2014.11.24
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地域でできること、地域だからできること <地域組織の役割とは>

NPO法人まどり 代表理事 水木 千代美

大学生と一緒に楽しいお昼ご飯 年齢別のゲームラインが引かれた輪投げコーナー モグラたたきコーナー(中の子どもが見えますか?)
 

地域組織が行うべきこと

 吹田市には青少年対策員会という組織があり、佐竹台も佐竹台地区青少年対策委員会が、吹田市と自治会からの補助金を受けて、子どもたちの健全育成のための活動を行っています。その活動の主軸となっているのが青少年指導員です。これは各小学校校区につき5名が吹田市から委嘱されて活動します。私が指導員をしていた2011~13年度の3年間の活動において、いつも心にあったのが、前回書いた、参加したくてもできなかった子どもたちのことでした。行事案内は保護者が申込書を提出する形のものが多く、どうしても意識の高い保護者の子どもが参加することになります。それが悪いと言っているわけではないのですが、地域団体としては、申込書を提出する余裕のない家庭の子どもも、子ども自身が参加したいと思えば、参加できる行事を行うべきだと思っていました。今回は、それを踏まえて行った行事のご報告をしたいと思います。
 

キッザニアかもinさたけ2011

「キッザニア」という体験施設が子どもに人気です。それを真似して企画したのがこの行事です。「かも」をつけたのは、キッザニアとは似ても似つかない規模であること、また、名前そのままだと問題かな?と思って、「かも」をつけた次第です。
 この行事は、子どもたちはお店屋さんとお客さんの二つの参加の仕方があります。お店屋さんは準備にも参加しなければいけないので、こちらは申込制です。カレー、ラーメン、おしるこ、わたがしなどの食べ物屋さんとゲームコーナーなどの遊びのブースがあります。申込時に希望を書いて提出してもらって係を決めます。お店屋さんは前半と後半に分けて、どちらかでお客さんとして遊べます。仕事をすると、その日使える「さたけ通貨」がもらえます。ちなみに100さたけ札はドル紙幣のデザインで顔写真が校長先生、50さたけ札は教頭先生で作りました。これが結構子どもたちに人気で、持ち帰る子どももいたほどです(笑)。お客さんとして参加する子どもは、お金と換金できるものを持参して、銀行で両替します。換金できるものは、牛乳パック、使用済みカード類、書き損じはがき、アルミのプルトップ、ベルマークなど、福祉施設や社会福祉協議会で引き取ってもらえるものであり、誰かの役に立つもので、子ども自身が集められるものです。申込制ではないので、参加したいと思ったら、自分で何かを集めて持ってくれば遊べます。しかも、遊ばせてもらっているのではなく、遊べる権利を持ってくるわけですから、参加しているという意識も生まれます。狙い通り、普段なら参加しないだろう子どもが来たときには“よっしゃ!やって良かった!”と思いました。
この行事で学んだこと
この行事で心に残った出来事は、輪投げコーナーでのことでした。このコーナーは上級生の男子を中心に配置していたので、水の入ったペットボトルと輪とカラーのガムテープなどの材料を渡して、「ここはまかせた!」と放置。すると、年齢に応じで投げる位置を設定するなど、子どもたちで工夫してルールを作っていました。任された誇り、楽しんでもらえたという自信のせいか、このコーナーの子どもたちが、いちばんイキイキとしていたと思います。子どもの力の引き出し方を学んだ出来事でした。
 

キッザニアかもinさたけ2012

 この行事は子どもたちの支持を得て、翌年も開催しました。この年は、関西大学の学生さんの協力を得て、さらに大規模に行いました。事前に子どもたちにどんなお店をしたいかのアンケートを行い、ゲームコーナーを作ることになりました。それに参加する子どもを募り、ゲームコーナーをつくるところから参加してもらいました。5班に分かれ、どんなゲームを作るかを考え、大学生のサポートを受けつつ作りました。モグラたたきをつくるという班があり、どんな風に作るのかなと思っていたら、大きな段ボールに2人の子どもが寝そべって入り、下から手を出すというもので、その楽しい発想には驚かされました。
この行事で学んだこと
 この年もお店屋さんは、前半後半の二部制ですので、どちらかで遊べます。本番数日前に、ゲームコーナー担当だった男の子のお母さんから、当日用事が入ったので係の時間だけ参加しますと連絡がありました。担当はいいので遊んでもらっていいですよ、とお伝えしたのですが、「子どもが仕事をしたいと言っているので」とお返事があり、当日その子は満足そうななんとも言えない顔でお店屋さんをしていました。
 エピソードをもうひとつ。この日、食べ物屋さんの中に、カレー屋さんとラーメン屋さんがありました。カレー屋さんはご飯が売切れ、ラーメン屋さんは少し売れ残っていたんですね。そしたら、女の子2人がカレーラーメンと銘打って、お盆に載せて、売り歩き、完売。お店でお仕事をしてもらえる給料は決まっているので、売り切っても売り切らなくても同じ額です。それなのに、売り切るためのアイデアをだした子どもたち。生きる力を見せてくれたとともに、大事なことを教えてくれた子どもたちでした。
 
【写真の説明(左から)】
・大学生と一緒に楽しいお昼ご飯
・年齢別のゲームラインが引かれた輪投げコーナー
・モグラたたきコーナー(中の子どもが見えますか?)

水木 千代美(みずき ちよみ)

NPO法人まどり 代表理事
次世代にmよりよい環境を引き継ぐためのNPOを運営しています。地域の皆さんと、「地域で子育て」を日々行っています。"普通のおばちゃん"の活動をお伝えしていきたいと思っています。

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