2015.04.27
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

キャリア教育で希望をもてる生徒たち~D×Pの活動紹介~

立命館宇治中学校・高等学校 数学科教諭(高校3年学年主任・研究主任) 酒井 淳平

 

キャリア教育で希望をもてる生徒たち

   ~D×Pの取り組み~

 

キャリア教育で将来に希望が持てる生徒たちがいます。

みなさんはD×P(ディーピー)というNPO法人をご存知でしょうか?

今回はD×Pの活動紹介を通して、キャリア教育の可能性の

大きさについて書きたいと思います。

 

 

1、NPO法人 D×P の取り組み

 

キャリア教育は、生徒たちが社会的・職業的に自立し、

社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を

実現することができるようになることを目的としています。

 

しかし残念ながら高校や大学を卒業しても、進学も就職もしない

生徒・学生は少なくありません。このように自立して社会に出る

段階でつまずいてしまうと、社会の中での自分の役割が見つけにくく

なってしまうという現状はあります。

 

こうした生徒や学生に必要なことは何でしょうか。

お説教でしょうか?勉強させることでしょうか?

将来を考えさせることでしょうか?夢を持たせるための講演会でしょうか?

就職支援の仕組みでしょうか?

 

おそらく彼らに必要なことはここに書いたようなことではないでしょう。

NPO法人D×Pの活動はこの問いに対する答えを示唆しているように思います。

 

2、D×Pのキャリア教育プログラム

 

NPO法人D×Pは主に通信制高校生へのキャリア教育プログラムや

チャレンジプログラムを提供しています。

 

D×Pのプログラムは「成功体験の獲得」と「社会関係資本の構築」が

大切であるという考えに基づいて作られています。

 

一つ目のプログラムが「クレッシェンド」。

「できない」から「やってみたい」を創るキャリア教育プログラムです。

クレッシェンドはロールモデルの発見と成功体験の蓄積をねらいとし、

社会人や学生との対話を通して、自分を発見し、見つめなおします。

1クラス高校生10人に対して、様々なバックグラウンドを持った

大人8人が長期間にわたって信頼関係を築きながら関わるため、

生徒それぞれが自分にあったロールモデルを見つけることができます。

 

私たち教員(大人)は、よく「将来を考えろ」「一歩踏み出せ」などの

言葉を使います。しかし人はなぜ将来を考え、一歩踏み出してみよう

と思うのでしょうか。この問いを考えれば、実は将来への希望や

一歩踏み出せる安心感、サポートしてくれる人やモデルになる人の存在が

あるからこそ、将来を考え、一歩踏み出すことが可能であることに気づきます。

この点で、いろいろな方に継続的にサポートしてもらいながら、自分を見つめる

というクレッシェンドには大きな意味があるように思います。

 

二つ目のプログラムが「フォルテッシモ」

「やってみたい」から「できた」を作るチャレンジプログラムです。

チャレンジや体験を通じて、生徒が成功体験を獲得することをねらいと

したもので、企業へのインターンシップ、写真展の開催、ITスキル取得講座

などがあります。「クレッシェンド」の次のステップとしての

「フォルテッシモ」は、間違いなく次の一歩につながるでしょう。

実際、2014年3月の調査では、クレッシェンドを受けた生徒たちの

進路決定率は約80%でした。文部科学省「学校基本調査」によると、

通信制高校に通う生徒たちの約半数が進路未決定なので、

これは驚くべき数字といえます。

 

D×Pのプログラムはキャリア教育を考える上で欠かせないポイントが

たくさんあるように思います。そして私たち教員にとっては、

学校外の方がこうしたことをされているということも、

教育への希望と言えるのかもしれません。

 

D×Pについては、代表2人のプロフィールなど、まだまだ書きたいことが

あります。詳しくはHPをご覧ください。

 

3、キャリア教育の可能性

「自分の思い描く未来に不安しかない、と思っていたけど

 自分らしく頑張っていこうと思います!」

 クレッシェンド受講後の高校生の感想です。

 

このように高校生が自分の未来に希望を持てるようになるプログラムは

大切です。一方で大人として「生徒たちが未来に希望を持てる社会を作る」

ということも、忘れてはいけないことです。

 

昨今、日本の危機を叫び危機感をあおることから、学校や生徒を変えよう

とする声が大きくなってきているようにも思います。

 

たとえば「これからのグローバル化する社会を考えると、今の日本の

教育や若者はダメだ。変えなければならない。」はこれにあたるでしょう。

この主張が100%間違っているとは思いません。

しかし、根本的には何かを変えたければ、危機感でなく、

希望こそ訴えるべきではないでしょうか。

 D×Pの活動からこんなことも感じました。 

教師ではない方たちがこういう活動をしているのは

教師にとっては希望だということは間違いないでしょう。

 

D×Pの活動は、キャリア教育の大きな可能性を示しているように思います。

人はキャリア教育で希望を持てるのです。 

D×Pの活動についてはいろいろな応援の方法があります。

詳しくは以下のページをご覧ください。 

http://www.dreampossibility.com/  

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。

最近、本校のキャリア教育授業の評価について、

質問などを受ける機会が多いです。

こうしたこともあり(?)次回からは3回(予定)連続で、

キャリア教育授業の評価について書きたいと思います。

引き続きよろしくお願いします。 

酒井 淳平(さかい じゅんぺい)

立命館宇治中学校・高等学校 数学科教諭(高校3年学年主任・研究主任)
文科省から研究開発学校とWWLの指定を受けて、探究のカリキュラム作りに取り組んでいます。
キャリア教育と探究を核にしたカリキュラム作りに挑戦中です。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop