2014.04.21
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新任研修について

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長 松村 純子

 皆さんの学校に、この4月新任の先生は入られましたか?

 ここ二・三年は、団塊の世代が退職することから、採用が増えていると聞いています。

 もちろん、新任研修は、教育委員会の指導課が計画していると思いますが、教員は日々の学校生活の中で、先輩から学ぶことが多いと思います。いわゆる「On the Job Training」と呼ばれるものです。

 現場で上司や先輩が指導役となり、実際の業務を行う中で必要な知識や技能を身につけさせていくことですが、誰でも新人時代を通り抜けてきたわけですから、自分の新人時代を思い出し、良いアドバイスをしながら、夢多き新人を大切に育てて欲しいと願います。

 社会教育現場で、どんな研修をしているか少し紹介します。

 

新規採用職員研修

 私の所属する青少年教育振興機構でも、今年は10人の新任職員が入り、人事課が担当して4月14日から18日までの5日間、新規採用職員研修を実施しました。

 研修のプログラムは、理事長の「新任職員への期待」の講話に始まり、法制度、本部各課の業務の説明、ハラスメント、メンタルヘルス、ビジネスマナー等社会人として最低限必要な内容になっています。

 10人のうち、本部勤務が5人、地方施設勤務が5人です。私たちは全国転勤となりますので、全員が施設で働くために必要なスキルとして、朝のつどい・夕べのつどい、野外炊事等の技術を高める研修も行いました。

 最終日には、先輩職員との意見交換後、5日間で学んだことを一人ずつ発表しました。私も発表の場に参加しましたので、新規採用職員の発表から気づいたことを書きたいと思います。

 

 新規採用職員のFさんは、採用前の面接時に、レポートの中に書いた目標と、今の目標は少し違うと発表していました。これは、研修を受け自分自身の中に変化がおきたからだと述べていました。事前に考えていた組織の業務と研修を受け初めて知った組織の沢山の業務に驚くとともに、学生だった時の自分の情報量がいかに少なかったにも気づいたようです。

 これは、学校教員にも通じることだと思います。

 大学の授業で学んだこととのギャップに驚き、教育実習では見えなかった細かいことに気付くことでしょうが、現実を知り目標を立て直すことは必要なことですから、前向きに考えていくべきでしょう。

 

 また、Mさんは、大学院も含めて、19年間学校に通い学んできましたが、研修の中で野外炊飯を行い、いかに体験活動をしてこなかったかに気づいたそうです。

 薪でごはんを炊くには、どれくらい水を入れたらいいかわからなかったと言うのです。家庭科の授業で炊飯器を使ってごはんを炊き、家に帰っても炊飯器でごはんを炊いているので、釜でご飯を炊く方法を知らず、このままでは、自分は炊飯器がなければ、ごはんが食べられないと思ったそうです。

 今回の研修から、自分の自然体験活動のスキルの足りなさに気付いたと話しました。今回の体験を活かし施設でも経験を積んで欲しいと思いました。

 

 体験活動の大切さを頭ではわかっていても実際に体験していないと本当には、その大切さを理解できないのだと思います。

 これも、学校教員に通じることだと思います。

 授業中に子どもたちに体験から学ぶことが大切だといくら言っても、実際に体験する場を設定しなければダメなわけです。

 では、体験活動の場を積極的に設置する先生はどんな先生かと言うと自ら色々なことを体験している先生なわけです。

 

 夏には、東京都教職員研修センターの初任者研修のお手伝いをさせていただくことになっています。

 今回は、高校の初任者の方たちを対象として行いますが、義務教育の小学校・中学校教員だけに体験活動が必要なのではなく、高校教員にとっても今回のFさんのように体験活動の大切さを身を持って体験できるプログラムを用意したいと思っています。

 研修の結果は、夏にまた紹介したいと思います。 

松村 純子(まつむら じゅんこ)

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長
元小学校の教師です。勤務地の異動に伴いしばらくお休みをしておりましたが、2年半ぶりの再登場です。「青少年の体験活動の重要性」を発信したいと思います。




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