私は、迷惑メール(スパム)を受けるととても不愉快な気分になります。たぶん、多くの人がそうした気持ちになるのではないでしょうか。
日本の法律では、営利を目的として多数に配布するメールには、題名に「未承諾広告※」という記述を入れなければいけないことになっています(*1)。しかし、実際にはその“未承諾広告※”という文字は記述されていないことのほうが多く、有効性はあまり無いというのが実情でしょう。笑い話に近いですが、題名にきちんと“未承諾広告※”と書いてある場合は「意外とまっとうかも」と思えてしまうほどです。^^;
【*1 ここでは具体的な法律部分の説明は省略します。ご興味があれば、「迷惑メールを規制する法律 」あたりをご覧ください。】
迷惑メールを除去するには、いくつかの方法があります。まずは、その代表的なものから説明しましょう。
比較的分かりやすいものとしては、メールの送信元を見て受け取るか否かを決める「アドレスブロック」と呼ばれるものがあります。これは、指定したメールアドレスやドメイン名からのメールのみ受信したり、指定したアドレスからのメールを拒否したりすることでメールの取捨選択を行う方式です。これを個々に指定するのではなく、まとめた形で管理すると前回述べた「ホワイトリスト」や「ブラックリスト」になるわけですね。
この形は、メールをくれる相手が決まっている場合には特に有効です。だって、知っている人、もしくは会社からのメールしか受け取らない、とするわけですから(送信元を偽称する迷惑メールでも、知り合いのメールアドレスそのものが使われるケースは滅多にありません)。
ただし、相手がメールアドレスを変更したり、交友関係が変わることなどによって発生する「信頼する相手の変化」を常に管理するのは大きな手間となります。したがって、この方法の利用には、手間と効果をどうバランスさせるかが重要になります。
次に、メールの内容から判定を行う「コンテンツフィルタ」と呼ばれるものがあります。この概要は前回「本文の内容から類推する方法」としてご紹介していますので今回は省略しますが、たとえばメール本文にURLを含んでいたり、特定のキーワードを含んでいたら迷惑メールだと判定して取捨選択を行う方法です。最近では、こうしたキーワードの抽出を半自動化したり、迷惑メールのデータベースを作り、そこにあるデータとの比較を行うことで利用者の手間や判定の精度を上げる工夫が行われています。
最近ではサポートの範囲が広がり、多くの場面で利用可能になっていますので、気軽に利用できるフィルタリング機能のひとつですが、迷惑メールも進歩しますので、精度が一定以上に上がらないという課題も持ち合わせています。
現状で筆者が知る限り、一番効率よく迷惑メールを除去してくれるのは Gmail でしょう。私の周りには、自分宛に届いたメールをすべて Gmail に転送して迷惑メールを除去するという荒業をしている人が何人もいます。
最後に、ユーザー側の処理ではありませんが、主にISP(インターネット・サービス・プロバイダ)側が行うフィルタリングについてご紹介します。
通常、メールを送るときには、そのユーザーが使用しているISPのメールサーバが使われます(メールの設定をするとき、メールサーバの指定という段階がありますよね)。そして、私たちが出したメールは、それぞれのISPのメールサーバ同士が通信した結果として私たちの手元に届きます。
このとき、ISPの側では相手のメールサーバが本当に正しいものなのかを調べることができます。技術的には、そのドメイン名から送られてきたメールサーバのIPアドレス(*2)を調べて、メールの送受のためにメールサーバに接続要求が来たときの相手側のIPアドレスと比較するということを行います。
【*2 インターネットにおいて、その装置を特定するための全世界で一意となる番号のことです。一般には、“192.168.1.101”とかいう形で表記されていますので、見たことがある方も多いのではないでしょうか。】
これをくだけた形で言うと、たとえば内田洋行が「私たちのメールは“ここ”からしか出しません」と宣言してそのアドレスを公開し、内田洋行を名乗ったメールの送受を行いたいという接続要求が来たときに、受け側は内田洋行が公開している情報を調べて、接続要求を出している相手の情報と比較するということを行うわけです。で、情報が一致すれば受け取りますし、一致しなければ受け取らなかったり、「このメールは怪しい」という情報をメールに付加してユーザーに送り届けることになります。
お恥ずかしい話ですが、実は、こうした処理は最近になって行われるようになったのです。いままでは、どこの誰とも分からない相手からの接続要求でも受けていたんですね……。
さて、以上で述べたように、迷惑メールを除去するにはいくつかの方法があります。個人的には、可能であれば複数の仕組みを使って迷惑メールを除去することをお薦めします。
また、携帯電話であれば「受信・拒否設定」の項目を調べてみるとか、パソコンのメールソフトであれば下記サイトをご覧になっていろいろ試してみてください。
▼有害情報対策ポータルサイト -迷惑メール対策編-
メールリーダの設定
http://www.iajapan.org/anti_spam/portal/Operation/mailreader.html
次回は、可能であれば迷惑メール除去の怖い話をしてみたいと思います。
