2007.12.11
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夜のほうが頭がさえる? 受験シーズンを前に

東京都 栄養教諭 宮鍋 和子

「夜のほうが頭が冴えるんだ!」なんだか疲れた顔で階段を登っていく子どもに、
「何時に寝たの?」と声をかけた時のことです。
「早く寝なくちゃ」
「勉強があるから」
「勉強だって、11時から2時は熟睡したほうが記憶力はアップするんだよ。そんなに遅くまで起きて勉強しても、すぐに忘れてしまったり、必要なときに思い出せないんじゃ、もったいないじゃない。夜は寝て、その分早起きして、朝、勉強したほうが効率がいいのに」
「だって、夜のほうが頭が冴えるんだ!」
 完全に、夜型になっているようです。午前中、ボーと過ごし、お昼近くから体温が上がりだす。すると、ちょうど夕方から夜中にかけてが一番元気になったように感じられるのです。
 この子の感じている「夜のほうが頭が冴える」というのも、体温の上昇と密接に関係しています。

 私たちの生活は、夜型に移行しつつあります。24時間営業のスーパーや工場、国際化のために現地時間に合せて働く大人たち。そんな社会の中にあって、子どもたちも「人は夜は寝るもの」という当たり前の生態リズムを崩しつつあるように感じます。

「毎日何時間寝ている」確かに睡眠時間は確保しているのかもしれません。
 しかし、何千年にもわたって培われてきた、「人」としての遺伝子は、夜は寝て、昼間活動するようにプログラムされており、そのプログラムは、高々数年、数十年の「習慣」や「慣れ」で修正されるものではありません。体は夜型に対応したつもりでも、ちょっとしたことにイライラしたり、つい自分勝手な行動にでがちになったりと感情のコントロールが出来なくなってはいないでしょうか?
 なんとなくだるい、すぐに疲れるなど、知らず知らずのうちにストレスをため、様々な体調不良を訴えてはいないでしょうか?

 子どもが勉強してしてくれると、親としてはつい安心してしまうものです。しかし、子どもの健康を考えると、夜更かしをしてまでしなくてはいけない勉強ってなんなのでしょう。

 先日、保護者から「塾があるので、どうしても夕飯が10時を過ぎてしまうのですが、どんなものを食べさせたらいいですか?」と質問されました。帰ってきて夕飯を食べて、宿題をして、お風呂に入って・・・日本の塾商戦も子どもの健康までは気遣ってはくれないようです。


《おまけ》脳を効率的に使う生活習慣

 脳は、体の中でもかなりの大食漢。体重の2%程の重さにも関わらず、1日に消費するエネルギーはなんと全体の18%(約500Kcal)。しかも、脳がエネルギーとして使える栄養素はブドウ糖のみ。このブドウ糖、一度に沢山食べても、蓄えておくことがほとんどできないため、1日3回の食事でとることが必要になります。朝ごはんを食べてこないと、脳は、エネルギー不足で、上手に働いてくれません。

 そして、記憶に関する細胞が増えるのは、夜11時から2時の間。この時間にしっかりと睡眠をとっておかないと、脳はクタクタ状態に。記憶物質が作られないまま、翌朝を迎えてしまうと、その日はたくさん覚えたつもりでも、数日で忘れてしまったり、肝心な時に思い出せなかったりすることになります。
 早寝早起きで、しっかり朝ごはんを食べる。これがポイントです。

[効率的な勉強法]
●1時間+10分休息。1回8時間より、1回2時間を3回
●暗記物は寝る直前におこない、覚えたらすぐに寝る
●朝起きたら、見る前に思い出し訓練を

(学生のうちに知っていたら・・・)

宮鍋 和子(みやなべ かずこ)

東京都 栄養教諭
定時制高校、聾学校(高・専)、中学校と勤務し、2007年春より小学校に勤務することになりました。学校給食を通して、子どもたちと一緒に、成長できたらと思います。

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