2014.05.23
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青少年教育施設のボランティア

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長 松村 純子

 5月17日・18日の1泊2日で「ボランティア養成事業」を実施しました。

 青少年教育施設で実施している「ボランティア養成事業」の様子をお話したいと思いますが、その前に、ボランティア活動そのものについて簡単に説明したいと思います。

 

ボランティア活動の特徴

 ボランティア活動への関心が、急速に高まったのは、生涯学習審議会答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」(平成4年)でボランティア活動についての提言がなされ、当時の文部省がボランティア活動推進の施策を打ち出したからです。

 ボランティア活動の特徴として、自発性・無償性・公共性・先駆性・継続性があげられます。

(1)自発性は、人から強制されずに自由意思で行うことです。

(2)無償性は、最近は報酬を目的としない、求めないと考えるようになってきています。例えば、交通費や食事代などの実費はもらってよいとする考え方や多少の謝金はもらってもよいとする考え方などがあります。また一切を受け取ってはいけないという考え方もあり、無償性の考え方は人様々となっています。

(3)公共性は、不特定多数の人を対象とするという意味で自己に関係する人々のみに対する行為は含まれません。

(4)先駆性は、多くの人がまだ行っていない行為を開発したり、率先して行うことを言います。

(5)継続性は、ボランティア活動は継続的に行うことが大事だと考えられています。1回だけだとボランティア活動と言わないのか?と言えば、そうではありませんが1回で止めずに社会や他の人のために継続的に活動を行う意志持って欲しいと言うことです。

 

ボランティア養成事業

 国立の27教育施設は、ボランティア養成共通カリキュラムのもと「ボランティア養成事業」を実施しています。

 教育施設では、様々な事業を行っていますが、参加者である幼児や児童のお兄さん・お姉さんとして子どもたちのグループリーダーとして活動する場合が多いです。

 近隣の大学生を中心に毎年3月4年生が卒業し、4月に1年生を迎えるという循環になっているので、ほぼ同じ人数のボランティアが各教育施設にボランティア登録をしています。

 都市型施設であるオリンピックセンターは、平成26年度4年ぶりに「ボランティア養成事業」を再開しました。

 開催していなかった期間があるということは、上記のボランティア活動の特徴の(5)継続性がとぎれてしまったので、今年の広報活動は、大変でした。

 以前は、30人募集のところ、倍の60人もの応募があった時代もありましたが、空白の期間があるため、新規事業の立ち上げと同じ気持ちでした。なかなか応募が増えなかったので、都内の大学に出向き、事業の案内をさせていただくなど奮闘し、おかげさまで30人の申し込みがあり、当日は27人の参加がありました。

 

プログラム内容

 ボランティア養成共通カリキュラムは、4領域13時間の講義と演習で構成されています。4領域とは、「青少年教育の理解」「ボランティア理解」「ボランティア活動の知識・技術」「青少年教育施設」となっています。

 それでは、実施したいくつかの内容を紹介したいと思います。

 

「オリンピックセンター博士になろう!」

 「ボランティア活動の知識・技術」は、各施設の特性に応じた活動に必要な知識・技術の習得を学ぶものです。

 今回は、オリンピックセンター内の施設の設備、利用方法を知るためにオリエンテーリングを実施し、ゴール地点の野外炊事場で野外炊飯を行いました。

 オリンピックセンターは、とても広いのでボランティアになると参加者に各棟の案内もしなければなりません。まず施設を知ることがボランティアのはじめの一歩です。今回はお風呂等も含め、特に施設内のAEDの設置場所を把握する事は、とても大切なことであり、危機管理の意識も持てるよう設定しました。

 ただ、施設を確認するだけでは楽しくありませんので、グループのメンバーと楽しく活動できるように各棟のポイントに記号をおき、最後に文字が完成するという遊び感覚も取り入れました。

 

 ゴール地点の野外炊飯ですが、野外炊飯の定番でもあるカレーを作りました。多くの小学生が宿泊体験学習でカレーを作るのは、およそカレーは失敗しないからです。

 もともと子どもたちは、カレーが好きということもありますが、多少水が多くスープカレーになろうが、焦げて苦くなろうが、大抵みんな美味しかったと言って終わる事ができます。

 しかし、おもしろいのですが、決してみな同じ味にはなりません。これはとても不思議な事です。どうしてなんでしょう?でもまたそれがとてもおもしろいです。

 

 スタッフ用に1皿多く作っていただいたのですが、どの班も同じ量の材料で作ったにも関わらず、ご飯の硬さもカレーの味もみな違いました。

 スタッフがごちそうになったお礼にコメントを発表しましたので、紹介します。

 1班 米ぴか賞(お米が本当にぴかぴかに光っていて、おいしかったです)

 2班 おふくろの味で賞(グループに主婦の方が2人いました。まさに家で食べるお母さんのカレーの味でした)

 3班 バナナで賞(リンゴを隠し味につかうことはありますが、デザートのバナナを隠し味にしようと試みたようです。隠

    し味というより、前面にバナナの味が引き出されていました)

 4班 こいまろ賞(一晩おいたほどカレーの味が濃く、まろやかでした)

 5班 私大好きで賞(この賞は、今回野外炊事を担当した係長が、この味がいいと独断でネーミングしました)

やはり、「同じ釜の飯を食べる」という活動は、子供だけでなく大人のグループも一つにするんだなぁと再認識しました。

 子供たちの野外炊飯でも、ユーモアのある「○○賞」を読み上げるだけで、きっと盛り上がるでしょう。

 

「救命救急法」

 もう一つの演習として、渋谷消防署による「救命救急法」を学びました。3時間の心肺蘇生やAED、異物除去、止血法などを学ぶ「普通救命講習」を受けることで「技能認定証」が交付されます。

 ボランティア活動中に万が一何かがあっても講習を受けていることで、落ち着いて行動できればと考えます。しかし、忘れないために繰り返し講習を受けることも大切でしょう。

 

 他の講義等も受け、無事に「ボランティア養成事業」が修了し、学生だけでなく、社会人のかたもボランティア登録をして頂きました。

 新制度1期生のみなさんが、オリンピックセンターで継続的に活動してくださることを期待しています。

松村 純子(まつむら じゅんこ)

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長
元小学校の教師です。勤務地の異動に伴いしばらくお休みをしておりましたが、2年半ぶりの再登場です。「青少年の体験活動の重要性」を発信したいと思います。




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