2009.04.08
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つれづれなるままに  ~感性を磨く~

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 新しく第5期の執筆者に加えていただきました。半年間、よろしくお願いします。

 教師生活20数年。群馬県内の4市町の公立小中学校を経験し、本年度10回目の異動となりました。たとえば、同じ学校で同じ学年を担任すれば、児童理解や教科等の研究が深まるのかもしれません。私の場合、常に刺激を求めて、校種も学校も変え続けています。私のつれづれ(徒然)とは、「つくづくと物思いにふけること」(広辞苑)の専心より、あれこれといろいろなことに手や足をつっこみながら、教育や日本の在り方について考え、実践することにあるようです。そんな思いをこれから綴っていきたいと考えています。

 さて、今年は早くも暖冬傾向が顕著になってきています。3月の記録的な暖かさの中、桜の開花も早く、入学式にはすっかり葉桜になってしまった地域が多かったことでしょう。この分でいくと、近い将来、桜は入学・入社の出会いの花ではなく、卒業シーズンの別れの花となってしまうのではないかと思われます。
 過去の事実を知る大人は、「自分たちが子どもの頃は、真夏に30度と言えば猛暑だったのに、今は30度の夏と言えば、涼しいくらいだ」ということを実感し、異常さを認識しています。しかし、若い世代は40度以上の気温を毎年のように目にしているので、「真夏の40度は当たり前」という感覚になっています。つまり、異常を異常と思えない感覚を身に付けてしまっているのです。いや、身に付けさせられてしまっていると言っていいでしょう。
 たった一世代の間にこのような大きな変化は、人類史上、かつてなかった異常と言ってよいでしょう。景気が後退し、100年に一度の不況とも言われていますが、この経済状況が異常さを加速させている原因の一つだと思っています。つまり、「危機的な地球温暖化より目先の生活が大事」という流れが、大きな潮流となっているということです。大人はこの仕組みが分かっていての行動とも言えますから、景気が回復さえすれば、環境に目を向けることも可能だと思います。しかし、若年世代にとって地球温暖化は、ある意味で恒常化してしまっていますから、景気に関係なく常に目先の生活優先の生活をおくってしまう可能性があります。
 そういう意味からも、児童生徒に対する環境教育は最重要課題だと言えます。しかし、学校現場においては、総合的な学習の時間の衰退とともに、環境教育への取り組みは減少する傾向にあります。環境に対する正しい知識や態度を教えることは大切です。それだけでは不十分で、それ以上に大切なことは、環境に対する構えを「日常化すること」だと考えています。構えと言っても、大上段に構えるのではなく、意識化するということです。「ちょボラ」(ちょっとしたボランティア)ならぬ、「ちょエコ」(ちょっとしたエコ活動)ができるということです。私は「ちょエコ」を提唱し、具体的な活動を勤務校や「こどもエコクラブ」を通して行っています。
 そのような中で、主体的な「ちょエコ」のために、ベースとして何が必要かを考えてきましたが、「感性を磨く」ということに尽きると思っています。ちょっとした変化に気付く感性を身に付け、その感覚を高めることが重要だと考えるようになってきました。この役割を学校教育全体で担っていけば、これから日本・世界を支える世代に生きる力と生きる目的を与えるのではないかと思っています。
 現代の子ども達の感覚は鈍っていたり、ずれていたりしている場合があります。教師はそれを修正しつつ、子ども達が本来持っている新鮮な感性を引き出すとともに、一緒に学ぶことで教師もまた成長していかなければならないと思っています。

 私が異動した小学校の近くには、日本の殖産興業の象徴であった富岡製糸場(世界遺産暫定登録)があり、上州(群馬)一ノ宮と言われる貫前神社もあります。私はこの小学校の子ども達とともに、地域のよさに学び、子ども達の感性を伸ばし、自分自身を成長させていきたいと思っています。

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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