2014.10.26
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不登校の子からの学び

ほしのむらのがっこう 学校管理者 松浦 博孝

 

また前回の続きから

今回で13回目の掲載となります。大阪の松浦です。よろしくお願いいたします。

 前回は、言葉の難しさについて考えることができたお話をご紹介させて頂きました。

 今回は、不登校の子のひと言から学んだお話をご紹介します。

不登校についての活動

 学生時代に力を入れた活動に不登校についての活動があります。心の教室相談員や適応指導教室訪問など不登校に関連する様々な活動に参加しました。その一つに「ふれ愛フレンド」という不登校児童生徒と関わるボランティア活動がありました。大阪府教育委員会が主催する活動でした。

学生時代の教育活動の中で、私が一番よく活動的に行ったふれ愛フレンド活動の3年間を通して、学校、家庭、適応指導教室の訪問でいろいろな不登校の子どもたちと保護者の方々に出会いました。また、それに関わる学校の先生方にもお世話になりました。

ある時、活動のまとめとして大阪府教育センターにて中学校新任生徒指導主事研修の講師をさせて頂くことになりました。その時の「不登校児童生徒との対応で学んだこと」として3つにまとめたものを以下に紹介したいと思います。

 

1.決して焦らずに少しずつ距離をつめること(手紙・メール・FAX・電話などから始めていく)

2.趣味を合わせること(好きなスポーツやテレビ番組の話や本など、一緒に行えたらさらに有効)

3.自分を語ること(自分の人生の挫折経験やそれを乗り越えた経験を語る、他の人のことでもいい)

 

 

 上記のことは、私が初めて不登校の生徒A君と出会って失敗した経験から学んだことです。そのA君の事例を以下に紹介します。ただし上記が全て当てはまるとは限りませんので、あくまでも参考として考えて頂ければ幸いです。

不登校の子からの学び

A君は、学校の教室へは入ることが出来ずにいました。ただ体を動かすのが好きだったので、近くの体育館に時間を決めて遊ぶ活動をしていました。メンバーは、同じ学校の不登校の子どもたちと学校の不登校対応の先生でした。

私がA君に最初に紹介された時は、目は合わさずに下をうつむいたままで、ひと言も話をしてくれませんでした。私は、自己紹介をしていきなり握手をしました。少し驚いた様子でしたが、恥ずかしそうにしていました。急に会うのが難しいので、活動を通して一緒に運動する中で、少しずつ会話を増やしていきました。電話も家の方にするようになりました。サッカーが好きなことがわかり、一度、一緒にサッカーしようということになり、二人でサッカーをすることとなりました。いい感じになってきて調子にのり、立て続けに約束をしたら、電話でAくんに

「松浦先生と会うのはしんどい」

と言われ、しばらく音沙汰がなくなってしまいしました。とてもショックだったと同時に、調子に乗ってしまった自分に気づくことができました。

それからは、焦らずにサッカーだけでなく、手紙を書いたり、本を紹介したり、自分のことも語りました。特に自分の挫折経験や他の人の苦難を乗り越えた経験は、非常にA君の心に響いたような気がします。

 

日々の小さな積み重ねが大事であることを中心に多くのことを私は、A君から学びました。それらは、不登校の子どもだけでなく、すべての子どもにもあてはまることだと思います。Aくんから学んだことを大切にしながら教育活動を展開しています。

松浦 博孝(まつうら ひろたか)

ほしのむらのがっこう 学校管理者


社会人経験を得て「であい・つたえあい・つながりあい」をテーマに子どもとともに学ぶ子どもから学ぶ教育活動を展開。様々な学びの場へ自分から積極的に参加して常に教育者修行を行う。同時に様々な武道修行も行っているサムライ教育者。

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