2007.08.05
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「英語クラス」とは

文京学院大学女子中学高等学校 英語科(英語クラス検討委員) 佐藤 泰正

 今まで『教育つれづれ』の紙面をお借りして、自分の身を置く教育環境での実践について報告をしてまいりました。今回は私の肩書にある「英語クラス検討委員」に関連した内容について述べたいと思います。

 本校は創立83年となる普通科女子校です(かつては普通科、食物科、デザイン科などもありました)。各学年とも、更に英語/特進/理数/文理/一貫クラスと分かれています。今でこそ、英語クラス/コース、国際クラス/コースなど珍しい存在ではなくなりましたが、本校の英語クラスは設置されてから23年の歴史を積み重ねてきました。

 英語クラスとは、本校で英語を教える者にとって常にその英語教育についての真価を問われる場となっています。設置当初からネイティヴスピーカの授業を大幅に導入したり、その学習内容を確認/発展させる場として海外語学研修を実施するなど、様々な試みを行ってきました。ただし、23年という長い年月(私が本校に奉職した際には既に1期生は3年生となっていました)の内には、世間の教育のトレンドとして英語熱がやや下火になったり、学習指導要領の変更に伴う授業時数の削減の影響を大きく受け、また一方公立校も「英語/国際」を冠したクラスが登場したり等、社会全体の英語教育方向性に影響を被ってきました。英語クラスでは、このような経緯を見るまでもなく、常に自己改革が求められ、改革を検討する場として「英語クラス検討委員会」というものが置かれている訳です。本校の英語クラスの目標は、『英語を用いて自分の考えを、口頭や文書で自由に表現出来る力を身につける』ことです。そのために実践している事柄を紹介します。

 1年次の大きな特徴は、ネイティヴスピーカが授業を担当するWritingの授業を導入していることです。この授業は3年間継続して実施されます。クラスは分割され、文法を基軸とした日本語の教科書によるWritingとは全く異なる着想で授業展開がなされます。例えば、1年次の当初は、Writing(=作文)といっても沢山の文章に接すること、文章を早く書くことに重点を置いて授業が進められていきます。オーラルコミュニケーションの授業との連携や、パターンプラクティスから脱却した授業形態、○×式や記号式の回答とは無縁の試験形態等、ネイティヴスピーカの先生方ならではの発想で授業は進められていきます。

 3年間の全てをネイティヴスピーカが授業の教案を含めたシラバスを立てることに違和感を抱かれるかもしれません。このような授業とすることに関しては、英語科の教科会でも何度も検討をした上で踏み切った決断でした。このようなWritingの授業の形態が実施されて2年目なので、まだ明確な数字としての実績は示されていませんが、各種英語検定や模擬試験の結果を見る限り、着実に成果は上がっていると言えるでしょう。

 もう一つ大きな行事としてEnglish Campが挙げられます。Campとはありますが、学校で実施される英会話の授業を中心とした集中講義となっています。本校の英語クラスの最大の行事は、2年次に行われるKiwi-BESTです。BESTとは、Bunkyo-English-Study-Tourの略で、英語クラスではKiwiつまりニュージーランドに、約3週間、本校の姉妹校であるOtago女子高等学校でホームステイをしながら授業を受けることとなっています。英語クラスではこのKiwi-BESTに向けて、1年次からの様々な授業で(英語だけでなく地理や理科などの他教科も含めて)準備をしていきます。

 English Campでは、ニュージーランド人によるホームステイを想定した英会話を午前中に、午後には通訳士をされている方からの講演や国際協力機構JICA本部へ見学に行ったりと、大学選びのその先にある、英語を身に付けた上でどのような職業/将来があるのかを示唆/紹介する内容を午後に設定しています。

 また、これら学校での講義の前後の週末には、はとバスツアーに参加することになっています。これは、外国人観光客向けの東京観光ツアーで、生徒たちは少人数でこのツアーに参加するのです。生徒たちは日本人のガイドの方々が英語でどのように日本を紹介するのかを目の当たりにしたり、自分でも意識していなかった「日本観」を典型的な観光地を巡りながら再認識したり、またツアーに参加している他の観光客に英語で話しかけたりという課題が与えられています。

 今年度のEnglish Campは間もなく始まります。また、今年度のKiwi-BESTも生徒たちに大きな成果をもたらすことと思います。次回には、実際の様子を報告したいと思います。

佐藤 泰正(さとう やすまさ)

文京学院大学女子中学高等学校 英語科(英語クラス検討委員)
こんにちは佐藤です。都内の私立女子校で教壇に立って、もう20年以上になりました。学校生活のこと、英語学習のこと、その他、思うところを発信していきます。

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