2008.03.02
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

認めることの大切さ・心を受け入れる「おうむ返しの術」

山形県川西町立小松小学校 教頭 小林 孝

■おうむ返しの術■

お母さん方から、「仕事が忙しくて、なかなか構ってやれないので、何かいい方法はありませんか。」と聞かれることがあります。
そんな時には、決まって「おうむ返しの術」を伝授しています。
といっても、そんなに難しい技ではありません。子どもが話しかけてきた言葉を、そのまま同じように復唱するだけのことです。
「お母さん、今日、先生にほめられたよ。」と言ってきたら、
「そう、先生にほめられたの。」と繰り返せばいいわけです。
これだけで、自分の気持ちを受け入れてもらった・認めてもらったと感じるはずです。
すると、続けてどんなことをほめられたのかを話してくれるはずです。
そうしたら、「よかったね」と返せばいいわけです。
このくらいなら、いくら忙しくてもできると思います。つまり、すぐに免許皆伝となるわけです。
人間というのは不思議なもので、これだけで心が満たされるようです。
しかし、いくら優しく「後で聞くから、待っててね。」と言われても、「後で」と言われたことで、気持ちは切れてしまうはずです。

■「認める」実践から…嬉しかった一言■

以前、「音痴は直せるのだろうか。」という内容で書かせていただきました。
周囲の評価から、「自分は下手だ」「音痴だ」と思い込み、歌うことに苦手意識を持っている子は結構多く、その指導は容易ではありません。
そこで、5クラスの音楽を担当している今年度は、苦手意識をなくすことに力を入れてきました。具体的には、一緒に歌って音程の違いに気付かせ、合っている部分だけをほめるというものでした。ただ、それだけです。

先日のことです。授業が終えてから、3年生の女の子がやってきて、こう言いました。
「先生、少し上手になったみたい。」
笑顔で話すその一言は、とても嬉しい一言でした。
ちょっとほめられたことで、自信を持ったんだそうです。
もちろん、音程は、ずいぶん良くなっていました。

「これからもがんばろう」
そう思わせる一言でした。

小林 孝(こばやし たかし)

山形県川西町立小松小学校 教頭
これまでの教員生活・自分の子育て・趣味(バンド活動)・日常生活などから、感じたことや考えたことを綴りたいと考えていますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop