2008.08.26
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オリンピック選手の小学生時代は…

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー 高柳 新

今回の北京オリンピックは、スポーツの素晴らしさを再認識させてくれました。日本選手の活躍は嬉しいものですが、その一方で、私はあることを考えてしまうのです。

 卓球の女子で頑張った福原愛選手や平野早矢香選手などは小学校の低学年の時(愛ちゃんに関しては4歳)から、よく知っています。実際に私のチームの子が対戦したこともあるし、彼女らの練習相手を務めたこともあります。二人とも本人はもちろんですが、親御さんたちはこの時代から自分の娘を一流選手にするために、あらゆる努力をしていました。言い方を変えれば、そのために障害になることは、すべて切り捨てていたように感じました。

 個人競技でオリンピックに出場するような選手は、子どものころから英才教育を受けている場合がほとんどです。そして子どものときから、練習、試合などを最優先する生活をしてきています。私は卓球の選手のことしかわかりませんが、全国大会に出場するような子どもは、林間学校や運動会などに参加していない場合が多いのです。練習や試合がある夏休みや日曜日に行われる学校行事には参加しないのですね。

 ずいぶん前の話ですが、京都に『世界チャンピオン育成』を掲げた卓球塾がありました。その塾は、小学生にも毎日5時間、午後7時から12時まで練習をさせていて、練習に通っていた子どもが学校で居眠りなどをしていたため、まわりから「行き過ぎではないか。」という声が上がりました。しかし、そこの塾長は
「保護者や子どもが納得してやっているのになにが悪いのか。中国では、このくらいはあたりまえのことだ。」と反論していました。

 私が実際に知っている例では、放課後、クラスでの活動をしている子どもを迎えに行って、
「なんで放課後まで残すんだ。うちの子は練習があるんだ。」
と先生を怒鳴りつけた親がいたそうです。(この親は、自慢げに仲間の親にこの話をしていました。)
 もちろん、選手を目指す全ての子がそうではありませんが、上記の例のような子どもがクラスにいたら、担任とすれば、疑問に感じることは間違いないでしょう。

 私は日本人選手には活躍してほしいし、各競技で素晴らしい選手が生まれてきてほしいと心から願っています。ただ、それに向けた英才教育は日本の学校教育の現場(とくに小学校)では、難しい問題があるのも事実です。これに関連して、次回は私が小学生の卓球チームを持っていたときのことを書きたいと思います。

高柳 新(たかやなぎ はじめ)

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー
四半世紀の小学校教師経験と小学生卓球チーム指導者として全国大会の出場経験。そして現在は、学校を外から見ることのできる立場を生かし、現場の先生方を応援したいですね。

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