2015.03.12
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地域でできること、地域だからできること <勉強の先にあるもの >

NPO法人まどり 代表理事 水木 千代美

 

Job Café 1回目のWS  Job Café 7回目のデザインの時間  プログラミングで中学生がフォローする様子
 

勉強する意味

 勉強する意味を中高生の時にわかっていた人は少ないんじゃないかなと思います。私自身も高校は進学校に入った途端、勉強の意味がわからなくなっていました。高校に入るために勉強をしてきたものの、大学に行く理由が見つかりません。先生に「大学に行ったら何になれるのですか?」と聞き、「先生とか、公務員とか、警察官とか」と言われ、どれもなりたくないし、と思ったことは今でも覚えています。
 
 学習支援をしている中で、勉強のその先を少しでも見せたいと思うようになりました。子どもだって、人生の見通しを立てた方が頑張れるのではないだろうか、目標が変わっていったとしても、その時々で、目標を持った方が、頑張れるのではないか、と思ったのです。
 

Job Café(ジョブカフェ)の開催

 ジョブカフェとは、様々な職業の方に来ていただき、子どもたちに仕事について話してもらうプログラムです。講師の多くは、職業名として表しにくい仕事や、身近に感じることの少ない職業の方を中心に来ていただきました。子どもたちに、仕事の選択肢は広い、ということをまずは知ってもらいたかったのです。
 
1回目は職を失った後、子どもと関わる仕事をはじめ、今は集団活動のワークショップを仕事とし、大学の非常勤講師なども勤める方に、2回目は変わった経歴で記者になった、大手新聞社2社の記者の方に、3回目はまちづくりを通じて新しい仕事を生み出した方と、製材所を引き継ぎ国産材の推進活動をしている方に、4回目は子どものリクエストに応えて、ウェディングプランナーとカメラマンの方に、5回目はNPO法人を立ち上げ、こどものワークショップを仕事にされている方に、6回目は厳しい家庭環境から大手エネルギー会社の社員になられた方に、7回目は大手事務機器メーカーのデザイナーさんと家具作家さんに、そして次回最終回は、子どもの人権を守る仕事をされている方と将来について学びます。また、番外編として、7回目の講師に来てくれた会社のショールームの見学と木工体験に行く予定です。
 

子どもの子どもたる理由

 学習支援に来ていて、ジョブカフェを受けた中学生がすぐに共感し、その次の日から勉強を頑張る、なんてことはなかったです(笑)。もちろん、そうなるとも思っていなかったですが…。ただ、このプログラムが始まる前に、「このプログラムは、あなたたちに聞かせたいと思って企画したんだから、絶対参加やで!」と言われていた中学生は、きちんと全回出席しています。そして、6回目の講師の方と、個人的時間を取った際には、真剣に話を聞いていました。
 
 「あなたたちにいい高校に行って欲しいと思っているんじゃない、あなたたちが行きたい学校に行って欲しいだけ。親以外に自分のことを考えてくれる人がいるってことだけは覚えといてな」と言った気持ちに応えてくれているようで、会場設営を手伝ってくれたり、他の行事の手伝いをしてくれたりと、信じてもらえていること、自分が必要とされていることを少しはわかってくれているのかな、と思っています。
 
 子どもは大人の思い通りにはならない、けれど、大人が真剣に向き合えば、きちんと理解もする、それが子どもだと思うのです。
 

もうひとつの取り組み 

 ネット環境が当たり前になり、その功罪が議論されています。教育的な是非はわかりませんが、パソコンが普及している今、パソコンに触れる機会がない子ども、正しい使い方を知らない子どもに、パソコンに使われるのではなく、パソコンは使うものだと、創造できる道具だということを知ってもらいたくて企画しました。10~15人の定員で告知したところ、その倍近い子どもたちの応募があり、検討した結果、グループワークで取り組めるものにして開催しました。
 
1年生から6年生までの子どもたちを4グループに分け、学習支援に来ている中学生も含め、中学生はスタッフとして班に入り、サポートするという形です。任された中学生は、小学生が自ら取り組めるように教えたり、休み時間に遊んであげたりと微笑ましい光景が見られます。
 
昔は、親の仕事や家庭や地域で、子どもの出番があり、褒められ認められる機会が今よりもあったように思います。自己肯定感の低さが良く取り上げられますが、それは、子どもたちを測る物差しが、勉強やスポーツなど、限られたものなってしまった、生活の変化が所以かもしれません。
 

これからの地域で取り組むべきこと 

 これらの取り組みを継続していくためには、地域の仕組みにする必要があります。今、取り組もうとしていることを最終回に書かせていただこうと思っています。
 
 
【写真の説明(左から)】
・Job Café 1回目のWS
・Job Café 7回目のデザインの時間
・プログラミングで中学生がフォローする様子 

水木 千代美(みずき ちよみ)

NPO法人まどり 代表理事
次世代にmよりよい環境を引き継ぐためのNPOを運営しています。地域の皆さんと、「地域で子育て」を日々行っています。"普通のおばちゃん"の活動をお伝えしていきたいと思っています。

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