2009.10.07
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市民討議会 ~子どもたちのために今できること~

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 私の住む群馬県藤岡市では、藤岡青年会議所の主催で「ふじおか市民討議会」というものが9月に開かれました。「市民討議会」とは、ドイツを中心にヨーロッパで広く実施されている市民参加の手法で「プラーヌンクスツェレ(計画細胞)」を参考に、日本版にアレンジしたもので、「ふじおか市民討議会」は東京都三鷹市の事例を参考に設計されました。
 藤岡青年会議所と藤岡市のメンバーで「ふじおか市民討議会実行委員会」を構成し、討議会で検討する内容を決め、プログラムを作成しました。参加者は藤岡市から無作為に抽出された市民です。話し合いは、大テーマに沿って、小テーマごとに公平・中立な専門家からの情報提供を受け、1グループ5名の参加者だけで話し合い(ブレーンストーミングとKJ法)を行い、意見集約を行います。そして、各グループの発表を受け、参加者全員で提案された意見に対して投票を行い、提言をつくりあげるという流れになっています。

 私は「ふじおか市民討議会 まちづくり2009」の参加者決定を受け、初めて市民討議会というものに参加することになりました。
 特に、今回のテーマは「子どもたちのために今できること」ということもあり、教師として、一般市民の意識や考え方を知るチャンスと思い、期待と興味を持って参加しました。
 具体的な話し合いのテーマである小テーマは、(1)学校教育の中で、(2)地域社会の中で、(3)家庭教育の中で、(4)未来のために今何をすべきですか(総括)が挙げられ、各20分の情報提供と60分の話し合い、30分の発表・投票が行われました。
 
 無作為抽出の参加者ということで、年齢や参加意図・意欲が多様で、話し合いづらいところもありましたが、これが実情ととらえながら話し合い等を行いました。

 第1回の「学校教育の中で」で、意見集約されポイントが多かったものは「あいさつはコミュニケーションの基本」というもので、やはりあいさつから始まるべきという意見でした。もちろん、学校だけに任せるというのではなく、地域・家庭でも見直そうということでした。そのほかには、「学校と家庭で意見統一をして指導する」、「命の教育をもっとしてほしい」、「休耕田を利用した遊び場の活用」という意見にポイントが多かったです。

 第2回の「地域社会の中で」では、「コミュニケーションは日々のあいさつから」が一番で、学校教育の中でと同じになりました。つながりや地域連帯というものを見直そうという意見が出されていました。ついで、「ニートへの社会参加の手助けをする」、「大人が地域のよさを知り子どもに伝える」という意見のポイントが多かったです。

 第3回の「家庭教育の中で」では、「基本的な生活習慣を身に付けさせる」が多く、家庭教育のなすべきことをすべきという意見が多かったです。同類の意見として、親の自覚・ルールを教える・あいさつ・しつけも挙がっていました。ほかには、「家族が仲よく」、「家族の和」という意見のポイントが多かったです。

 第4回の全体総括「未来のために今何をすべきですか」では、(1)就業機会を増やす、(2)こういう会に若者の参加を促す、(3)大人が手本となる、(4)あいさつ推進と夢のある市の施策を、という意見へのポイントが多かったです。この総括では、藤岡市の現状を踏まえ、藤岡市への提言的要素を盛り込む班が多かったために、こういった結果になったようです。

 私自身、教育哲学を持って日々の教育実践を行っていますが、教育を取り巻く環境(市民の意識と実態)を実感することができ、客観的に見直すことができたように思っています。学校現場にいて、そこに集まってくる情報や行政から提供される資料だけでなく、一般市民の教育に関する様々な声を聞くことができて、社会勉強にもなりました。

 教師として、市民として、責任と自覚を持って行動をしていきたいと改めて思いました。
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大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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