2012.06.29
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気付きを誘う「ほねホネクイズ」

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

スケルトン7

 4年生の理科では、「動物のからだのつくりと運動」という単元の学習を始めました。この単元は、昨年度から追加された新単元で、そのねらいは「人や他の動物の体の動きを観察したり資料を活用したりして、骨や筋肉の動きを調べ、人の体のつくりと運動とのかかわりについての考えをもつことができるようにする。」です。

 この学習指導要領に示される内容の中で、「考えをもつことができるようにする」とともに、興味を持って楽しく学習できるように、次のような展開をしました。

 まず、音楽集会で歌っている「手のひらを太陽に」を歌いながら、自分の手の形をノートに写しました。そして、その手をもう一方の手で触りながら、骨の様子を想像して書き込みました。「指は曲がる」ということをキーワードに、骨の様子を描かせました。細長い骨や丸い骨の組み合わせを考えて描いていましたが、手のひらの骨の様子はどう描くか悩んでいるようでした。全員が描き上がったところで、ノートを机の上に開いて置き、友だちのを見て回り、自分の想像と比べてみました。

 次に、学習への関心を高めるために、骨に関するクイズ「ほねホネクイズ」を行いました。子どもたちは、クイズ好きですから、「クイズ」とつけるだけで盛り上がりました。
 第1問は、「手の骨は何個あるか」というものです。子どもたちの解答は、5個が1人、6~10個が3人、11~15個が4人、16~20個が9人で一番多く、21~25個が5人でした。正解は27個ですから、子どもたちは意外な多さに驚いているようでした。
 第2問は、「子どもの骨の数は何個か」というもので、手の骨の数を参考に考えさせました。すると、100個以下が2人、101~133個が2人、134~166個が4人、200~233個が3人、300~333個が1人、334~366個が1人、400~433個が1人、500~599個が2人、1000個が5人で一番多かったです。正解は350個でしたが、何と正解者が1人いました。驚きの拍手が起こりました。
 第3問は、「大人の骨の数は何個か」という問題です。子どもの骨の数を参考に考えましたが、「大人の骨は子どもより多い」と考えた子が多く、少ないと考えた子はいませんでした。正解は206個ですが、成長が終わると骨が合体して少なくなるということを教えました。
 第4問は、「一番大きな骨はどこか」という問題です。子どもたちは、自分の体を触りながら考えていました。その結果、頭が15人、胸が3人、おなか・背中・おしり・腰と答えた子がそれぞれ1人でした。正解は大たい骨ですので、これも正解者はいませんでした。(子どもには、太ももの骨と言いました。)
 第5問は、子どもたちが大きい骨と考えた「頭の骨は何個か」という問題です。2~5個が13人、6~9個が2人、10~14個が4人、15~19個が1人、20~25個が1人でした。正解は23個でしたが、20個と書いて惜しくも外れた子が1人いました。
 第6問の最終問題は、「人間には、しっぽの骨があるかないか」です。子どもたちの解答は、あるが17人、ないが5人に分かれました。そこで、
「正解は、自分の体で詳しく調べましょう。」
と言いました。すると、
「わかりません。」
「あります。」
という混乱した答えが返ってきました。そこで、各チームに人体骨格を配って見てもらうことにしました。今度は、
「あった、あった。」
という声があちこちから聞こえてきました。
 そこで、人体骨格を見て気づたことをノートに書いてもらいました。5分ほどの時間でしたが、多い子は14個も書いていました。何人かのよい気づきを紹介します。

・A子さん:骨を触るといろいろな動きができてすごかった。人間にもしっぽがあるんだなと思った。背骨がごつごつしていた。目の場所が広かった。
・B男くん:背骨のような骨が、首からおしりのへんまで続いている。胸のへんに細い骨がいっぱいある。背骨がぎざぎざしている。おしりのへんの骨が意外に大きかった。指の骨がとても長い。心臓のへんは細い骨で囲まれている。
・Cさん:おなかの骨がない。おしりの骨の所が、おむつみたいな形になっている。頭に血管みたいな線が通っている。肩の方の骨がおもしろい形になっている。手の骨や足の骨がいっぱいある。
・D子さん:背骨は魚の骨みたい。胸の骨はくねくねしている。おなかには、あまり骨がない。首の骨は背骨の骨とつながっている。目には何も入っていない。
・E子さん:背中の部分の骨が、何本も細いのがくっついている。腕の下のへんが、二本つながっている。首の骨が太い。おなかには、骨がない。

 骨格をよく見て、自分なりの表現で書いている様子でした。なかなかいい気づきがあり、「骨はどんな役割をしているか」という学習にもつながるものです。
 実物ではありませんが、こうした普段は見られない模型に触れるだけで、多くの気づきや本質的なことに気づけるのは立派だと思いました。

 この学習が終わった後で、「骨と筋肉の働き」に気付かせるために、「スケルトン7」を出現(写真)させました。これにより、また、楽しい学習が展開されていきました。 

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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