2014.05.07
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職員研修 part2

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長 松村 純子

新任事業系職員研修

 私の所属する企画課の指導者養成係は、青少年教育施設職員の研修だけでなく、教員免許状更新講習のような学校教員を対象にした事業も、ボランティア養成のような学生対象の事業もしています。

 本年度最初の事業は、「新任事業系職員研修」です。前回人事課が担当した「新規採用職員研修」のことを書きましたが、今回は、指導者養成係が担当した「新任事業系職員研修」について書きたいと思います。

 

 そもそも「新任事業系職員」とは、何なのかという説明が必要だと思います。

 地方に27ある国立青少年教育施設の職員の中で、事業を企画・実施したり、施設を利用する利用者に直接対応する職員を事業系職員と呼びます。 
 事業系職員は、青少年教育振興機構で採用された職員の他に、施設近県の学校教員の方たちが「出向」(籍を県の教育委員会に残したまま、他県等で働く)という形で勤務しています。

 また、施設が設置されている県にある国立大学からも事務系を中心に職員として、「出向」しています。

 本年度の「新任事業系職員研修」は、4月21日から23日の2泊3日で実施しました。

 私は、「事業系職員の職責」という話をしましたが、そこで話したことを少し紹介します。

 

青少年教育施設職員に必要な専門的能力

 一番難しい問題は、青少年教育施設職員の専門知識とは何かということです。

 指導系職員として、必要な専門的能力を、知識・技術・指導力の3つに分けて話しました。

 

 最初に、身につけておきたい「知識」は七点あります。

 (1)青少年の現状や課題などの青少年教育に関すること

 (2)生涯学習・社会教育・学校教育に関すること

 (3)教育行政の動向に関すること

 (4)自然体験活動、環境学習、ボランティア学習、国際理解に関すること  

 (5)設置されている地域の歴史、風土、自然環境、学習資源に関すること

 (6)安全対策・安全教育に関すること

 (7)法規や予算に関すること

 学校も青少年教育施設も大切な命を預かっているという点は、同じです。施設は、宿泊を伴いますし、自然体験活動は危険を伴いますので、特に安全は大事であると伝えました。

 また、一つの事業でも、学級会計の何十倍もの予算を動かします。事業系職員は、事業を実施していればいいというのは、間違いです。自分の担当する事業の予算がいくらで、その処理もできて一人前だと思います。

 

 第二は、「技術」です。

 各施設で必要とされる技術は、異なりますが、その技術を「自分ですることができる」→「見せることができる」→「指導ができる」まで高めることです。

 教員は、採用された瞬間に「指導ができる」まで高めなければなりませんが、施設職員も喫緊に技術を高める必要があります。

 

 第三に、「指導力」です。

 対象者の年齢や活動目的に合わせて、柔軟な指導・支援ができる力が必要です。

 そのために、対象者を理解するための観察力・会話技術・カウンセリング・ファシリテーションといった指導・支援力が必要となります。

 これもまた、教員と同じ力が必要です。

 

 この他に、企画指導専門職には、事業を企画・運営するために、企画力・マネージメント能力・評価力なども必要となります。 

 

指導系職員に求められる資質

 指導系職員に求められる資質として6点あげられます。

(1)知識・技術の習得意欲が、旺盛であること。

(2)自然を愛し、感動するこころを持ち、好奇心が旺盛であること。

(3)ホスピタリティに富んでいること。

(4)物事を客観的に捉え、適切な判断ができること。

(5)先見性に富み、発想が柔軟であること。

(6)人間関係を大切にし、コミュニケーションを適切に図ることができること。

この6点は、教員にも共通する資質だと思います。

 

シュンギク

 ホウレンソウという言葉は、みなさんご存じだと思いますが、報告・連絡・相談のことです。報告・連絡は職務上の義務です。

 特に失敗した時こそ報告は必要です。

 相談についてですが、是非職場に何でも話せる人を作って置くことです。一人で悩まないように・・・

 そこで、ホウレンソウはもちろん大事ですが、新人と言われる時代は、シュンギクであって欲しいと思います。今は、スピードの時代です。シュンギクとは、「瞬時に聞く」ということです。

 わからないことが多い今、まさに「今でしょ」のタイミングで、わからないことをわからないままにせず、聞く癖をつけて欲しいと伝えました。

 

 こう書いていくと、教員も事業系職員も共通していることがたくさんあります。

 出向期間で、得られた知見は、学校や大学等に戻られても必ず役に立つと信じていますが、戻って活かすという気で3年間過ごさなければ、何も気づかないかもしれません。

 この研修後、新任事業系職員の方たちが、1年間で、専門的能力(知識・技術・指導力の3つの力)を身に付けてくれることを願っていますし、どんな力を付けてくれるか楽しみにしています。

 本部から新しい仲間を支援していこうと思っています。

松村 純子(まつむら じゅんこ)

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長
元小学校の教師です。勤務地の異動に伴いしばらくお休みをしておりましたが、2年半ぶりの再登場です。「青少年の体験活動の重要性」を発信したいと思います。




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