2009.03.04
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学級騒動記(8) ナウシカに恋して

埼玉県朝霞市立朝霞第十小学校 教諭 北川 誠

かつて命すら自由に作り替えた巨大産業文明は「火の七日間」と呼ばれた世界大戦で崩壊した。100年後、セラミック片などでおおわれた大地は、「腐海」とかし、人間がそこに入ったら5分もしないうちに肺が腐って死んでしまう恐ろしい森が誕生してしまったのだ。人々は腐海を焼き尽くそうと何度も試してみたが、そのたびに腐海の主ともいうべき「王蟲(オーム)」が全てを破壊し、どこまでも暴走し、やがて飢餓で命尽き、その死骸からは胞子が生えてまた腐海となってしまうのだ。そんな恐ろしき時代に、海より吹く風のせいでかろうじて瘴気から守られている「風の谷」という人口500人たらずの平和な村があった。風車で地下水を汲み上げ、田畑に供給している風の谷。そして族長の娘で少女でありながら少年のような凛々しさを持つナウシカが、飛ぶ愛機「メーヴェ」を乗りこなし、どうにか腐海を浄化された大地にもどす。 (ジブリPAGE ストーリー紹介より)

 これは私がスタジオ・ジブリ製作長編アニメーション映画の最高傑作だと思う『風の谷のナウシカ』です。もうこの作品が世に出てから四半世紀経ちますが、私にはまるで古さを感じられません。明らかに、この25年で、現実に地球とそれを取り巻く人間の環境は、確実にこの映画が描いている方向に悪化しています。公開当時二酸化炭素の温室効果というのは、ここまでひどいことになるとはさすがに予想不可能でした。

 5年生のこの時期の学習は社会科でも総合的な学習でも「地球の環境問題」を取り上げます。そこでやや担任の個人的思い入れのあるこの作品をクラスの子どもたちと一緒に鑑賞しました。改めて教師の視点でこの映画を見直すと 確固たる主テーマ(環境問題、反戦の訴え)がしっかりとありながらも、できるだけ抽象的な表現に持って言って、色々な深読みが可能となるような仕上げをしている点にとても驚かされました。

 初めてこの映画を観た子どもたちはとてつもなく優しく・強く・勇敢で凛々しい主人公ナウシカにすっかり夢中になってしまったようでした。映画で描かれているテーマを1度ですべてを理解するなんてとても無理。でも、何も深読みせずに素直に見ていても十分楽しめる作品ではあります。担任とクラスメイトとこの映画を観たという共有体験をいつまでも忘れないでいて欲しいと思いました。

※写真は子どもたちが書いたイラストと新聞です。
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北川 誠(きたがわ まこと)

埼玉県朝霞市立朝霞第十小学校 教諭
「駄洒落」を立派な日本の文化・言葉の見立てと考え、子どもたちからは「先生 寒~い」と言われてもめげず連発してます。モットーは「花には水を人にはユーモアを」。

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