2007.12.09
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

子どもに夢を!

山形県川西町立小松小学校 教頭 小林 孝

「夢を語る」ということは、教員の大切な仕事の一つです。それは、職業に対してだったり、生き方に対してだったりします。
今回は、稲作農家の現状から、「夢を語る」ことについて考えてみたいと思います。

■稲作農家の危機■
山形県は、農業県です。
農産物で有名なものとして、米(はえぬき)、牛肉(米沢牛)、サクランボなどがあげられますが、代表的なものは、何と言っても米です。
今年8月までの日本最高気温(40.8℃)は、山形市で観測されています。この暑さが、稲作に適した気候となっているわけです。

ところが、次のような事情から、稲作農家の経営が大変な状況になっています。
 ○減反政策(所有の土地でも作付を制限される)
 ○急激な米価の下落
 ○農機具などの投資の増大

統計によれば、機械化により、40年間で5分の1の労働時間となったようです。それは、ある程度の規模の農家であれば、次のような機械を使用しているからです。
 ○トラクター(耕耘)
 ○田植え機(主流は乗用)
 ○コンバイン(刈取り)
 ○乾燥機(機械による水分調整)

これらの機械は、全て百万円単位の金額ですが、1年のうちに使用するのは、少ないもので3・4日、多くても、せいぜい1~2週間程度です。
この他にも、トラック、育苗機、動力散布機、草刈機など、数え上げればまだまだあります。水利費も、結構な金額になります。

とても、将来の夢を語ることのできるような経営状況とは言えません。自ずと、農業所得を従とする第2種兼業農家や、離農が増えてきます。
将来的には、どうすることもできないのでしょうか。

■可能性を語る■
農業は、やり方次第で所得を向上させることができる職業だと言われます。
稲作の場合は、次のような取り組みが考えられるのではないでしょうか。
 ○有機・無農薬等付加価値米の生産
 ○天日乾燥
 ○生産物の個人販売
 ○作業の共同化や集団営農

農業情勢は、なかな厳しい状況にありますが、将来を担う子どもたちには「これしかできない」「これは無理だ」などという気持ちではなく、
「これならできる」「こんな工夫が可能だ」というように、前向きに考える心を育てていきたいと考えています。
夢を語るということは、多くの可能性を語ることかもしれません。

[写真上]乗用田植え機
[写真下]杭掛け(天日乾燥)
taue.jpgkui.jpg

小林 孝(こばやし たかし)

山形県川西町立小松小学校 教頭
これまでの教員生活・自分の子育て・趣味(バンド活動)・日常生活などから、感じたことや考えたことを綴りたいと考えていますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop