2001.12.16
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「ゲーミングって何?」ゲーミング勉強会に参加者多数! 日本シミュレーション&ゲーミング学会副会長 市川 新氏

「ゲーミングって何?」「どこかで聞いたことはあるけどどんなもの?」「ゲームとは違うの?」そんな疑問を持った社会人ら21名が集まり、日本シミュレーション&ゲーミング学会の副会長である市川 新氏をファシリテーター(進行役)に迎えて「ゲーミングによるゲーミング勉強会」が開催された。果たして、ゲーミングとは?

■ ゲーミング初心者21名が参加

10月6日(土)港区の生涯学習センターにおいて、「ゲーミングによるゲーミング勉強会」が行われた。日本シミュレーション&ゲーミング学会の副会長である市川 新氏(流通経済大教授)をファシリテーター(進行役)に迎え、会社員を中心に学校の教員、大学院生など当初の定員16名を超える21人が参加した。
ゲーミングとは、知的ゲームのことで、ゲーム形式でプレーヤー(参加者)の気づきを掘り起こすというもの。ゲーミングでの主役はプレーヤー自身であり、ファシリテーターは先生のように教えるのではなく、ゲーミングについての準備や説明など、プレーヤーが実践する手助けを行うのみである。
今回の勉強会は、ゲーミングを経験してみたい有志により実現した自主的な勉強会で、市川氏が既に行っている普及活動のひとつとして行われた。参加者のほとんどが「ゲーミング」と言う言葉を初めて聞いたか、聞いたことはあるがどんなものかわからないので、ぜひ経験してみたいという人たちで構成され、緊張した空気の中で始まった。

■ ゲーミング導入/プロファイルゲーム

既成概念を打破し、柔軟思考で見抜く力を養うことを目標としている。参加者の自己紹介を含んだもので、約1時間のゲームの間に参加者全員の名前と顔とプロフィールを結びつけることを行った。この勉強会で初対面という参加者がほとんどであるのに、21名がこのゲームにより互いに打ち解け、なごやかな雰囲気を作り出すことが出来たことに驚かされる。こういうゲームをアイスブレーキングゲームとも言うそうだが、確かに、心の準備ができた。

■ ゲーミングの演習/紙ヒコーキゲーム

このゲームは、英国でデザインされたモデルを市川氏とともに普及活動中の中村美枝子氏(流通経済大教授、現在ミシガン大学でゲーミング研究中)が日本語訳にしたものである。個々が異なる機能を分担し、組織を運営しながら全体効率を目指すことを目標としている。実際に紙ヒコーキを手作業で作る紙ヒコーキ会社を運営し、経営計画の立案から製造・販売までを実践する。チーム内で作業を分担し、自分の役割、チーム全体の流れを考え、いかに効率よく作業を行うか戦略を考えるのだが始めは手順がわからずどのチームも戸惑う様子が見られた。仕組みがわかると次々とアイデアを出し合い、高品質なものを作り、効率を上げていくかチーム内で討論することができた。参加者は15分という時間制限の中、汗をかきながらゲームに真剣に取り組んだ。3チームに分かれて対戦し、各チーム全く異なる結果が得られた。

■ ゲーミングの省察対話/対面ディブリーフィング

演習空間の体験を組織・集団での自己改革に結びつけることを目標としている。他チームで同じ役割だったもの同士で、また同じチームの仲間とで先の演習(紙ヒコーキゲーム)の戦略会議の内容から実践中のこと、実践後の結果などについて話し合った。次にチームごとに演習結果についての発表を行い、最後はひとりずつ、今回のゲーミングの場での気づきを将来的にどう活かしたいかを発表し、終了となった。同じチーム内で目標を達成させるためにいろいろな意見を聞きながら戦略としてまとめ実践すること、また、他チームとそれぞれの役割に対する考え方や各チームの戦略を話し合うことは大変勉強になった。

■ ゲーミングの未来対話/遠隔ディブリーフィング

勉強会当日のメニューは対面ディブリーフィングまでである。この遠隔ディブリーフィングは、ゲーミングを行った時と異なる時間・異なる場所でゲームに参加したメンバーが実践する。これはバーチャルチームワークの確立を経験し、それを実践するためのリスクとノウハウを共有することを目標としている。市川氏はweb上で期間限定の電子会議室を公開し、遠隔ディブリーフィングの実践研究を行う場を設定した。ここには勉強会参加者の中から希望者が後日、参加できるようになっており、3つの電子会議室において活発な意見のやり取りがなされた。

■ 勉強会を終えて・・・

ゲーミングの意義は、ゲームで演習することだけではなく、演習後のディブリーフィング(省察対話及び未来対話)によって各自が経験を共有し、ゲームの全体を構築し、現実社会に再挑戦することである。例えば、電子会議室上では、ゲーム中の自分がどうだったかということや、仕事でのチームワークについて考え直したこと、子育ての視点に変化を感じることができたこと、そもそもゲーミングとは?などゲーミング自体の話題や参加者のこれからについてが語られた。多くの参加者がゲーミングによって、今まで見過ごしていたことに気づくなど、新しい経験から新しい知的行動に繋がることを実感した。

■ これからのゲーミング

ゲーミングはその目標とする内容によって様々なゲームがあり、アレンジを行うことが可能である。今回のゲーミングデザインはゲーミング一連の過程をはっきりさせるために、全体の流れをフレーム構造にして進行するように設定されていた。
ゲーミングの醍醐味は知的好奇心の刺激、白熱した議論の展開、現実社会に対する再認識、新しいアイデアの発想などにある。ゲーミングということばを初めて聞いた方、また、少しでも興味を持った方はぜひ経験してみていただきたい。きっと新しい何かに気づくことだろう。

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