今年のホタル前線(ゲンジボタル発生)も北上し、まもなくゲンジボタルのシーズンは終わろうとしています。しかし、一部地域にはまだまだゲンジボタルの飛び交う様子を見ることができます。
例えば、群馬県高崎市にある榛名山榛名湖(標高1100m余り)のゲンジボタルの発生のピークは7月下旬で、夏休みに入ってから見ることができます。榛名湖の湖上花火大会とホタルを同時に見られ、湖面にホタルの光が映る風景は格別です。また、止水域の湖に発生するゲンジボタルとして、貴重な生態系をもっていると考えられています。
また、長野県山ノ内町の志賀高原・石の湯温泉の近くの岩倉沢川に発生するゲンジボタルは、成虫が5月半ばから9月中旬にまで及びます。ここは、標高1600m前後の地にありながら、川に温泉水が混入することがホタルの幼虫やその餌となるカワニナに何らの影響を及ぼし、特異な生息・生態環境をつくりだしているものと考えられています。そのため、平成20年3月には、国指定天然記念物となっています。
さて、今年も日本各地でホタル観察会やホタル鑑賞会、ホタル祭りが行われてきました。ゲンジボタルの発生を前にした5月に、次のような新聞記事が地元新聞に載りました。
(同様な記事は、毎年、同地元新聞に掲載されています。)
古里にホタルやメダカを呼び戻す活動をしている「〇〇ホタル・メダカの会」は、△△公園内の池にホタルの放流会を開き、地元の園児71名がホタルの幼虫4万5千匹を池に流した。
子供たちに自然や生き物の大切さを学んでもらおうと、毎年放流会と、6月の最終土曜日に「ほたるまつり」を行っている。
園児たちは、体長約1センチほどのヘイケボタルの幼虫の入ったコップを手に、「早く大きくなってね。」と願いを込めて、優しく流した。
(〇〇と△△には、固有名詞が入ります。)
園児の写真とともに掲載された記事を読むと、園児たちのかわいい声と仕草が想像され、とてもほほえましく思えます。幼児の頃から、小動物や自然環境に目を向ける体験は、とても大切だとも言えますね。
しかし、新聞記事の内容を注意深く読むと、大きな疑問が浮かび上がってきませんか?それは、どこでしょうか?
キーワードは、「ホタルの幼虫4万5千匹」「毎年放流会」です。ほたるまつりを行うために、池にホタルの幼虫を毎年4万5千匹も放流している、いえ、放流しなければならないということが読み取れます。つまり、人間のためのほたるまつりをするために、毎年、4万5千匹のホタルを殺しているということなのです。純真な園児たちの願いや思いを裏切る行為だと言うことに、誰も気づいていないことが問題なのです。
ホタルの復活運動をしている地域・団体の一部には、放流するホタルの幼虫の数を競っているところまであります。
生息不可能な水環境に放流されたホタルの幼虫たちは、あわてて上陸し、さなぎとなり、成虫となって飛び立つことでしょう。そして、生息不可能な水環境に卵を産まなければならない・・このホタルたちの思いを考えると、すごく悲しい気持ちになります。
そして、この事実を知らず、ホタルの幼虫たちに声をかける園児の姿もまた、やるせない思いがしました。
ホタルの光は、何度見ても不思議な感慨を抱きます。この光の背景には、実に様々な事実があるからなのでしょうか。
これからの時代の主役である子ども達には、真実を伝えなくてはいけないと改めて想いました。
例えば、群馬県高崎市にある榛名山榛名湖(標高1100m余り)のゲンジボタルの発生のピークは7月下旬で、夏休みに入ってから見ることができます。榛名湖の湖上花火大会とホタルを同時に見られ、湖面にホタルの光が映る風景は格別です。また、止水域の湖に発生するゲンジボタルとして、貴重な生態系をもっていると考えられています。
また、長野県山ノ内町の志賀高原・石の湯温泉の近くの岩倉沢川に発生するゲンジボタルは、成虫が5月半ばから9月中旬にまで及びます。ここは、標高1600m前後の地にありながら、川に温泉水が混入することがホタルの幼虫やその餌となるカワニナに何らの影響を及ぼし、特異な生息・生態環境をつくりだしているものと考えられています。そのため、平成20年3月には、国指定天然記念物となっています。
さて、今年も日本各地でホタル観察会やホタル鑑賞会、ホタル祭りが行われてきました。ゲンジボタルの発生を前にした5月に、次のような新聞記事が地元新聞に載りました。
(同様な記事は、毎年、同地元新聞に掲載されています。)
古里にホタルやメダカを呼び戻す活動をしている「〇〇ホタル・メダカの会」は、△△公園内の池にホタルの放流会を開き、地元の園児71名がホタルの幼虫4万5千匹を池に流した。
子供たちに自然や生き物の大切さを学んでもらおうと、毎年放流会と、6月の最終土曜日に「ほたるまつり」を行っている。
園児たちは、体長約1センチほどのヘイケボタルの幼虫の入ったコップを手に、「早く大きくなってね。」と願いを込めて、優しく流した。
(〇〇と△△には、固有名詞が入ります。)
園児の写真とともに掲載された記事を読むと、園児たちのかわいい声と仕草が想像され、とてもほほえましく思えます。幼児の頃から、小動物や自然環境に目を向ける体験は、とても大切だとも言えますね。
しかし、新聞記事の内容を注意深く読むと、大きな疑問が浮かび上がってきませんか?それは、どこでしょうか?
キーワードは、「ホタルの幼虫4万5千匹」「毎年放流会」です。ほたるまつりを行うために、池にホタルの幼虫を毎年4万5千匹も放流している、いえ、放流しなければならないということが読み取れます。つまり、人間のためのほたるまつりをするために、毎年、4万5千匹のホタルを殺しているということなのです。純真な園児たちの願いや思いを裏切る行為だと言うことに、誰も気づいていないことが問題なのです。
ホタルの復活運動をしている地域・団体の一部には、放流するホタルの幼虫の数を競っているところまであります。
生息不可能な水環境に放流されたホタルの幼虫たちは、あわてて上陸し、さなぎとなり、成虫となって飛び立つことでしょう。そして、生息不可能な水環境に卵を産まなければならない・・このホタルたちの思いを考えると、すごく悲しい気持ちになります。
そして、この事実を知らず、ホタルの幼虫たちに声をかける園児の姿もまた、やるせない思いがしました。
ホタルの光は、何度見ても不思議な感慨を抱きます。この光の背景には、実に様々な事実があるからなのでしょうか。
これからの時代の主役である子ども達には、真実を伝えなくてはいけないと改めて想いました。
大谷 雅昭(おおたに まさあき)
群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。
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