2008.03.22
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インターネットと上手に付き合おう

株式会社オーグメント 代表取締役 渡辺 俊雄

のっけから唐突な話の切り出し方で恐縮ですが、日本は、発祥の地アメリカを除けば、イギリスに次いで世界で2番目にインターネットを使い出した国だということをご存知でしたか? イギリスのドメイン名である“.uk”がインターネット上の管理データベースに登録されたのが1985年7月24日。対して、日本のドメイン名である“.jp”は1986年8月5日です。どこが3番目かは正直知らないのですが、お隣の韓国“.kr”は1986年9月29日、フランス“.fr”は1986年9月2日、ドイツ“.de”は1986年11月5日といった感じになります(僅かな差なのかもしれませんけど)。(^^)

しかし、そうした記録からたどっても、日本におけるインターネットの歴史は、やっと22年目に突入したばかり(より厳密には、1984年に始まった「JUNET」と呼ばれる学術ネットワークがありましたが、ここでは触れません)。世界的にインターネットが普及を始めたと言われる1995年を基準とすると、せいぜい「やっと13年目」といった程度です。実際に、いまのように多くの人々がインターネットを使い出したのはもう少しあとですから、それを加味するともっと短くなるでしょう。

このように、インターネットは始まって間もないサービスなのですが、その利用範囲はものすごい勢いで広がっています。ここで“います”と書いたのは、こうして話している間にも新しいサービスが開発され、その利用者が出現しているという事実があるからですが、このダイナミックさがインターネットを発展させ続けている原動力のひとつです。

さて、そのようにして発展し続けるインターネットですが、便利さの反面でいろいろな問題も抱えるようになりました。このブログでも何度か書きましたが、誹謗中傷や詐欺といった負の面が取り上げられることが多くなってきています。このことは非常に残念でなりません。

個人的な意見ですが、こうした問題を回避するのに一番有効な手段は、実は子供といろいろな話を数多くすることだと思っています。たとえば、学校裏サイトのようなところで心無い悪口を書くということがどういう結果を生み出すのかとか、匿名というのはどこまで自分自身を(本当に)秘匿できるのかとか、顔も見たことがない相手を信じられる心理とか、甘い言葉やうまい話を信じてはいけない理由など、いろいろ話題はあるはずです。

心無い悪口を書いてしまう背景には、自分自身の感情が人の痛みや常識に優先してしまうとか、そもそもコミニケーション能力が不足しているといったことが関係しています。また、社会経験が少ない子ほど自分の意見に同調してくれたり誉めてくれる人に心を開きやすいとか、本当にうまい話は他人には話さないものだといったことは、社会経験豊富な大人からすれば難しい話ではないと思えます。もちろん、そうした話をするための事前の情報収集をしておいたほうがより良いとかいうことはありますが、どちらかというと子供に対して問いかけを行い、自分の頭で考えさせることを繰り返すことが大切です。

インターネット上で提供される様々なサービスは、しょせんは道具に過ぎません。両端には必ず人がいて、その人々がコミュニケーションをしたり自己表現をするためにその道具を使っている。だからこそ、使い方を考えるときには“人間”という視点を必ず入れるようにする習慣を身につけてもらいたい。本当に、そう思います。上手に使えば非常に便利な道具となりますし、開かれた世界を提供してくれます。もちろん、“そこにあるもの”は玉石混淆ですが、経験を積んでいけば取捨選択も自然にできるようになっていくはずです。

インターネットとは、本来的には離れたところにあるコンピュータ同士が通信を行うための技術的な仕組みでしかありません。実際、多くのインターネット上のサービスは、インターネットという“仕組み”を利用しているだけなのです。メール、SNSのようなコミュニティサイトや掲示板、ブログ、ゲームといった個人を対象にしたものから、オンラインショッピングや各種手続などのビジネス、あるいは公的事務手続きのようなものまで広く存在していますが、インターネットの側にあるのは技術的な取り決めのみで、使い方の主導権は、あくまで人間の側にあるということは忘れないでください。ものごとをきちんと理解し、上手に付き合う。そのためにも、使い方などに関してはたっぷりと時間をかけて話し合っていただけることをお願いしたいと思います。


最後に、私は、インターネットが日本に入ってきた頃からのユーザーです。ですので、インターネットがどのように変遷してきたのかを身近で見ることができました。当時は新しい出来事に対する興味ばかりが先行しましたが、いまとなってみると、とても幸運な機会に恵まれたと思えます。その恩返しというわけではありませんが、いま、インターネットというものをより深く理解してもらうための活動をいろいろと行っています。しかし、残念ながら本業が忙しくなってしまい、このブログは本日でいったん終了とさせていただきます。短い間でしたが、お付き合いいただきまして誠にありがとうございました。あらためて御礼申し上げます。m(__)m

渡辺 俊雄(わたなべ としお)

株式会社オーグメント 代表取締役
1958年、東京生まれ。メーカー系システムエンジニア、大手コンピュータ出版社の書籍編集者、インターネット関連組織の広報などを経て2006年に独立。大学生と高校生の二人の子どもを持つ。

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