2009.01.07
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ブックレビュー 感じない子ども、こころを扱えない大人

埼玉県朝霞市立朝霞第十小学校 教諭 北川 誠

保護者とどのような形でコミニュケーションを取っていけばいいのか、12月には個人面談があったため、あまり連絡事項に時間を取らず、何か工夫した懇談会を考えてみました。 そして集まっていただいた保護者に私が最近、書店でタイトルにひかれて買った本の紹介とその本の中にある簡単な演習をやってみました。
その本とは
『感じない子ども こころを扱えない大人』
http://www.amazon.co.jp/gp/search?ie=UTF8&keywords=%E6%84%9F%E3%81%98%E3%81%AA%E3%81%84%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%20%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8D%E3%82%92%E6%89%B1%E3%81%88%E3%81%AA%E3%81%84%E5%A4%A7%E4%BA%BA&tag=manabinoba-22&index=blended&linkCode=ur2&camp=247&creative=1211
心理カウンセラーの袰岩 奈々 (ほろいわ なな)さんの著です。

 なぜこの本を選んだかというと"気持ちを聞く"とか"大切にする"とはどういうことなのか。 "感情"の本質的なことがわかりやすく、実践的に書いてあり、自分の気持ちに気づき、言葉にするためのトレーニングとして練習問題もあって、多くの保護者にも読んでほしいと思ったからです。

 いろいろなテーマがあるのですが、小さい頃から今の子どもたちは、感情をじっくり味わうことができず、その対処方法を学ぶ時期に、大人からすぐに「正-誤」のみで返されることが多いのではないか?
 「しっかりしなさい」「そんなことをしてはだめ」「そんなことを考えちゃいけない」といった言葉で抑え込まれ、子どもの中にわき起こっている(特にネガティブな)怒り、落ち込み、嫉妬といった感情の正体がわからないまま放置されてしまっているのではないか?
 このようにただ抑え込み、無視する事が繰り返されるようになると、感情は「ジャマなもの」「意味のないもの」「抑えるべきもの」として子どもの中から締め出されてしまうのではないか? という筆者の意見が一番印象に残りました。

 このように考えてみると学級崩壊や衝撃的な少年事件が起こる一因に、子どもたちや保護者の“感情トラブルをどう解決するかがわからなくなっている”ことも関係しているのではないか、という気がしないでもない。

 大人も子どもも「感情」を上手く扱えなくなっていることは何となく感じていたことだがそれに目を向けないで放っておくと、自分の気持ちがわからなくなり、ネガティブな気持ちは自分の内側で自分をむしばむことになるという警鐘も鳴らしているのです。

また機会があったら詳しく述べてみたいと思います。

※写真中と下:ただいま「ごはんとみそ汁」家庭科調理実習中です。
BOOK.jpgFile2.jpgP100003.jpg

北川 誠(きたがわ まこと)

埼玉県朝霞市立朝霞第十小学校 教諭
「駄洒落」を立派な日本の文化・言葉の見立てと考え、子どもたちからは「先生 寒~い」と言われてもめげず連発してます。モットーは「花には水を人にはユーモアを」。

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