2019.05.16
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フレネ学校見学記(2)

フランスのニース郊外にあるヴァンス。その町の郊外に、フレネ学校という学校があるのをご存知ですか? 前回に続いての紹介ですが、今回は幼児クラスについて書きたいと思います。

お茶の水女子大学附属小学校 教諭 本田 祐吾

新学期から1か月が過ぎました。今年は、長いゴールデンウィークとなりましたが、私のクラスはびっくりするくらい、落ち着いて始まりました。そうしたクラスの生活の様子については、後々として、今回も前回に続きフレネ学校について紹介したいと思います。

今回のフレネ学校訪問で、いちばん時間をかけて参観したのは、幼児クラスでした。その幼児クラスも、朝は登校するとすぐ、それぞれが自分のしたいことであそび始めます。写真で紹介できないのが残念ですが(子どもが写っているので)、教室に入ると奥に小部屋が二つあり、一つは小さい子の寝る部屋、もう一つはみんなが集まって話し合いをする部屋です。その話し合いをする部屋には、おままごとの道具もあります。

子どもたちは、その小部屋でおままごとをする子、教室でお絵かきをする子、料理の材料(この日はお誕生会があり、そこで食べるおやつを作っていました)を出して準備をする子、外であそぶ子など様々です。こうしたあそび=活動に取り組む前に、子どもたちは教室の一角にある黒板に向かいます。

この黒板は、子どもたちが取り組むもの・場所が一覧になっていて、子どもたちがこれからやりたいと思うところに自分のマークを書き、それからあそび始めます。こうした小さい頃から、することを自分で決め、それを表す場面があるのです。もちろん、他の子のやっていることに魅力を感じ、移っていくこともありますが、小さい頃から自分のすることを決める経験が、後に生きてくるのです。

フレネ学校では、小学生になると計画表を使って自分の学習計画を立て、それぞれが自分のペースで学習を進めます。ある子は言葉の学習、ある子は算数の学習などというように、皆が同じことをするのではなく、それぞれが自身の学習を進めていく。自分が何をしたいかを自覚的に選択するということは、主体的な学びの第一歩であるともいえるのではないかと思います。

この訪問中に、幼児クラスの子どものコンフェランス(自由研究)の発表を参観する機会もありました。その子は、親がお医者さんで、よく家でもお仕事の話を聞いていたらしく、人の体について発表をしていました。発表に使う視覚的な資料は、当然ながら親が作ったものであるようでしたが、お医者さんの格好をしながら、誇らしげに自分の発表をしていたのが印象的でした。内容的には、やや幼児には難しいものでしたが、家でも発表の練習をしたのでしょう、しっかりと話していたこと、それを聞き手の子どもたちも良く聞いていたことも含め、日常のサークルでの経験が生きていること、またこの時期の子どもたちは少々背伸びをしたことでも、自分のしたいことであるからこそ、あそびとの切れ目がないのだなと感じました。この、あそび=学びの関係性は、小学校でもとても大切にしていきたいことだなと感じますし、実践していて実感することでもあります。

このように、あそびながら学び、学びながらあそぶ、そして就学前教育で身につけている力を見取り、それを出発点にした低学年の生活を作っていきたいですね。

本田 祐吾(ほんだ ゆうご)

お茶の水女子大学附属小学校 教諭
ここ数年は、主として低学年を担当し、就学前教育からのボトムアップを大切にした幼小接続期の研究に取り組んでいます。フレネ教育やイエナプラン教育を参考に、その知見を生かして、個別と協働・プロジェクト型の学習を作っています。子どもたち自身の手で学びや生活を創る中で、教師がどのようにあるべきかを模索しています。

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