2014.02.07
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『たかが集団行動』『されど集団行動』(by清原信彦)

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長 松村 純子

  

 「集団行動」と聞いて、皆さんは何が浮かんだでしょうか?

 近年、テレビで取り上げられる事が多い、日本体育大学の「集団行動」や小学生の「集団行動発表会」を思い浮かべた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

日本体育大学の「体育研究発表会実演会」

 昨年の事になりますが、2013年11月14日木曜日に、横浜アリーナで行われた日本体育大学の「体育研究発表実演会」を実際に見るチャンスを得ました。

 日本体育大学では、日頃の練習成果を発表するために、「体育研究発表実演会」を2年に1回、行っています。2011年、「第50回体育研究発表実演会」で、初めて女子だけの「集団行動」を披露しました。私は、一糸乱れぬ行進をはじめ、交差行進、バックでの行進など難易度の高い数々の演技をテレビ番組で見てから、一度実際に見てみたいと思っていました。

 

 当日、会場の横浜アリーナは、11,000人の観客の熱気にあふれていました。

 「体育研究発表実演会」ですから、体操をはじめ、様々なスポーツの発表があり、クライマックスの「集団行動」になると、会場中が待ってましたと言わんばかりの興奮に包まれました。

 45人の学生が、一糸乱れぬ行進をして、4列から3列へ、そして2列へと隊列を組み替えます。左右に分かれた2組がぶつかることなく交差し、後ろ向きで行進をしたかと思えば、これもまたぶつかることなく交差をするという、感動のパフォーマンスが目の前で繰り広げられ、日本体育大学の寮生有志による男女混合チームの「集団行動」は、11分間の圧巻でした。

 鳴り止まぬ拍手。控え室のカメラが本番を終えた学生の涙や感動の表情を写し、会場にも流れ、また感動を呼びました。

 

 『たかが集団行動』『されど集団行動』

 「集団行動」を指導されている清原伸彦先生は、「集団行動」について以下のように述べられています。

 「児童・生徒たちの学校生活(行事など)において、一人ひとりが身勝手で仲間に迷惑をかけたりすることが事故につながる要因ではないかと考えます。その原因は、集団での基本のあり方と理解の意識、安全教育の欠如ではとも考えています。社会の風潮として『自分さえよければいい』という考え方を持った人達が目立つ今日、その環境で育つ児童・生徒が無神経になると言っても過言ではないと思います。安全な生活は『人に作ってもらう』のではなく『自らが意識し行動する』事にあると思います。私たち老若男女問わず、生きる・生活する基本として『心が触れ合える』『助け合える』環境をこの集団行動を通して少しでも身近なものに感じていただければと思っています。『たかが集団行動』『されど集団行動』を合い言葉に取り組んできました。」

 

広がる「集団行動」

 日本体育大学生は、大学に入学して2週間のオリエンテーションの中で全員がこの「集団行動」を習うそうです。

 学校現場で、運動会の入場行進がなくなり、児童席から朝礼台前に直接並ぶようになるなど練習時間の短縮に伴い、「集団行動」を重視しなくなったのではないかと私は感じていました。

 しかし、日本体育大学の「集団行動」が、テレビで取り上げられ、社会現象にもなると小学生の「全国集団行動発表会」が2012年から行われるようになり、2013年大会の様子が2014年1月26日にテレビで放映されました。

 

 「集団行動」は、全国各地に広がっているようです。全国各地の体育祭で「集団行動」が行われていたこともテレビ番組で取り上げていました。

 清原先生も述べられていますが、今の子供たちには、「集団での行動の基本」を学ぶ事が必要なのではないでしょうか。そして「集団」を自らが意識し行動する事が必要だと思います。

 

「集団行動」を学べる集団宿泊学習

 もちろん、「集団での行動の基本」を学ぶ機会は、「集団行動」だけではありません。

 同じ釜の飯を食べ、同じ屋根の下に寝るという集団宿泊学習は、「集団での行動の基本」が学べる絶好の機会です。

 是非先生方には、青少年教育施設を利用した集団宿泊学習を「集団での行動の基本」を学ぶ場として有効に活用していただきたいと願います。

松村 純子(まつむら じゅんこ)

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長
元小学校の教師です。勤務地の異動に伴いしばらくお休みをしておりましたが、2年半ぶりの再登場です。「青少年の体験活動の重要性」を発信したいと思います。




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