2009.07.29
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教師の夏休み

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 未だに「先生は夏休みがあっていいですね。」という声を聞きます。20数年前、私自身もそうかもしれないと思うようなこともありました。しかし、現状はどうでしょうか。

 40日ほどある夏休み。子どもにとっては確かに、夏休みです。しかし、この期間中、休みが一日も取れない先生が身近にいます。それも、何人もいるのです。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。小学校の夏休み中の様子を、ちょっと考えてみることにしました。

 ほぼいつもの始業時間から、水泳の特別練習(水泳大会出場予定者の特訓)が始まり、続いて泳げない子のための水泳教室、それに午後はそれ以外の子ども達のプール指導で、一日中、プールは大にぎわいです。
 校内に目を向ければ、各学年学級で補習授業や鼓笛の練習が行われています。さらに、保護者との二者面談も行われています。臨海学校の打ち合わせと実施もあります。
 学期中は日々の授業準備や生徒指導・保護者対応で忙しく、教材研究や事務処理の多くは勤務外の時間や持ち帰り残業でこなしています。夏休みは、これらを勤務時間内に行うことが可能になると思います。たとえば、運動会の企画・準備、主に2学期に行われる研究授業の準備や教材づくりなどです。原案をつくり、議論してつめ、実施に向けて具体化するには、どれも膨大な時間がかかるものですが。
 一方、近頃は授業時間確保のため、授業がある日の研修会や会議が減り、その分が夏季休業中に設けられるようになっていました。したがって、公的な研修会・会議に何日も参加しなくてはならなくなっています。
 また、こうした現状がありますから、学年の教師が揃うのはお盆時期しかなく、この時期に取得されることが多い公的な夏季休暇(5日)もなかなか取れないことになってしまっています。

 以上のような学校の現状は、全国どこでも見られるのではないでしょうか。仕方がないとはいえ、もう少しどうにかできたらよいと思っています。

 夏休みとはいえ、通常より忙しいとも言える「教師の夏休み」。私自身、「教師としての研修」と「人間としての研修」をする時間も持ちたいと考えています。
 「教師としての研修」とは、教師としての専門性を高める研修です。じっくりと、自身の専門教科や学年の教材研究を進めることです。それも、個人や校内のレベルではなく、全国レベルで考えるということです。夏期休業中は、8月上旬を中心に各教科等の多様な全国研究会が開催されています。こうした研究会に参加すると、多くの刺激を受け、意欲をかき立てられます。自分の視野や考え方を拡げるチャンスにもなります。

 「人間としての研修」とは、人間としてその感性を高め、幅を拡げる研修です。例えば、芸術・美術作品や自然の事物・事象に触れることで、自分自身の感性を磨くということです。普段は写真やインターネットなどバーチャルでしか知り得なかったものを、実物を見たり実体験したりして、本物の感動を教師自身がするということです。これは、直接的にも間接的にも教育にとって大事な事だと思っています。

 こう考えると、教師の夏休みは、多種多忙を極めるものになってしまいます。しかし、教師としての生き方と人間的な生き方を追究できる時間をつくり、教師自身も成長し、次代を担う子ども達を育てるための夏休みにしたいものだと考えています。

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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