2008.05.07
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

優しさに触れて…

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

3週間ばかり声が出ません。高熱とセキが止まらず、「まさか今はやりの百日咳か?」と恐る恐る病院に行き検査。結果はただの風邪とのこと。しかしこれが治らないのです。症状がでて5日目あたりから声が出なくなってしまいました。

この仕事、声が出ないと色々と困ることが多いですね。まず第一に授業ができない。ちょっと無理して声出すとたちまちむせてしまい、教壇の上でうずくまることもしばしば。その結果、ほとんど黒板を使った「筆談」となってしまいます。

第二に電話・校内放送など音声だけの場合、相手に意図せぬ恐怖感を与えてしまうこと。外部の方との電話は極力控えてます。校内放送ですが、先日どうしても放送しなければいけないことがありまして、マイクの前で声を絞り出したのですが、これがエクソシストのような不気味なもので、校内はおろか、風にのりエコーのおまけまでついてご近所に響きわたってしまいました。

第三に、まだ私のことをほとんど知らないピカピカの新入生に校内で挨拶されて、こちらも超ハスキーなしゃがれ声で、返すと、大抵は顔をしかめられます。この声がスタンダードだと思われているんでしょうね・・・。

普段、元気過ぎて私の言うことをなかなか聞かない担任しているクラスの生徒たち30人。「担任の先生」が声を失ったことによって状況が変わりました。騒がしい朝の始まりも、「パンパン」と私が2回手をたたくだけでシーンと静まります。たまに空気が読めてないのもいますが、そんな場合も「もう先生、来とるよ!」と生徒同士のフォロー。みんな、優しいのです!!連絡事項の伝達も私の代わりに組長(私の学校の場合、学級委員のことを組長と呼びます)が全部やってくれます。こんなに担任をいたわる気持ちがあったとは!!

「野村先生は声が出ない」ということが私のクラスからまたたく間に学校中に広がり、今では校内すれ違う様々な生徒から「声大丈夫ですか?」「まだ出ないの?」「無理せんで休んだらどうですか?」と声をかけられる人気者になってしまいました(笑)。

私の学校の建学の精神は「愛と奉仕、感謝」。元々心の優しい生徒が多く、それがスクールアイデンティティになっています。ただ、普段の生活の中で教育・指導していると色々ありますので、私たち教師は生徒本来の持つ「気立てのよさ・優しさ」を見てやるゆとりがなくなってしまうこともあるのですね。しかし声を失ったことによって、生徒たちの優しさに触れることができました。ただ、生徒たちは私のこの病弱キャラを楽しんでいる節もありますが、それでもいいじゃないのかな?と思っています。

でもそろそろ治って欲しいです・・・。

野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop