2007.09.08
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インターネットで個人情報を収集する方法

株式会社オーグメント 代表取締役 渡辺 俊雄

今回から少し形を変えて、その時々の旬な話題を取り上げてみようかと思います。で、タイトルを「インターネットで個人情報を収集する方法」としてみました。なにか、ギョっとしてもらえましたでしょうか。/(^^;

欧米では、以前から「フィッシング」という詐欺行為が問題になっています。「フィッシング」といっても「釣り(fishing)」のことではなくて、“phishing”と書いてそう読ませます。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、フィッシングとは、ユーザーを本物そっくりなWebページを持つ偽サイトに誘導し、アカウント情報やパスワードのような重要な情報を言葉巧みに入力させてしまう、個人情報を盗み出すための有効な手段のひとつです。

もう少し分かりやすく言うと、たとえば“学びの場銀行”を使っているユーザーに対して「あなたの個人情報が盗まれたので、緊急にパスワードを変更してください」というようなメールを出して、そこで本物そっくりの偽サイトに誘導し、そのユーザーの個人情報を盗むということですね。で、盗んだ個人情報を使って、その人の預金を引き出したり、新たな詐欺に使ったりといろいろなことをしてくれます。(怒)

相手の隙をつき、言葉巧みに騙す。相手を釣るメールが“sophisticated”されているので“phishing”という言葉が生まれたと言われています。

そのフィッシングが、最近、日本でも増えてきました。ですので注意が必要です。このあたりの防衛方法についてはいろいろなページで紹介されていますので、ご興味があれば調べてみてください。とりあえず、ここでは「フィッシング対策協議会」のサイトをご紹介しておきます。

 http://www.antiphishing.jp/

さて、そうは言っても、フィッシングを行うためにはある程度の知識が必要です。ターゲットになりそうなメールアドレスの収集や、本物と見間違うほどそっくりなサイトの制作など、労力もそれなりにかかります。

また、どんなことを言おうと詐欺行為ですから、送信したメールや作ったサイトなどから足が付かないようにしなければいけません。個人情報の収集ができても、捕まってしまっては元も子もないからです。中には、「そこまでして」と感じる事例もありますが、それだけのことをしても元手が取れる以上の結果が付いてくるのでしょうね。3年前のデータでも、年間24億ドル以上の被害があるとされています。

そんななか、比較的手軽なのが、懸賞サイトのような形です。ユーザーが興味を持ちそうな景品を掲げ、「応募のため」と称して個人情報を入力させる手口が代表的ですが、他にもさまざまな手法があるようです。

この場合の問題点は、景品などが記載のとおり発送されていたり、集められた情報が他で違法に使われているといった事実がつかめなかったりすると違法だと言えないことです。また、本当に良心的にやっている懸賞サイト事業者が疑心暗鬼の目で見られてとばっちりを受けてしまうことがあるとも聞きます。

最近では家のパソコンを使うよりもケータイを使ってインターネットをする子供が増えていることから、個人的には、この手の詐欺行為が与える影響は小さくないと考えています。なぜって? だって、大人の目が届かないじゃないですか。実際、「子供のやる範囲だから」ではなく、もしかすると家族構成とか、親の携帯電話番号とか聞き出されているかもしれませんよ(汗;)。軽視は禁物です。

子供に対して本当に教えなければいけないのは、パソコンの使い方ではなくて、たとえばインターネットの何を信じて何を疑えばいいかとかいう考え方ではないでしょうか。世の中を経験してきた大人であれば、「こういうときは怪しい」とか「こういうときは信じて大丈夫」ということを経験的に教えられると思います。ワードやエクセルの使い方を覚えるより、社会に出るための知識を教えるほうが大切だと感じています。

渡辺 俊雄(わたなべ としお)

株式会社オーグメント 代表取締役
1958年、東京生まれ。メーカー系システムエンジニア、大手コンピュータ出版社の書籍編集者、インターネット関連組織の広報などを経て2006年に独立。大学生と高校生の二人の子どもを持つ。

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