2009.08.27
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台湾のICT教育事情

栃木県河内郡上三川町立明治小学校 教諭 鷺嶋 優一

 台湾では、8月7日・8日の台風8号により8月21日現在、六百人以上の死者行方不明者が出ている様子。被害に遭われた皆様には心からお見舞い申し上げます。
 台湾というと個人的に大変親近感を覚えています。実は昨年10月に某団体の教育実態調査団の一員として1週間、台湾のICT事情を肌で感じる貴重な経験をしてきたのです。
 そこで今回は、「台湾のICT事情」と題して大変優れている点を3つ挙げながら日本の実態と比較を試みてみたいと思います。

 その1*** 情報教育機器設置状況 ***
 訪問した小中学校では、どの教室も黒板はなく、ホワイトボードでした。そこに天釣り型のプロジェクターから投影された画像が映し出され、授業に活用されていました。教科書準拠ソフトを使った授業、クラス全員が持つテレビのリモコンのような端末から回答する授業、同じくクラス全員に配付したミニパソコンを使った情報検索の授業等、かなり先端を行く使い方をしていました。
 日本もこの5月に成立した補正予算により、全国の公立学校に50インチデジタルテレビ等が入ることになりましたが、まだまだ遅れている感があります。テレビが入ってもソフトはどうするの?周辺機器は?まだまだ足りない。とりあえず秋以降に入ってくるテレビをいかに使いこなしていくかが課題です。全国の先生方、まずは使ってみましょうね!

 その2:*** 世界規模で展開する教育 ***
 小中学校は、台北市・高雄市の公立小中学校4校を訪問しました。どの学校でも学校経営に国際化を強く意識した教育を取り入れ、長期的な計画を立てていました。外国の学校とテレビ会議をしたり、故宮博物院の所蔵絵画をデジタル化したりと、そのスケールの大きさに圧倒されました。
 日本で国際的にコミュニケーションをとろうとした場合、ネックになるのはやはり「英語力」ですね。台湾の先生方は、日常生活では勿論中国語ですが、みなさん英語もかなり話せていました。どこを訪問しても「うーん、英語がペラペラだったら…」とつくづく感じました。

 その3*** ネット上のトラブルについて ***
 高雄市の小学校を訪問した際、通訳の方を通して思い切って質問をしました。
「台湾はケータイ電話のトラブルは多いですか。またそのための安全教育は行われていますか。」
校長先生は、
「あまり被害はありません。そのための教育も行っていません。」
とのこと。台湾を含め、諸外国では、ケータイのネット機能は日本ほど充実していないと聞いています。
 日本は既に、ネット上の安全教育は不可欠ですね。技術が進みすぎてしまっているような気がしますが、逆に考えれば、「ネット上の安全教育先進国」とも言えるかなと。今後諸外国のお手本となれるようなネットマナーをみなさんで作り上げていければと思います。

 余談になりますが、台湾は食べ物がとってもおいしい!日本から2時間という近さも魅力。プライベートでもう一度行ってみたいなーと思っています。

鷺嶋 優一(さぎしま ゆういち)

栃木県河内郡上三川町立明治小学校 教諭
この春、勤務校が変わりました。異動したての新鮮な気持ちをダイレクトにつづりたいと思います。そして「ICTと幸せ」についても小学校教育の視点から考えます。

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