私がこのコラムを担当する最終回となりました。今までにも、似たようなことを書いてきましたが、最後にもう一度、私の先生方への思いを書いておきたいと思います。
私が6年生のクラスを持ったとき、子どもたちにこんなクイズを出していました。
「光を当てる方向を変えると、円の影、正方形の影、三角形の影ができる形はどんな形か考えてみよう。」
実際に作ってもよいし、わかるように絵に描いてもよいことにするのですが、これを正解できる子は、クラスで2、3人だったと記憶しています。大人でも簡単な問題ではないでしょう。
子どもたちは3つどころか、もっと何通りもの面を持っているはずです。それらをきちんと見ることのできる目を持っていることは教師として絶対に必要なことです。心に余裕がないときほど、ひとつの面しか見られなくなるのが人間です。 一休さんではありませんが、そんな時ほど心を休めたり、一歩引いて広い視野でものを見ることが大切なのではないでしょうか。一面しか見られない目は、真に大切なことを見逃してしまうかもしれません。
以前、このコラムで「教師は尊敬される存在でなくてはならない。」と書きました。これは、自分の行いによって、自然に子どもや保護者に尊敬の気持ちを持ってもらうという意味であって、自分が偉いのだと思うことではありません。しかし、そのように見えてしまう先生が決して少なくないのも事実です。例えば家庭訪問で訪問先の家に上がるとき、
「では、お邪魔させていただきます。お忙しい中、申し訳ありません。」
などの挨拶は、私は当たり前のことだと思っていたのですが、それに対して保護者から
「そんなことを言ってくれた先生は初めてです。当然という顔で上がってくる先生ばかりでしたから。」
と言われたことが何度もありました。確かに、ベテランの先生方の中には保護者に対して傲慢とも思える話し方をする人がいます。きっと、本人はそれに気づいてはいないのだと思いますが、それらのことが教師に対する不信感を生んでいるのです。教師は自分のすることに自信を持つことは大切ですが、その一方で謙虚でなくてはならないと私は考えます。自信を持って進んでいるときは、ひとつの面しか見ていない危険性があります。しかし、謙虚さを併せ持っていれば、いくつもの面が見えるはずだからです。
今、教育界には様々な問題があり、社会の目も厳しいものになっています。まさに教師受難といえる時代です。しかし、それを嘆いてばかりでは前へ進めません。未来を作る子どもたちを育てる大切な役割の多くを教師は担っています。教師という仕事に誇りを持ち、謙虚に子どもたちと向き合える先生が、どんどん増えてくれることを心から願っています。そして、私はいつまでも先生方の応援を続けていきたいと思います。
私が6年生のクラスを持ったとき、子どもたちにこんなクイズを出していました。
「光を当てる方向を変えると、円の影、正方形の影、三角形の影ができる形はどんな形か考えてみよう。」
実際に作ってもよいし、わかるように絵に描いてもよいことにするのですが、これを正解できる子は、クラスで2、3人だったと記憶しています。大人でも簡単な問題ではないでしょう。
子どもたちは3つどころか、もっと何通りもの面を持っているはずです。それらをきちんと見ることのできる目を持っていることは教師として絶対に必要なことです。心に余裕がないときほど、ひとつの面しか見られなくなるのが人間です。 一休さんではありませんが、そんな時ほど心を休めたり、一歩引いて広い視野でものを見ることが大切なのではないでしょうか。一面しか見られない目は、真に大切なことを見逃してしまうかもしれません。
以前、このコラムで「教師は尊敬される存在でなくてはならない。」と書きました。これは、自分の行いによって、自然に子どもや保護者に尊敬の気持ちを持ってもらうという意味であって、自分が偉いのだと思うことではありません。しかし、そのように見えてしまう先生が決して少なくないのも事実です。例えば家庭訪問で訪問先の家に上がるとき、
「では、お邪魔させていただきます。お忙しい中、申し訳ありません。」
などの挨拶は、私は当たり前のことだと思っていたのですが、それに対して保護者から
「そんなことを言ってくれた先生は初めてです。当然という顔で上がってくる先生ばかりでしたから。」
と言われたことが何度もありました。確かに、ベテランの先生方の中には保護者に対して傲慢とも思える話し方をする人がいます。きっと、本人はそれに気づいてはいないのだと思いますが、それらのことが教師に対する不信感を生んでいるのです。教師は自分のすることに自信を持つことは大切ですが、その一方で謙虚でなくてはならないと私は考えます。自信を持って進んでいるときは、ひとつの面しか見ていない危険性があります。しかし、謙虚さを併せ持っていれば、いくつもの面が見えるはずだからです。
今、教育界には様々な問題があり、社会の目も厳しいものになっています。まさに教師受難といえる時代です。しかし、それを嘆いてばかりでは前へ進めません。未来を作る子どもたちを育てる大切な役割の多くを教師は担っています。教師という仕事に誇りを持ち、謙虚に子どもたちと向き合える先生が、どんどん増えてくれることを心から願っています。そして、私はいつまでも先生方の応援を続けていきたいと思います。
高柳 新(たかやなぎ はじめ)
欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー
四半世紀の小学校教師経験と小学生卓球チーム指導者として全国大会の出場経験。そして現在は、学校を外から見ることのできる立場を生かし、現場の先生方を応援したいですね。
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