「匿名」とは?
実名を隠して知らせないこと。(広辞苑より引用)
梅雨空が続く毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
これまでに三回、校内Webページを利用する際、ハンドルネームで書き込ませたところ不適切な書き込みが多発したこと。児童会を中心に話し合って、新たなルールを決めたところ、不適切な書き込みはなくなったこと。それらの経緯をつづりました。子ども達の取り組みを見ていて、校内のような限られた範囲では、かえって匿名性は否定されていくことを学びました。
しかし、インターネットのようなグローバルな世界では、現状では、別の世界の話ですね。ご承知の通り、実名が悪用されるケースが後を立ちません。他人の名前を語るなりすましをする人や、個人を攻撃することを専門にした掲示板の存在などがネット上にあふれています。一度書き込むと、回収はもう不可能。二度と取り戻せない。
だから「匿名」なのでしょう。匿名性はネットの大きな特徴の一つです。
匿名ならば思ったことを自由に書ける。人種や言語、国境、立場、年齢など現実世界のしばりから解放され、何でも思うがままに発言できる。
ある意味、すばらしいことです。
しかし物事は功罪両面あり。問題点もまた、とてつもなく大きい。
○匿名性の罪 その1
まず、現在のネット社会は、「相手への思いやりを忘れたモラルなき世界」であるということです。これは匿名性の大きな欠点でもあります。掲示板を例に取れば、いい人のように振舞っていた人が突然怒ったような書き込みに変わることがありますね。ネットいじめはその最たる例です。
○匿名性の罪 その2
次に難しいのは、「相手への思いやりと思って書き込んだことが、逆にとられたり、誤解されたりすることが多い」ということ。これはネット上では、デジタル文字のみからの最低限の情報しか伝わらないからです。(手書き文字のように表現できるソフトも開発されていますが、まだ一般的ではない。絵文字などで補足的に文字に付随した情報を伝えることは可能ですが)
しかし「匿名」という行為はメディア上で最近始まったことではありません。ラジオを例に取って考えてみましょう。聴視者が投稿する場合、「ペンネーム」「ラジオネーム」という言い方で「匿名」が認められていました。ラジオの世界で、「匿名」が安全に利用され続けているのは、「責任ある管理者が運営している」からです。管理者が内容を取捨選択し、責任を持って取り上げているからです。
ネット上は、情報が瞬時に伝わる即時性も大きな特徴の一つ。ラジオのように、管理者が公開前に制限を加えることは難しいのです。
この匿名性の危険について、「小学校段階で体験的に学ばせる必要がある」というのが私の意見です。(中学高校ではちょっと遅いような気がします。)
・実際になりすましたり不適切な書き込みをしたら閲覧者はどう思うか。
・匿名でも実際にはどの辺りから書き込まれたかは分かってしまうのだ。
交通安全のように、危険を安全に知らせる指導が早急に望まれているのです。
それと同時に、私達はみんなで健全なネット社会を作り上げなければなりません。法整備、モラルの向上など、匿名性を悪用できない社会の実現を目指していきたいものです。
次回は、本校において行われている情報モラルの指導例を取り上げたいと思います。
日ごとに暑さが増してきています。皆様お体ご自愛ください。
実名を隠して知らせないこと。(広辞苑より引用)
梅雨空が続く毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
これまでに三回、校内Webページを利用する際、ハンドルネームで書き込ませたところ不適切な書き込みが多発したこと。児童会を中心に話し合って、新たなルールを決めたところ、不適切な書き込みはなくなったこと。それらの経緯をつづりました。子ども達の取り組みを見ていて、校内のような限られた範囲では、かえって匿名性は否定されていくことを学びました。
しかし、インターネットのようなグローバルな世界では、現状では、別の世界の話ですね。ご承知の通り、実名が悪用されるケースが後を立ちません。他人の名前を語るなりすましをする人や、個人を攻撃することを専門にした掲示板の存在などがネット上にあふれています。一度書き込むと、回収はもう不可能。二度と取り戻せない。
だから「匿名」なのでしょう。匿名性はネットの大きな特徴の一つです。
匿名ならば思ったことを自由に書ける。人種や言語、国境、立場、年齢など現実世界のしばりから解放され、何でも思うがままに発言できる。
ある意味、すばらしいことです。
しかし物事は功罪両面あり。問題点もまた、とてつもなく大きい。
○匿名性の罪 その1
まず、現在のネット社会は、「相手への思いやりを忘れたモラルなき世界」であるということです。これは匿名性の大きな欠点でもあります。掲示板を例に取れば、いい人のように振舞っていた人が突然怒ったような書き込みに変わることがありますね。ネットいじめはその最たる例です。
○匿名性の罪 その2
次に難しいのは、「相手への思いやりと思って書き込んだことが、逆にとられたり、誤解されたりすることが多い」ということ。これはネット上では、デジタル文字のみからの最低限の情報しか伝わらないからです。(手書き文字のように表現できるソフトも開発されていますが、まだ一般的ではない。絵文字などで補足的に文字に付随した情報を伝えることは可能ですが)
しかし「匿名」という行為はメディア上で最近始まったことではありません。ラジオを例に取って考えてみましょう。聴視者が投稿する場合、「ペンネーム」「ラジオネーム」という言い方で「匿名」が認められていました。ラジオの世界で、「匿名」が安全に利用され続けているのは、「責任ある管理者が運営している」からです。管理者が内容を取捨選択し、責任を持って取り上げているからです。
ネット上は、情報が瞬時に伝わる即時性も大きな特徴の一つ。ラジオのように、管理者が公開前に制限を加えることは難しいのです。
この匿名性の危険について、「小学校段階で体験的に学ばせる必要がある」というのが私の意見です。(中学高校ではちょっと遅いような気がします。)
・実際になりすましたり不適切な書き込みをしたら閲覧者はどう思うか。
・匿名でも実際にはどの辺りから書き込まれたかは分かってしまうのだ。
交通安全のように、危険を安全に知らせる指導が早急に望まれているのです。
それと同時に、私達はみんなで健全なネット社会を作り上げなければなりません。法整備、モラルの向上など、匿名性を悪用できない社会の実現を目指していきたいものです。
次回は、本校において行われている情報モラルの指導例を取り上げたいと思います。
日ごとに暑さが増してきています。皆様お体ご自愛ください。

鷺嶋 優一(さぎしま ゆういち)
栃木県河内郡上三川町立明治小学校 教諭
この春、勤務校が変わりました。異動したての新鮮な気持ちをダイレクトにつづりたいと思います。そして「ICTと幸せ」についても小学校教育の視点から考えます。
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