2016.09.01
  • x
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

リアルセッションに参加した!

岐阜県可児工業高等学校 電気システム科 教諭 河合 英光

何の事だかわからないと思います。
実は4月から8週間のオンライン授業を受講していました。
これは、「gacco The Japan Mooc」で公開されていた「インタラクティブ・ティーチング~聞くだけの授業は終わりにしよう~」というオンライン授業です。

MOOC(ムーク)とは「Massive Open Online Course またはMassive Open Online Coursesは、インターネット上で誰もが無料で受講できる大規模な開かれた講義のことである。代表的なプラットフォームとしては「Coursera」「edX」や、日本版としてはJMOOCが提供する「gacco」「OUJ MOOC」があり、条件を満たせば修了証が交付される。」(Wikipedia)

この「インタラクティブ・ティーチング」の目的と到達目標は
目的
・インタラクティブな学びを促す教育のための知識・スキル・工夫を修得する
到達目標
・アクティブ・ラーニングとは何かを説明できる
・多様なグループ・ワーク(ジグソー法、ポスター・ツアーなど)の特徴と実施方法を説明できる
・学びを深める授業をデザインできる
・コースの目的と目標を適切に設定できる
・コースの評価の意義を理解し、適切に活用できる
・ポートフォリオの特徴を知り、キャリアパスを考えるツールとして活用できる他
となります。
そして、この講座には東京大学での3日間の「リアルセッション(対面授業)」が設定されていました。

私は、この「リアルセッション」に参加してきました。

ここで、この教育つれづれ日誌で執筆されている前川修一先生にお礼を申し上げます。そもそも、この「インタラクティブ・ティーチング」を知ったのは、前川先生の日誌に書かれていたインタラクティブ・ティーチングの日誌を読んだことがきっかけでした。前川先生のこの熱い日誌を読み私も挑戦してみようという気持ちが芽生えました。
このオンライン授業及びリアルセッションの内容は、前川先生が詳しく書かれているので私の日誌では書きません。(前川先生の日誌をご覧ください。)
しかし、この「インタラクティブ・ティーチング」は今回の4期をもって終了となります。とても残念でなりません。もっと早く知っていれば、もっと早く体験していれば、身近のやる気のある若い先生方にも同じ体験をしてほしかったと本当に思います。
講師である中原先生の言葉を借りれば、「これまで日本では『教える』ことを教える、文化がなさすぎた。そのことがいかに日本の社会に損をもたらしているか」「この講座をはじめるとき、出資者に呼びかけたのは、ともに『世直し』をしよう!ということだった」まさにその通りだと感じました。私自身が教育の世界に入ってから、生徒たちにどのように『教える』ということを、教わった記憶があまりありません。約30年間で教育委員会や周りの先輩方からきちんと教えてもらったことはありませんでした。(尊敬する先輩教師からはアドバイスや助言、テクニックは教わりましたが、本質的なことはわからないままでした。)
この歳になって、京都大学の西岡先生や東京大学の栗田先生、中原先生から本当の意味で『教える』ということを学んだ気がします。今度は私が後輩の先生方に『教える』ということを伝えていかなければいけないと考えています。それが、私のこれからの目的になります。

そして、今まさにこの「教える」ということを学ばなければいけない時代に入ってきていると感じています。次期学習指導要領から教員の研修が義務付けられるそうです。授業ではアクティブラーニングやルーブリック、パフォーマンス評価、ポートフォリオを行わなければならない時代になってきています。今授業をしている私たちはこれらの授業や評価を受けたことがありません。経験がないのです。経験がないことはできないということです。料理をほとんどした経験のない私は、適量とか少々とか弱火とか塩コショウで味を整えると言われても、よくわかりません。我々教員は経験したことがない指導方法をこれから利用していかなければなりません。しかし、この指導方法や評価方法は強力なアイテムです。私はアクティブラーニングを体験し、ルーブリック、パフォーマンス評価を実践してそれを実感しました。それでもなお経験が足りないのです。自分の力となるのはまだまだ先になりそうです。

