から賛成派も出始め、親族同士で賛成派と反対派に別れて争うなど、反対運動の継続が困難となり、昭和62年には現地調査を受け入れる苦渋の決断をしたという経緯がありました。
前原国交相の八ツ場ダム建設中止に対して、地元長野原町の住民の多くは今、建設中止に反対していますが、住民がダム計画の当初から建設賛成だったわけでは決してないのです。地元はダム事業に翻弄され、本当に複雑で大変な歴史があったことを、全国のみなさんに理解してほしいと思います。
八ツ場ダムは、治水や首都圏への水供給などを目的に、平成27年の完成を目指している多目的ダムです。建設場所では、道路の付け替え工事や水没する同町内の5地区住民の移転作業などが進められている「現在進行形」のダムです。八ツ場ダムは総事業費4600億円で、そのうちすでに3210億円が投入されたとされています。特に、この1年は現場周辺の風景は、大きく変わり始めました。緑の山が削られ、道路からの景色が明るく、開けたように見えますが、数年前の美しい自然の渓谷美が、コンクリートの造形物が次々に出現することで、「もう戻れないんだ」という何とも言えない感覚をもたらしいてるように感じられます。
推進派、建設中止派の双方で費用の見積もりをしていますが、いずれにしてもかなりの支出があることは間違いありません。確かに、お金の問題も大切だと思いますが、一番考えなくてはならないのは、地元住民の生活再建と環境再生ではないでしょうか。地元の大人は疲れ果て、子ども達も明るい未来を描けないのではないでしょうか。
この問題の評価は、未来に委ねることになります。今、できることは、何でしょうか。「最後の立ち止まるチャンス」と考えてみたらがいかがでしょうか。そこでは、未来の評価が最大となるように、国も地元自治体も住民もメディアも、英知を傾けて考え、実行していくことが求められると考えています。
毎年、何回も八ツ場ダム建設予定地を訪れますが、今年は「八ツ場ダム問題」で大にぎわいです。普段は閑散としている八ツ場ダム広報センターである「やんば館」も、開館直後から駐車場待ちができるほどです。吾妻峡の遊歩道も観光客であふれるほどです。こうした風景には、本当に複雑な想いがします。
八ツ場ダム問題を子ども達の視点でも取り上げ、考えてみたいと思っています。未来を担う子ども達とともに。
八ツ場ダムの建設予定地は、人口約6千人の群馬県長野原町で、国指定名勝の「吾妻渓谷」のある吾妻川です。この吾妻渓谷は、群馬県の地域カルタである上毛カルタで、「耶馬渓しのぐ 吾妻峡」と詠まれ、渓谷美と紅葉の美しさを見せてくれる名所なのです。
上毛カルタは、群馬県では大変親しまれ、年末から年始にかけては、地域子ども会が中心となり、市町村の大会から県大会まであります。
さて、八ツ場ダムの建設計画が持ち上がったのは、半世紀以上も前の昭和27年で、当時は「吾妻渓谷」の一部や800年以上の歴史を誇る「川原湯温泉」がダムに沈むことなどから、大きな反対運動が起きました。しかし、問題が長期化すると、運動に疲れた住民の中から賛成派も出始め、親族同士で賛成派と反対派に別れて争うなど、反対運動の継続が困難となり、昭和62年には現地調査を受け入れる苦渋の決断をしたという経緯がありました。
前原国交相の八ツ場ダム建設中止に対して、地元長野原町の住民の多くは今、建設中止に反対していますが、住民がダム計画の当初から建設賛成だったわけでは決してないのです。地元はダム事業に翻弄され、本当に複雑で大変な歴史があったことを、全国のみなさんに理解してほしいと思います。
八ツ場ダムは、治水や首都圏への水供給などを目的に、平成27年の完成を目指している多目的ダムです。建設場所では、道路の付け替え工事や水没する同町内の5地区住民の移転作業などが進められている「現在進行形」のダムです。八ツ場ダムは総事業費4600億円で、そのうちすでに3210億円が投入されたとされています。特に、この1年は現場周辺の風景は、大きく変わり始めました。緑の山が削られ、道路からの景色が明るく、開けたように見えますが、数年前の美しい自然の渓谷美が、コンクリートの造形物が次々に出現することで、「もう戻れないんだ」という何とも言えない感覚をもたらしいてるように感じられます。
推進派、建設中止派の双方で費用の見積もりをしていますが、いずれにしてもかなりの支出があることは間違いありません。確かに、お金の問題も大切だと思いますが、一番考えなくてはならないのは、地元住民の生活再建と環境再生ではないでしょうか。地元の大人は疲れ果て、子ども達も明るい未来を描けないのではないでしょうか。
この問題の評価は、未来に委ねることになります。今、できることは、何でしょうか。「最後の立ち止まるチャンス」と考えてみたらがいかがでしょうか。そこでは、未来の評価が最大となるように、国も地元自治体も住民もメディアも、英知を傾けて考え、実行していくことが求められると考えています。
毎年、何回も八ツ場ダム建設予定地を訪れますが、今年は「八ツ場ダム問題」で大にぎわいです。普段は閑散としている八ツ場ダム広報センターである「やんば館」も、開館直後から駐車場待ちができるほどです。吾妻峡の遊歩道も観光客であふれるほどです。こうした風景には、本当に複雑な想いがします。
八ツ場ダム問題を子ども達の視点でも取り上げ、考えてみたいと思っています。未来を担う子ども達とともに。
大谷 雅昭(おおたに まさあき)
群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。
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