2007.06.26
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

最後のひとくち

東京都 栄養教諭 宮鍋 和子

「そんなに残さないよぉ!」
ある日の、給食の残りを子どもたちに見せた時のことです。

「そうだね。ひとりひとりは、ほんの“ひと口”かもしれないけれど、○年○組さんも、きのうの給食、沢山残っていたんだよ」
「え~っ!ぼく、全部食べたよぉ」

そうです。全部食べて、おかわりをする子もいれば、ほんのひと口しか食べない子もいます。
なんでもおいしそうにモリモリ食べる子。ほんのちょっとだけ、お皿によそう子。自分の分はしっかり確保して、まったく、箸を運ぼうとしない子。様々です。

「○○は嫌いだけど、××は食べてるよ」
「ほかのものを食べているから大丈夫」
 という声も・・・きっと、お家のひとにも同じように言われているのでしょうね。

 しかし、たとえば人参と同じ働きをするほかの食べ物ってなにがあるのでしょう? 似たような働きをする食べ物はあっても、同じものはありません。サプリメントでも補うこともできません。
「給食は嫌い。お家に帰って好きなものたべよう」
と、お昼ご飯を抜いてしまって、からだの中は、本当に大丈夫! といえるのでしょうか?

 学習能力の研究をされている先生に伺うと、一週間に何種類の食品を食べているのかと、子どもの学習能力(意欲・態度・成績)、情緒とは密接な関係があるといいます。
 また、「嫌いならほかのものを食べればいい」と、簡単に苦手なものから逃げてしまったり、食べ物を粗末にすることが、心の発達の面からもよいことといえるのかどうか。

 給食は、1年365日1095食の内のたった190食前後。保護者の考えもいろいろな中、
「ぼく、全部食べたよぉ」
子どもたちみんなからそんな声が聞かれるようになるのは、いったい、いつのことか・・・ できることからコツコツと、がんばっていくしかないようです。
「最後のひとくち」。まずは、せっせと声かけをしていくことに・・・
clip_image002_s.jpgDSC02336_s.jpg20070523_s.jpg

宮鍋 和子(みやなべ かずこ)

東京都 栄養教諭
定時制高校、聾学校(高・専)、中学校と勤務し、2007年春より小学校に勤務することになりました。学校給食を通して、子どもたちと一緒に、成長できたらと思います。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop