2007.04.07
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「情報」って何だろう?

株式会社オーグメント 代表取締役 渡辺 俊雄

はじめまして。渡辺と申します。
縁ありまして、再び学びの場で「情報」について書かせていただくこととなりました(以前は、こんなことを書かせていただきました。http://www.manabinoba.com/p_Erudite2/index.cfm?CRGroup_ID=60)。よろしくお願いいたします。

さて、この場でお話しする「情報」ですが、コンピュータを学ぶ上で面白そうな話をいくつか取り上げる予定でいます。

そのきっかけですが、高校生の娘から「情報は面白くない」と言われたことにあります。聞いてみると、「情報」とは言っても、その中身がワードやエクセルの操作方法だったり、2進数の単純な計算をさせられたりと、確かにつまらなそうです。

個人的には、情報を学ぶ理由は、生涯を通して使えるコンピュータスキルを身につけることだと思っています。ワードやエクセルの操作方法も、社会に出て使うこともあるでしょうから覚えることに意味はあります。しかし、アプリケーションソフトウェア固有の操作方法は、常に変更される可能性を含んでいます(一例を挙げると、オフィス2007では「リボン」というユーザーインターフェイスが採用され、その操作方法は大幅に変わりました)。せっかく覚えたのに、いざとなったらユーザーインターフェイスが変わって使えない、というのは悲しいですよね。

では、生涯を通して使えるコンピュータスキルとは何でしょうか。長年、コンピュータの世界で仕事をしてきた立場としては、部分的ではありますが、

・コンピュータにできること、できないことを理解する ―― コンピュータの限界
・膨大な情報の中から必要な情報を探し出すことができる ―― 検索技術
・目の前の情報が正しいかを判断することができる ―― 情報の信憑性
・自分がしたいと思うことを手順化できる ―― プログラミング
・自分が作ったプログラムを修正できる ―― デバッキング
・コンピュータを使って表現ができる ―― プレゼンテーション技術

といったあたりが重要なのではないかと考えています(あまり難しく考えないでくださいね)。

たとえば、コンピュータの限界。これは、コンピュータでは実現できないことがあるということを理解することです。その例えをするために、ここで、巨大な隕石が地球にぶつかる可能性があるとしましょう。その落下地点をコンピュータを使って計算させようとしたとき、明日落下するかもしれないのに、その計算結果は1ヶ月先にならないと出ないとします。そうなると、その計算結果は有効な意味を持ちませんよね。これが、コンピュータの限界の一例です(計算機屋の世界では、計算不能とか計算困難と言われるテーマが存在します)。

コンピュータは万能ではありません。決められたことを高速かつ正確に計算することは得意ですが、創造力はほぼゼロです。コンピュータにできること、できないことを理解するということは、「この作業は、コンピュータにやらせよう」とか「人間がやったほうが良い」といった判断力を養うための基礎となるものです。

次回からは、そうしたコンピュータにまつわる基礎的な話をできるだけ優しく解説していきたいと思います。当面の予定としては、

・なぜ2進数を学ぶのか?
・データって何?
・計算するってどういうこと?
・and?、or?、not?
・圧縮する?
・なぜ著作権を学ぶのか?
・その情報は信じられる?
・キーボードに刻印された文字の意味

といったあたりの話を考えています。あとは、皆様からいただくご質問やご要望などによって適宜変更を加えながら進めていければ幸いです。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

渡辺 俊雄(わたなべ としお)

株式会社オーグメント 代表取締役
1958年、東京生まれ。メーカー系システムエンジニア、大手コンピュータ出版社の書籍編集者、インターネット関連組織の広報などを経て2006年に独立。大学生と高校生の二人の子どもを持つ。

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