自分が成長するためには

これを読んでいるあなたは教員生活何年目でしょうか?(教員ではないかも?)これから私たちは新しい事を学んでいかなければなりません。ただ、アクティブラーニングなどは経験的にすでに実践されている先生も多くいらっしゃいます。とはいえ多くの先生方は自分が経験してきた授業は、ほぼ一方的な教授方法だったのではないでしょうか。文部科学省の研究指定でアクティブラーニングを実践している学校は全国にあります。果たして継続していくことができるのでしょうか?人には現状維持システムが備わっています。いつもと違うことを続けようとすると、それを元に戻そうとする力が働いてしまうのです。それが三日坊主です。では、三日坊主で終わらない人はどんな人なのでしょうか?なぜ、三日坊主で終わらずに継続することができるのでしょうか?それは、目的の明確さだと思います。それを達成しようとする本気度の違いだと思います。であれば、研究指定を受けて実践した学校の職員全体の本気度がその後の継続性に影響すると思います。これってもし継続できたらすごいことだと思います。多くはやらされている人が多いように思います。(かなり偏見が入ってるかな?)そうだとすると継続していくことは困難だと思います。では、どうすればいいのでしょうか?新しい事を始めるのは怖いことだと思います。だって、どうなるかわからないんですから。アクティブラーニング等新しい指導方法を行うとなると不安になってしまいます。勇気をもって実践してもうまくいかなかったらこの方法は使えないって思いたいですよね。でも、初めてやることなんだから初めから上手くいくわけがないんです。失敗してなんぼです!この不安の扉を開けることが成長なんだと思います。昨日と同じ今日を過ごして、今日と同じ明日を過ごしたら不安はないけど成長もないと思います。今より成長するために、毎日不安の扉を開けませんか?今回リアルセッションに参加するにあたり、不安なことばかりでした。6分間の模擬授業をみんなの前でするのなんて、プロ教師としてどんな目で見られるんだろうか?うまくいかなかったら恥ずかしい!いろいろな事を考えましたが、自分の成長のために扉を開けることができたと思っています。このリアルセッションで、みんなからもらったフィードバックを生かすように、これからも努力していきたいと思います。

フィードバックとそれ以外の助言の違い

フィードバック…物事への反応や結果をみて、改良・調整を加えること。客観的・主観的事実を伝えるだけ。
それ以外の助言
忠告…相手のために行ってあげること。
批判…相手が間違っていることを指摘すること。
評価…それに対して良い、悪いを決めること。
非難…いかにそれがダメなことかを言いくるめること。
強制…行動を命令すること。
上記の5つの助言では、人は素直に修正しようという気持ちがなかなか起きない。だって、言っている相手が自分より上の立場から言っているから素直に聞けないんです。
例えば、家を出るときに服を着替えて出てこうとしていた時に、妻からこんなことを言われた。
「その服装では、恥ずかしいから着替えたほうがいいよ」…忠告
「その服装は、季節に合わないから着替えるべきだ」…批判
「その服装は、ダサいから着替えてよ」…評価
「その服装は、○○だし、□□に見えるし、××だから着替えて!」…非難
「その服装着替えなさい!」…強制
うまい例ではないと思いますが、実際その服装ではない方がいいとしても素直に聞けない気がしませんか?
私たち教員は、この5つの助言が多いように思います。生徒を指導した先生方がよく言う言葉に「あれだけ指導したのに、ちっとも変わってない。」というような内容があります。フィードバック以外の言葉で相手に伝えると、なかなか相手に伝わらないものです。(かといってフィードバックしたら伝わるとも限りませんが…)
どのような言葉で、生徒は同僚に伝えるかは重要なことだと思いませんか?

終わりに

なんだか話がごちゃごちゃになってしまいました。今年の夏休みはかなり忙しくて、この「教育つれづれ日誌」を期限ぎりぎりに書いているため、とりとめのない話になってしまいました。
次回は、構成を練って執筆したいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

河合 英光(かわい ひでみつ)

岐阜県立可児工業高等学校 電気システム科 教諭
「生徒の成長のために我々は何ができるか」を最近よく考えています。そのための方法として「逆向き設計」論を実践しています。京都大学 E.Forum所属

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop