2003.02.18
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「教育者のためのコーチング研究会」参加リポート!!

学びの場.comの読者が「特派員」となって教育の現場を取材する「特派員リポート」。第2回目は、西村悦子特派員の第2弾。今話題の「コーチングスキル」の勉強会についてリポートします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■コーチングとの出会い

 コーチングという言葉をご存知でしょうか。コーチングとは、「目標達成にむけて、相手の自発的な行動を促すコミュニケーションの技術」です。目標達成にむけて、最短の時間で成果が上がるよう継続的にサポートしていく双方向のコミュニケーションです。(教育者のためのコーチング研究会資料より)
私は中学生の子どもがいますが、「子供のよさを伸ばしたい、子供の本音を聞きたい、子供にはやりたいことをやってほしい、やりたいことをはやくみつけて欲しい」との思いは強く、どうすればいいの? はずっと抱えていた課題でした。相手の話を黙って聞く、承認する、質問するというこのコーチングスキルは、子どもとの会話がめっきり少なくなる中学生を持つ親にとって、一つのヒントになるのではないでしょうか。

 私は、足立区江南中学校でPTAの副会長をしていますが、他のお母さんにもコーチングスキルを知ってもらい、子供と向かい合えたらいいだろうなと思ったのがきっかけで、PTAの「家庭教育学級」でコーチングスキルの勉強会をすることにしたのです。

■足立区江南中PTA「家庭教育学級 -子供の潜在能力を引き出す会話とは-」の取組

 PTA役員で講師を招き、「21世紀の社会が望む人間像」の勉強会を行いました。社会は「人手」から「人材」を必要とするようになっている。子供を「人手」ではなく「人材」にするには、自分で考え行動できる子に育てること。まさしく「生きる力」を持った子を育てることだという共通認識をもってこの勉強会はスタートしました。子供のやる気をひきだし、潜在能力をひきだすには、親は何ができるのか?ということをテーマに掲げ、5回にわたり「家庭教育学級 コーチング」に取り組みました。

 1回目は講演、ここで社会の求める人間像を共通理解し、2~5回の都合4回で、聞く・承認する・質問するというスキルを学んでいきました。
やり方はいたって簡単。参加者がペアを組んで「聞いてもらう」「承認してもらう」体験を繰り返し行い、聞いてもらえた、承認された体験をたくさんしていくという方法をとりました。「聞く」「承認する」スキルを、子供やご主人または勤務先でためしてみるというのを次回までの宿題にして、次回にやってみてどうだったかを話してもらうということを繰り返し行いました。回を重ねるごとに参加者の表情が生き生きしてきて、子供との会話が増えた、子供から話しかけてくるようになった、細かいことにイライラしなくなった、夫と会話が増えた、職場の雰囲気が明るくなったといったうれしい感想をもらって終了しました。

■「教育者のためのコーチング研究会」開催

 2003年1月25日(土)14:00から中野サンプラザ8F会議室において、「教育者のためのコーチング研究会」が行われ、そこで江南中の取組が報告されました。コーチングを学ばれている方たちの中には、教育関係者も多く、その方たちが集まってこのスキルを教育現場で活かせないかと独自に研究会をつくっています。中学校のPTA組織の中でコーチングが取り入れられたのは、江南中がはじめてだったようで、多くのコーチの方々が協力してくださり、教育の現場に取り入れる一つのモデルとして確立されたようです。
今回の研究発表では、子供チーム、大人チームでの取組の報告がありました。

 子供チームでは、「みんながイキイキとスクールライフを送るためのアンケート」調査の結果報告があり、子供たちは話を聞いてもらいたいと思っているということがはっきりとあらわれていました。そして、親や先生に言われてやる気が出た言葉、やる気がなくなった言葉という実例が資料として配られ、やる気がなくなった言葉の項目のところには、親として日常的に使っている言葉がたくさんあり、恥ずかしい思いをしてしまいました。また、中学生と大学生におこなったコーチングの具体例が発表され、どちらもコーチングの成果があらわれたことが報告されました。

 大人チームは、家庭教育学級に参加されたお母さんたちへの事後アンケートの結果を中心に報告されました。
この研究報告会には全国から教育関係者らが集まり、熱心に報告に耳をかたむけ、後半行われたコミュニケーションスキル体験では大いに盛り上がりをみせていました。

 二人一組になり、Aさんは「話す人」、Bさんは「話を聞かない人」という役回りで、聞かれないとどんな気持ちになるのかをそれぞれが体験し、「話す人」「話を聞く人」に立場をかえて、ちゃんと聞いてもらうとどんな気持ちになるのかを体験しました。

■生きる力を育む

 子供が生まれながらに持っている、「生きる力」を引き出すために、コーチングのコミュニケーションが大いに活用されるといいなと感じるとともに、全国から集まってきた教育関係者の皆さんをみていて、教育に関わる人たちの熱意を大いに感じ頼もしく思いました。

(取材・執筆/学びの場.com読者特派員 西村悦子さん)


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