2008.01.06
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自分の姿を正しく知るために

山形県川西町立小松小学校 教頭 小林 孝

■知らなかった自分の短距離走フォーム■

私の短距離走フォームは、腕を伸ばしたような形で走る独特のフォームで、明らかに見た目も悪く、間違ったフォームでした。
もちろん、速いはずがありません。
運動は苦手ではなかったものの、短距離走は思うような結果を出せませんでした。
腕の振りを遅くするようなフォームなのですから、当然といえば当然です。
これは、誰が見ても「すぐに直した方がいい」と思うようなフォームです。
ところが、二十数年間、誰もこのことを指摘してくれる人はいませんでした。

■教え子の一言■

フォームのことを教えてくれたのは、教え子たちでした。
教員になって3年目に、ビデオカメラとデッキが導入されました。
若かった私は、重いカメラとデッキを肩に、
体育の授業の様子を撮影しては、映像を見せながら指導していました。
そんなある日、子どもたちから
「Mさん、先生と同じ走りだ」
と言われました。
Mさんというのは、私と同じように腕を伸ばしたようなフォームで走る女の子でした。
それを聞いた私は、
「こんなフォームで走っている?」
「そんな馬鹿な」
と、すぐには信じられませんでした。

■フォームの改善■

後日、ビデオで自分の走るフォームを確認した私は、唖然としました。
そこには、子どもたちに指摘された通りの姿がありました。
もちろん、直そうとしましたが、数日で改善されるようなものではありません。
何も考えずに走ると、やっぱりあのフォームで走っているのです。
意識して練習を続けることで、やっと改善されたように記憶しています。
そんなことがあって以来、気付いたことはすぐに適切なアドバイスをするよう心がけています。
第2の私を作らないためにも。

■自分の姿を正しく知るために■

自分の姿を知るためには、「鏡」が必要です。
その「鏡」は、時には映像だったり、時には人間だったりします。
こう考えると、子どもたちにとっての教師の存在は、自分の姿を知る大きな「鏡」のような存在とも言えます。
自分の姿を見るということは簡単でも、
正しく知るということは難しいことです。
そのために最も大切なことは、「鏡」に映し出された自分の姿を、
客観的に見る目と、
受け入れる心を持つことではないかと思います。

小林 孝(こばやし たかし)

山形県川西町立小松小学校 教頭
これまでの教員生活・自分の子育て・趣味(バンド活動)・日常生活などから、感じたことや考えたことを綴りたいと考えていますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

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