2009.09.09
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教育現場にリハビリテーションを

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 2学期が始まりました。長い夏休みを経て、この2学期にどのように子ども達を育てるのか、いよいよ実践の正念場だと思います。
 しかし、現実は・・動かない子どもがいたり、すっかりお休みモードの子どもがいたりで、思うようにならないことが多いものです。
 そこで、2学期の目標を立てさせたり、係や座席を変更したりして、気持ちの切り替えをさせる工夫をします。それなりに効果はあると思いますが、なかなかペースが上がらないものです。そんな中でも、今年度は新学習指導要領の移行期間のため、教えなくてはならない学習量が多いため、どんどん授業を進めなくてはなりません。同時に、運動会の練習や学年行事などもこなさなくてはなりません。
 そうなると、教師も児童も毎日が「何となくノルマをこなす」状態で、この正念場である2学期を終えていくことになってしまいます。すると、どのようなことになるのでしょうか。
 「運動会のあの表現(ダンスや組み立て体操など)は本当にすばらしかったのに、何で(今はダメなん)だろう?」「音楽発表会ではすばらしい歌声を聞かせてくれたのに、どうしてこんなこともできないのだろうか?」というような声を、職員室でよく聞くことがあります。
 学校行事に向けての教師の本気さが子ども達にも伝わり、その時の結果はよかったかもしれません。しかし、その成果が活かされていないのです。つまり、本当の成長になっていないということなのです。では、どうしたらよいのでしょうか。

 『仕切り直し』と言う言葉を知っていると思います。元来、相撲用語で、「相撲の立ち合いで、両力士の呼吸が合わないために、もう一度仕切りをやり直すこと」です。そして、『仕切り』とは、土俵上の両力士が互いに呼吸を合わせながら立ち合いの身構えをすることです。

 つまり、前述の状態は仕切り直しをしないままに、相撲を取り始めている状態なのです。ですから、両者ともに何か変だ、これでいいのかと思いながらも、取り組んでしまっているのです。勝敗がついて、勝った(よい結果が出た)としても、その勝利を喜ぶだけで、次につながらない(本当の成長にはならない)のです。

 では、学校における『仕切り直し』とは、具体的に何なのでしょうか。
 それは、『仕切り』を具体化することだと考えています。相撲では、「土俵上の両力士が互いに呼吸を合わせながら立ち合いの身構えをすること」ですが、学級では「担任と児童が共通のめあてを持ち(呼吸を合わせ)、その目標に向かって構えをつくること」と置き換えることができます。

 教師は、児童を主導する役割があります。ですから、教師の思いや願いを語り、これからどうすればよいかという方向性を示し、こうあるべきという理想像を共有する必要があります。しかし、今どきの児童は、言葉だけではなかなかついてきません。そこで、『仕切り』を具体化するための『リハビリテーション』を行うのです。
 『リハビリテーション』とは、「医学的・心理学的な指導や機能訓練を施し、機能回復・社会復帰をはかること(広辞苑)」ですが、学校・教室において、常に『リハビリテーション』を心掛け、実践することが必要だと思います。

 本校では、2学期は8月27日の木曜日に始まり、2日で週末を迎えます。その後も毎週末は連休であり、9月には5連休もあります。
 こうした連休明けに、さあやろうと思っても心や体がついてこない、つまり、無理がある現状があります。ですから、効果的な『リハビリテーション』を取り入れ、仕切り直しとするのです。
 
 たとえば、あいさつができなかったら、あいさつをしあう「あいさつゲーム」をしたり、声が出なかったら、音読や元気の出る歌を歌ったりします。そして、できている子をほめ、雰囲気づくりをします。個別指導が必要な子もいるでしょうから、あとで話を聞いてあげます。まだ、指導ではなく、ケアですね。

 仕切りを具体化するための『リハビリテーション』を意図的計画的に仕組んで、子ども達に力をつける2学期にしたいと考えています。
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大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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