2008.06.17
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教師というプロとして

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー 高柳 新

 知り合いの、あるお母さんが言っていた言葉。
「うちの子どもの担任の先生、新任なのよね。一所懸命なのはわかるんだけど、授業がよくわからないって子どもが言うの。塾に行かせた方がいいかしら。」
 もちろん、若い先生だけに限ったことではありませんが、教師の世代交代が進み、若い先生が急激に増えている今、上の例と似たようなことは、決して少なくないことだと思います。私は中学2年生の時、ある数学の先生の授業がよくわからず、
「自分だったら、もっと上手く教えられる。」
と思った経験があり、そのことが教師になった一因でもあります。

 学校の教師は『教える』ことのプロフェッショナルであるはずです。実際に学校の現場では色々な仕事があるわけですが、プロとしての教師を成り立たせているのは、『教える』能力が一般の人たちより優れていることなのだと思います。
 子どもたちとは格段に違う知識量を持ち、、それを上手に教える技術を持っている。そして、子どもたちに『知る喜び』と『わかる喜び』を毎回のように与えることができる。それがプロの教師であり、そうなれば子どもたちからも尊敬されることができるでしょう。子どもたちは、きちんとわかる勉強を教えてくれる先生を求めているし、それを見抜く目も持っています。もちろん、どんな優秀な人間でも最初からそれができるわけではなく、多くの経験が必要です。しかし、少なくとも教師であるならば、それを目指すための最大限の努力はすべきことでしょう。
 何年か前、若い先生と一緒に、塾の先生と教育について話し合う機会がありました。塾の先生の『教えるテクニック』の話を聞いたとき、一緒にいた若い先生は、
「さすがに、教えるプロは違いますねぇ。」
と私に言ったのです。私はこの言葉を聞いたとき、その先生のプロ意識のなさにがっかりしました。自分も教えるプロであるという自覚が感じられなかったからです。
 これからの教育を担う若い先生方には、プロの教師である自覚を持って、努力を続けて欲しいですね。

 実はこの『プロ意識』が、私が教師を退職する要因ともなりました。次回からはその話を書こうと思います。

高柳 新(たかやなぎ はじめ)

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー
四半世紀の小学校教師経験と小学生卓球チーム指導者として全国大会の出場経験。そして現在は、学校を外から見ることのできる立場を生かし、現場の先生方を応援したいですね。

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