2008.05.13
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アレルギー対応と親  “自分でやりますから”

東京都 栄養教諭 宮鍋 和子

「あ~、○○ちゃん。手をかけてもらえてないのよ・・・」

今年赴任された先生から、子どものアレルギー対応について聞かれたときの事。その子の家庭事情を良く知る先生があきれ気味に教えてくださいました。

「1年生のときに、給食後、体中にジンマ疹が出たのでお迎えをお願いすると、お手伝いさんが迎えにきた。」
「翌日、様子を聞くと、医者に行くわけでもなく、手持ちの薬を塗って、我慢していたとのこと。」
「ご両親ともお医者さんなのに、朝ごはんは食べさせないし、汚れた服もそのまま着させてくる。」
「子どものことはあまり手をかけていないよう。学校から連絡をとっても、あまり関心がない返事だったときいている。」
 とのこと。

「今は、ご飯の面倒はおねえちゃんがみてくれているみたい。」
「えっ!お手伝いさんが作ってくれているんじゃないの?」
 またまた、みんなでショック。


本校では、保護者からの申し出(医師の診断書または指示書を添付)があれば、できる限り除去食をつくって子どもに給食を提供するようにしています。
この児童は、「魚をたべるとジンマシンが出来るから」といって、給食に切り身の魚や小魚などがでると、自分でよけて食べていたそうです。それでも、これまでに数度、ジンマシンが出たといっては保健室のお世話にもなっていたようですが、「うちの子が自分でよけて食べますから」と、前任の先生にも給食の対応を希望しなかったそうです。新しい担任になってもなんの情報も伝えてはくれませんでした。全担任は他校に異動してしまっており、細かいこどもの様子の引継ぎも間に合わなかったようです。

保護者からの届出がない以上、勝手なこともできず、しばらくは様子見の状態に。実は、同じような子どもがもう一人。やはり、「自分でやりますから」の一言で、主食が全く食べられなくてもまったく関心無し!! 体育の授業や6時間目まである日には、かえって私達が心配に。

 「食べる」ということにあまり関心がない人が増えているように思います。
「食べないなら食べないでいいんじゃない」
「サプリもあるし、別にいいよ」
「食べる時間がもったいない」

「食欲」は、生きていくための最低限の「生きる力」です。大人の身勝手な都合で子どもの「食」の機会を奪わないでほしい!

学校の責任、親の責任。しかし、そこにいる子どもは一人。
一人ひとりの子ども達が心も体もいきいきと育ってくれるように、どう働きかけをしていったらよいものか・・・
まずは、いろいろなところにアンテナを張って、情報収集をしなくてはいけないようです。

写真上:こどもの日メニュー
(中華ちまき・もやしの南蛮ソース・卵とわかめのスープ)
   :630個のちまきを作りました
   :給食準備の様子
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宮鍋 和子(みやなべ かずこ)

東京都 栄養教諭
定時制高校、聾学校(高・専)、中学校と勤務し、2007年春より小学校に勤務することになりました。学校給食を通して、子どもたちと一緒に、成長できたらと思います。

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