2007.05.15
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こどもの日とちまき   伝えて行かなくてはいけない物

東京都 栄養教諭 宮鍋 和子

 ゴールデンウィーク前、給食で「中華ちまき」を作りました。5月5日の子どもの日に合わせての献立です。「きょうのきゅうしょく」で「関東では柏餅。関西ではちまきを食べる家が多い」ことを紹介したので、教室で「みんなの家では、子どもの日に『柏餅』を食べるか『ちまき』を食べるか」を聞いてみました。で、びっくり!!半分近い児童が「柏餅もちまきも食べない」という返答。

「子どもの日に特別に食べるものとかある?」
「別にない」
「ケーキとかは?」
「(ケーキは)誕生日だよぉ」
「どこか遊びにはいくの?」
「べつに」
「あっ、そう・・・」世代の違いを痛感しました。

 職員室で、結果を話すと、「この辺りは和菓子屋さんも多いから、1年中食べられるんじゃないかな」「わざわざ、子どもの日だからっていうのはないのかもしれないね」とのこと。
 行事食を家庭で作らなくなったという話を聞いてから随分になります。しかし、せっかく、手軽に手に入るようになったからこそ、“わざわざ”作らないにしても“わざわざ”買ってでも、子どもたちに食文化を伝えていかなくていいのかなぁと不安になりました。

 最近、“祝日”がわからない子どもたちが多いように感じます。「なんだか分からないけど休み」なのだそうです。「どうして?」休みなのかを子どもたち自身が気にしない、関心がないように見受けられます。ふっと、周りの大人達を見回すと、こちらもあまり関心がないようです。
 今や、暦上は祝日でも、いつも通りに出勤するお父さん、お母さんも多いようですし、特に祝日に関連した特集を組む番組も少なく、子どもにとってただの休みのように感じられてもしかたがないかもしれません。

【関心・意欲・態度】授業では、子どもたちをこんな規準で評価する項目があります。しかし、今、日本という国は子どもたちに、どんな関心や意欲を求めているのでしょう。学校現場を見ていると、子どもたちが、子どもたちそれぞれの年齢にこそ示して欲しい関心や意欲、態度を見いだす機会を大人達の勝手な理由でどんどんはぎ取っているように感じます。親御さんの中にはひたすら我が子が“勉強のみ”に対し【関心・意欲・態度】を高めるよう望み、学校へもずけずけと要望を押しつけてくる方もいます。その努力をほんの少し、我が子の“感受性”をのばすためにまわしてはもらえないものでしょうか・・・

 こどもの日には柏餅やちまき。そこから広がる世界は、きっと、教科で学ぶ学問とは違った“心の力”を育むものと信じています。

 みなさんは、こどもの日に柏餅(ちまき)を召し上がりましたか?

 こどもの日は、もともと田植えの前の神事のために菖蒲湯でからだを清めたことに始まります。私達の大事な主食「お米」に関わる大切な行事です。「こどもの日はこどものためのもの」などと思わず、みんなで一緒にお祝いしたいものですね。

 そうそう、ちまきや柏餅を食べないという子どもたちには、「こどもの日の柏餅やちまきは、親が子どもの成長を願って作ったけれど、みんなは、『こんなに大きく育ったヨ!』って親に作ってご馳走してあげよう!!」と声かけしました。みんな、たくましく育つんだよ!!
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宮鍋 和子(みやなべ かずこ)

東京都 栄養教諭
定時制高校、聾学校(高・専)、中学校と勤務し、2007年春より小学校に勤務することになりました。学校給食を通して、子どもたちと一緒に、成長できたらと思います。

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