2016.02.10
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学級通信発行について(2)

陸中海岸青少年の家 社会教育主事 村上 稔

 発行する義務はないのですが、多くのメリットがあるのが『学級通信』であると思います。私は、日々の実践の省察としても活用しています。

〇子ども達の記録について

 座席表を用意し、日々の生活の中で見つけた頑張りや小さな変化をメモしていきます。最初のうちは、特定の子にしか目が向かず、なかなか全員のよさを記録することができませんでした。しかし、繰り返すことで、自分自身の「気付き」を養うことができると考えます。一人一人の頑張りや学級集団の成長にも気付けるようになってきました。

 メモは、次のような記事になります。

 (1)個人の行動の記録
 ・次の活動へと素早く切り替えができる〇〇さん。チャイムが鳴るとすぐに本を片づけて朝の会の準備をしたり、授業後には次の時間の教科書やノートを準備したりしています。
 ・4時間目が始まる時には、〇〇さんが「もう終わりだよ~!勉強が始まるよ!」とまだ準備が出来ていない友達に話をしていました。次に何をしたらいいのか考えられる姿を全体に広めていきたいと思います。
 ・「あっ!見直しをしないと!」と思わず口にしたのは、〇〇さん。国語のノートに文を書き終わり、すぐに見直しを始めました。〇〇さんのように、見直しをする習慣をみんなにも身に付けてほしいと思います。
 ・計算スキルを回収後、26冊もある計算スキルの向きやはじをきれいにそろえたのは、〇〇さん。自分から行動する心と、バラバラだった計算スキルに気付ける目が素晴らしいです。
 ・水曜日に行われた合唱部の壮行会。起立の反応が全校で一番早かったのは、〇〇さんでした。進行役を務めた計画委員のハンドサインをしっかり見ていたことが分かります。〇〇さんのような反応の早さを全体にも広めていきたいと思います。
 ・2学期から、あいさつの合言葉(自分から・笑顔で・全力で)を毎朝唱えています。給食室へと向かう時には、〇〇さんや〇〇さんが笑顔であいさつしました。避難訓練が終わり、消防士さんとすれ違う時に、〇〇さんが自分から「ありがとうございます。」と言いました。あいさつの合言葉を大切に・・・今後も指導していきます。

※学級通信24号より

 (2)集団の行動の記録
  発表会直前の音楽室。最後の練習をするその表情は、かなり緊張している様子でした。歌や演技の確認をし、いよいよ体育館へと向かいます。出番を待つ時間が長く感じられます。本番の演技は素晴らしいものでした。自分のセリフ・動きなど練習の成果を一生懸命に発揮しようとする姿がみられました。指導してきた私たちも安心してみていることができるほど、全員の姿が頼もしかったです。発表を終え、1人1人がとてもいい表情で教室へと戻ってきました。きっと本番の自分達の演技に、満足感や達成感を感じたためだと思います。これまでの振り返りを作文にすると、私の用意した作文用紙では書き足りない子がたくさん出てきます。裏面も使ってたっぷりと書きました。頑張ったこと・・・身についた力・・・自分自身の頑張りや確かな成長を感じることができました。

 ※学級通信100号より

〇授業記録として

 どんなねらいで今の学習に取り組んでいるか、子ども達の反応等を記録します。家庭に授業の様子をお知らせすることができるとともに、日々の授業実践を振り返ることができます。月に2本発行するだけでも、年間24本の授業記録となります。

 ~国語「じどう車くらべ」~消防車と救急車との比較場面~
 「じどう車くらべ」を読みながら、比べて読む経験を積むことができます。そこで、教科書を読む前に、知っている自動車として多く挙げられた「消防車」と「救急車」の2台を比べてみました。そのことで、自動車への関心を高めたいとも考えていました。

 2つの車の違いは、どこでしょうか。
「色」「形」「大きさ」の意見が多くでました。他にも、〇〇さんは「サイレンの音」、〇〇さんは「ミラーの場所」、〇〇さんは「フロントガラスの傾き」、〇〇さんは、「座席の広さ」など生活経験や細かい観察から、たくさん比べることができました。
「重さが違います!」(〇〇さん・〇〇さん・〇〇さん)の発言…なぜ重さが違うのかみんなで考えました。すると、〇〇さんの「ついているものが違うからです。」に全員が納得顔でした。それぞれに何がついているのか…知っていることを話し合いました。
〇〇さんや〇〇さんは、「仕事が違うのだから、違いがいっぱいある。」と話しました。詳しく聞くと、〇〇さんは「消防車は、火を消す仕事です。」〇〇さんは、「救急車は、ケガをした人を助ける仕事です。」と発表しました。〇〇さんの「車の本を借りに行ってきます!!」など、一人一人の自動車への関心が少しずつ高まり、早く図鑑を作りたい気持ちでいっぱいになってきました。

※学級通信124号より

 今後も日々の子ども達や授業の振り返りのためにも、学級通信の発行を続けていきたいと考えています。

村上 稔(むらかみ みのる)

陸中海岸青少年の家 社会教育主事


前任校では、社会科を専門として授業実践を積み重ねてきました。2020年4月から学校現場を離れ、社会教育主事として勤務しています。社会科の授業研究や社会教育全般について発信していきたいと考えています。

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