日本の法律では、営利を目的として多数に配布するメールには、題名に「未承諾広告※」という記述を入れなければいけないことになっています(*1)。しかし、実際にはその“未承諾広告※”という文字は記述されていないことのほうが多く、有効性はあまり無いというのが実情でしょう。笑い話に近いですが、題名にきちんと“未承諾広告※”と書いてある場合は「意外とまっとうかも」と思えてしまうほどです。^^;
【*1 ここでは具体的な法律部分の説明は省略します。ご興味があれば、「迷惑メールを規制する法律 」あたりをご覧ください。】
迷惑メールを除去するには、いくつかの方法があります。まずは、その代表的なものから説明しましょう。
比較的分かりやすいものとしては、メールの送信元を見て受け取るか否かを決める「アドレスブロック」と呼ばれるものがあります。これは、指定したメールアドレスやドメイン名からのメールのみ受信したり、指定したアドレスからのメールを拒否したりすることでメールの取捨選択を行う方式です。これを個々に指定するのではなく、まとめた形で管理すると前回述べた「ホワイトリスト」や「ブラックリスト」になるわけですね。
この形は、メールをくれる相手が決まっている場合には特に有効です。だって、知っている人、もしくは会社からのメールしか受け取らない、とするわけですから(送信元を偽称する迷惑メールでも、知り合いのメールアドレスそのものが使われるケースは滅多にありません)。
ただし、相手がメールアドレスを変更したり、交友関係が変わることなどによって発生する「信頼する相手の変化」を常に管理するのは大きな手間となります。したがって、この方法の利用には、手間と効果をどうバランスさせるかが重要になります。
次に、メールの内容から判定を行う「コンテンツフィルタ」と呼ばれるものがあります。この概要は前回「本文の内容から類推する方法」としてご紹介していますので今回は省略しますが、たとえばメール本文にURLを含んでいたり、特定のキーワードを含んでいたら迷惑メールだと判定して取捨選択を行う方法です。最近では、こうしたキーワードの抽出を半自動化したり、迷惑メールのデータベースを作り、そこにあるデータとの比較を行うことで利用者の手間や判定の精度を上げる工夫が行われています。
最近ではサポートの範囲が広がり、多くの場面で利用可能になっていますので、気軽に利用できるフィルタリング機能のひとつですが、迷惑メールも進歩しますので、精度が一定以上に上がらないという課題も持ち合わせています。
現状で筆者が知る限り、一番効率よく迷惑メールを除去してくれるのは Gmail でしょう。私の周りには、自分宛に届いたメールをすべて Gmail に転送して迷惑メールを除去するという荒業をしている人が何人もいます。
最後に、ユーザー側の処理ではありませんが、主にISP(インターネット・サービス・プロバイダ)側が行うフィルタリングについてご紹介します。
通常、メールを送るときには、そのユーザーが使用しているISPのメールサーバが使われます(メールの設定をするとき、メールサーバの指定という段階がありますよね)。そして、私たちが出したメールは、それぞれのISPのメールサーバ同士が通信した結果として私たちの手元に届きます。
このとき、ISPの側では相手のメールサーバが本当に正しいものなのかを調べることができます。技術的には、そのドメイン名から送られてきたメールサーバのIPアドレス(*2)を調べて、メールの送受のためにメールサーバに接続要求が来たときの相手側のIPアドレスと比較するということを行います。
【*2 インターネットにおいて、その装置を特定するための全世界で一意となる番号のことです。一般には、“192.168.1.101”とかいう形で表記されていますので、見たことがある方も多いのではないでしょうか。】
これをくだけた形で言うと、たとえば内田洋行が「私たちのメールは“ここ”からしか出しません」と宣言してそのアドレスを公開し、内田洋行を名乗ったメールの送受を行いたいという接続要求が来たときに、受け側は内田洋行が公開している情報を調べて、接続要求を出している相手の情報と比較するということを行うわけです。で、情報が一致すれば受け取りますし、一致しなければ受け取らなかったり、「このメールは怪しい」という情報をメールに付加してユーザーに送り届けることになります。
お恥ずかしい話ですが、実は、こうした処理は最近になって行われるようになったのです。いままでは、どこの誰とも分からない相手からの接続要求でも受けていたんですね……。
さて、以上で述べたように、迷惑メールを除去するにはいくつかの方法があります。個人的には、可能であれば複数の仕組みを使って迷惑メールを除去することをお薦めします。
また、携帯電話であれば「受信・拒否設定」の項目を調べてみるとか、パソコンのメールソフトであれば下記サイトをご覧になっていろいろ試してみてください。
▼有害情報対策ポータルサイト -迷惑メール対策編-
メールリーダの設定
http://www.iajapan.org/anti_spam/portal/Operation/mailreader.html
次回は、可能であれば迷惑メール除去の怖い話をしてみたいと思います。

渡辺 俊雄(わたなべ としお)
株式会社オーグメント 代表取締役
1958年、東京生まれ。メーカー系システムエンジニア、大手コンピュータ出版社の書籍編集者、インターネット関連組織の広報などを経て2006年に独立。大学生と高校生の二人の子どもを持つ。
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