2009.11.06
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生徒のために何ができるか・・・

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長 安居 長敏

毎日、頭から離れることのない『学校改革プロジェクト』。順調とは言えないまでも少しずつ議論が積み上がり、形になり、着実に歩みを進めている。

しかし、それはあくまでもプロジェクトに関わっている立場だから言えることで、多くの教職員にとっては、ただ目指す方向を提示されるだけであって、「何がどこまで決まり、どうなっているのか・・・」。それこそ不安ばかりが先行するのが、今の正直な感想だと思う。

そもそも、今回のプロジェクトは全く何もないところに新しい学校を創るわけではない。『改革』の名が示す通り、これまでの清濁入り交じった学校現場にメスを入れ、過去のしがらみに揉まれつつ、見えない未来を予測し、日々の生活と並行して「必要なものは残し、不必要なものは捨てる」という作業を粛々と行っていくものだ。

全教職員が目先の我欲を捨て、より大きな目標のために全身全霊を傾ける姿勢がなければ、到底、なし得ない。

しかし、これまでの歩みを振り返ると、中長期目標でありながら職員会議の意向によって決定される場合や、短期目標でありながらオーナーの思いつきによる上意下達が見え隠れする。目標設定があるのかないのか、何となく現場が動き出したから形ができ上がったような、まさに「船頭のいない船」あるいは「全員が船頭みたいな船」という実態が浮かび上がった。

これじゃ、学校運営がうまくいくはずがない。本来必要なのは、常に相手の立場に立って考えられる人間であり、自分自身を制御し組織観を持って大局を見渡せる人物なのだ。

なのに、そういう人が現場からは・・・なかなか現れてこない。

だから苦しくなる、思うように先へ進めなくなる。そんなジレンマを抱えながらも、何とか少しずつ理解者を増やそうと話し持ちかけ、意見を聞き、改革の輪を広げようとしているのが、今一番の仕事だ。

私自身、日々の学校生活に没頭すると、ついつい見失ってしまいそうになることだが、中長期目標の設定には、現場の日常業務からの意見集約は不要だ。しかし、ついついこれをやってしまう。一方、短期目標に対しては、冷静な現状分析と正確な原因分析が要求される。

現状の良いところにプラスして加速する場合でも、現状の悪い部分を削ぎ落として修復する場合でも、それは同じこと。だからこそ、現場の意識次第でその内容は大きく明暗を分けることになる。

今回はそれでは済まされない。

今一度、全教職員が自らの心に問うてほしい。
自分は「何をするために」、いまこの学校にいるのかを。

安居 長敏(やすい ながとし)

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。

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