2014.02.26
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これからの土曜日や放課後等の教育支援について

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長 松村 純子

 文部科学省に設置された「土曜授業に関する検討チーム」における検討結果の最終まとめが、平成25年9月30日に出されました。今回は、これからの土曜日や放課後等の教育支援について、説明したいと思います。

 

学校週5日制の趣旨

 学校週5日制は、学校・家庭・地域の三者が互いに連携し、役割分担しながら社会全体として子供を育てるという基本理念の下、平成4年9月から段階的実施を経て、平成14年度から完全実施されています。

 平成4年9月から月1回土曜日が休みとなり、平成7年4月から月2回土曜日が休みとなり、平成14年4から完全学校週5日制が実施された経緯は、みなさん既にご存じだと思います。

 

児童生徒の土曜日の過ごし方

 平成25年度全国学力・学習状況調査の中で、土曜の過ごし方について児童・生徒に質問しています。

 その結果、学習塾や学校・家で勉強している(約20%)。習い事やスポーツ地域の活動に参加している(約27%)。家族と過ごしている(16%)。と充実した過ごし方をしている子供たちが約8割いる一方、家でテレビやビデオ・DVDを見たり、ゲームをしたりしている(約22%)。とただ何となく過ごしていたり、ゲーム等で一日中過ごしている子供たちが約2割いる事がわかりました。

 

土曜授業の実施に係る学校教育法施行規則の一部改正

 公立学校の休業日については、学校教育法施行規則第六十一条で規定されています。ただし、「特別の理由のある場合は、この限りではない」と明記されています。

 近年、一部の地域では、授業時数の増加や、保護者や地域に開かれた学校づくりの観点から、設置者の判断により、土曜日に授業を行う学校も見られます。

 土曜日において、子供たちに、これまで以上に豊かな教育環境を提供し、その成長を支えることが重要です。そのためには、学校・家庭・地域の三者が連携し、役割分担しながら、学校における授業、地域における多様な学習、文化やスポーツ、体験活動の機会の充実に取り組む事が重要です。

 このような観点から、設置者の判断により、土曜授業を行う事が可能であることをより明確化するため、「当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が必要と認める場合は、この限りではない」と学校教育法施行規則の一部が改正されました。(平成25年11月29日に公布・施行)

 

土曜日の教育活動について

 子供たちの健やかな成長のためには、土曜日の教育活動を豊かなものにする必要がありますが、土曜日の教育活動については、その実施主体や扱う内容等により、いくつかの形態に整理できます。

 (1)「土曜授業」

 児童生徒の代休日を設けずに、土曜日を活用して教育課程内の学校教育活動を行うのが「土曜授業」と呼ぶものです。

 (2)「土曜の課外授業」

 学校が主体となった教育活動であるものの、希望者を対象として学習等の機会の提供を行うなど、教育課程外の学校教育を行うのが「土曜の課外授業」と呼ぶものです。

 (3)「土曜学習」

 教育委員会など学校以外の者が主体となって希望者に対して学習等の機会の提供を行う「土曜学習」と呼ぶ形態があります。

この「土曜学習」については、主体が公的なものと主体がNPO法人等公的でないものがあります。

 

 文部科学省としても、「土曜授業」だけでなく、「土曜の課外授業」や「土曜学習」の機会の充実等により、総合的な観点から子供たちの土曜日の教育環境の充実に取り組む事が重要であり、その振興に取り組んでいきたいと考えていると述べています。

 

土曜日の教育活動推進プロジェクト

 平成19年度より、実施されている「放課後子どもプラン推進事業」は、継続して実施されます。この放課後子供プランの中に、文部科学省が実施する「放課後子供教室」と厚生労働省が実施する「放課後児童クラブ」が存在しています。

 「放課後子供教室」は、平成25年度10,376教室開催されました。これは、全公立小学校区の51%にあたります。「放課後子供教室」は、地域住民の参画により、放課後や週末等に子供たちに学習や様々な体験・交流活動の機会を提供しています。全公立小学校区での実施が100%になれば全ての子供たちに体験・交流活動の場が提供されるというわけです。

 

これからの土曜日や放課後等の教育支援について

 先生方にお伝えしたいのは、これからの土曜日や放課後等の教育支援については、「土曜授業」を行って先生方だけが担うのではなく、「土曜の課外授業」や「土曜学習」の実施にあたっては、「地域住民の参画」がキーワードになっていると言うことです。

 私たち社会教育に携わる者も、教育活動サポーターや教育活動推進員等の土曜日教育ボランティアの養成・研修のお手伝いをしたいと思います。そして、子供たちの健やかな成長のために土曜日の教育活動が充実するよう支援したいと思っています。

松村 純子(まつむら じゅんこ)

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長
元小学校の教師です。勤務地の異動に伴いしばらくお休みをしておりましたが、2年半ぶりの再登場です。「青少年の体験活動の重要性」を発信したいと思います。




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