2007.09.18
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消えた教材  (自然の恵み)

東京都 栄養教諭 宮鍋 和子

「ない!!」
週明けのある朝のこと、4年の先生方がにわかに騒ぎだしました。

4年生は学年の花壇で、枝豆を栽培していました。夏休み前に一度みんなで収穫をして、その後、そのまま放置。茶色く色付きいい具合に実がはじけていました。当然、雑草もぼうぼうに生え、「おいおい・・・」といいたくなるほどの荒れようでした。

それが、この朝、きれいさっぱりと片付けられていました。(写真 上の手前の花壇)

あせったのが、先生方。その日、枝豆が大豆へと変化した様子。草がぼうぼうと生えた様子を観察させようとしていたのに、「教材」が一夜にしてなくなってしまったわけです。

大豆だけがす~と生えてさえいれば、余計な心配も、手間もかけさせることはなかったことでしょう。あまりの荒れように、みるに見かねた地域の方が「放置された花壇」の手入れをしてくださったわけです。本来なら、ご好意に素直に感謝!しなくてはいけないのですが・・・。それができない事情が、学校のまわりの環境にありました。
「(雑草がぼうぼうに生えているところをみたことがない子どもたちもいるので、)こんな花壇だけれども、ふれさせてあげたかった」先生のつぶやきにハッとしました。

私たちが子供の頃には、あまりにも身近にあった雑草地さえも、今は、人工的に確保してあげなければ知ることができない。そんな子どもたちがいるのです。

「地産地消」がさけばれ、野菜やくだものの栽培は盛んになってきました。しかし、考えてみれば、これらも人の手の加わったもの。ビルに囲まれ、整備された公園で遊ぶ子どもたち。「自然の恵みに感謝する」そんな感性を育てるには、ここはあまりにもきびしい環境のように感じました。



写真上:学年花壇
写真中:3年生の育てたゴーヤが熟しました
(子どもが、熟して赤くなった種のまわりは甘いと教えてくれました)
写真下:ゴーヤを使ったカレー
   

(おまけ情報:全国で東京と静岡だけが残っていた栄養教諭制度の未実施。今議会で、東京都もやっと制度の導入が決まりそうです。)
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宮鍋 和子(みやなべ かずこ)

東京都 栄養教諭
定時制高校、聾学校(高・専)、中学校と勤務し、2007年春より小学校に勤務することになりました。学校給食を通して、子どもたちと一緒に、成長できたらと思います。

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