2009.06.03
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道徳を知らない子ども達

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 今年度、10校目の学校に異動しました。どこの学校、どの学年、どの学級を担任しても、いつも共通して驚かされるとともにがっかりすることがあります。何だと思いますか。
 それは、誰も「道徳とは、何を学ぶのか」を知らないと言うことです。
 小学校入学以来、「何をするのか」「何のために、勉強しているのか」を知らないで、「道徳だから道徳(と言われる)の授業をしていた」ということなのでしょうか。そう言って子ども達を責める前に、私たち教師は何を教えてきたのでしょうか。果たして、「道徳とは何か」「道徳は何のために勉強するのか」ということを、担任は教えてきたのでしょうか。自分自身の過去の道徳授業を反省しつつ、最近は道徳の本質を教える授業から始めています。
 新年度が始まって4日目(4月10日)に、初めての道徳がありました。担任する5年1組の児童に対して、次のような授業を行いました。

T 「道徳って何を勉強するのですか?」
C 「・・・・」
(誰も答えられず、沈黙)
T 「では、道徳を勉強してどんなことができるようになったり、どんなことに役立っていますか?」
C1「人の氣持ちを考えられるようになりました。」
C2「国語で登場人物の氣持ちがわかるようになり、テストができるようになりました。」

 38人中2人が答えてくれましたが、「これが道徳なのか」と、びっくりしてしまいました。道徳は1年生から行われていて、週1時間ですが、心を育て、その育った心を実践的行動として表現し、人間としてのあるべき姿に近づくための時間として大事なものと考えているからです。
 そこで、次のように授業を続けました。

T 「今日の道徳のテーマを書きますので、ノートに写してください。」
 (黒板に「道徳とは何か」と書きました)
T 「では、道徳を学ぶとどうなるかということを図(添付写真)に書きますので、写して考えてください。」
  (書き終わった頃)
T 「どういうことが、説明できる人は説明してください。」
  (3人の児童が手を挙げて、自分の考えを説明する)
T 「そうです。人間は誰でもよい心と悪い心を持っています。それで悩むわけですが、道徳を学ぶと、よい心がどんどん大きくなっていくのです。では、その道徳をどのように学ぶかを書いておきます(添付写真)。」
  (書いた後、説明を加え、これからの道徳の学び方とめあてを持たせました)
T 「では、『今日の学び』をノートに書いてください。」

 知らない(覚えていない)ならば、何年生であっても、きちんと教えなければ(再学習)ならないと考えています。新年度、第1時間目の道徳で、「道徳の本質」を教えることは、1年間を見通すと大変意義あるものだと思っています。
 「よい心が大きくなる」という表現は、抽象的です。その抽象度を毎時間の道徳で下げていくとともに、子ども達の道徳的実践力を高めていきたいと考えています。そのために、1年間、子ども達の実態に合わせた教材開発をしながら、力の付く道徳授業(道徳的変容の見られる)を展開していく予定でいます。皆さんは、どのような道徳授業を行っていますか。
 最後に、子どもが書いた「今日の学び」を紹介します。

A男
 ぼくは、今日のじゅ業をする前までは、道徳はなにをするのか分からず、正直、「楽だな」といつも思っていました。今日のじゅ業をして、道徳は、とても大切な事だとわかりました。
B子 
 私の学んだことは、人の気持ちや心を考えるだけでなく、表したり、めあてを立てることを学びました。だから、めあてをしっかり立てて、実行します。これからは、前の自分よりしっかりとした自分になります。
File1.jpgFile2.jpg

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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