2013.12.16
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ミクロネシア諸島自然体験交流事業(3)「無人島での野外生活体験!」

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長 松村 純子

   

 今回は、「無人島での野外生活体験」のプログラム内容について書きたいと思います。

 360°海に囲まれた小さな無人島で2泊3日過ごした子供たち。学校の教室では見せない顔を見せた子供たち。

 そんな子供たちが参加した社会教育事業で実施している自然体験活動を是非知っていただきたいと思います。

 先生方は、夏休みなどの長期休業後の新学期の教室で、社会教育事業に参加した子供たちの体験談を聞いてくださっていますか?

 1.食器洗いは、砂と海水

 無人島では、なぜか日本より時間の流れがゆっくり感じました。子供たちの一番人気は、ヤシの木にかかっているハンモックです。ふと見るとメンバーの誰かしらがハンモックでゆったりしている姿が見られました。たまには一人でのんびり過ごす時間もいいものです。

 また、無人島では、水が貴重です。シャワーはスコール。トイレを流すのも海水です。食事後の食器は、各自が海で洗います。無人島では、洗剤の代わりに砂を使い、海水で洗い流します。砂と海水でピカピカにきれいになります。

 無人島では、食べ物を地面に落とすと「ヤシガニ」が落ちた食べ物を食べて、どんどん島を荒らすので、残した食べ物や食べかすは海に流し、魚のえさにします。洗い場としていた場所で、お皿を洗っていると魚がえさを求めてどんどん寄ってきました。 

2.カラフルな魚たちに大興奮

 無人島の周りの海には、カラフルな魚が見え、それだけでもうワクワク・ドキドキです。

 子供たちは、日本から「水中メガネ」「シュノーケル」「フィン」を持参したので、無人島に着くと「海に入りたーい」の声、声、声。

 映画「ファインディンク・ニモ」のモデルとなった「クマノミ」も沢山見ることができ、とにかくカラフルな魚たちのパラダイスでした。

 自然体験活動は、安全に行うことが基本です。シュノーケリングは、子供たちを泳力別に3グループに分け安全に留意し、無人島にいる間は、思う存分楽しみました。

 3.運動会は「UNDOUKAI

 無人島最終日は、チュークの指導者の方の企画で「運動会」を行いました。なんとチュークでも「運動会」は「ウンドーカイ」で通じます。「綱引き」も「ツナヒキ」で通じるのです。

 小雨が降る中、ボール送り・綱引き・リレー・バレーボールと日本の子供たちとチュークの子供たちそして指導者も参加し、運動会が盛大に開催されました。

 どの競技も言葉は必要ありません。身振りで作戦を伝え合い、勝っては大喜び、負けては悔しがっていました。

 私はと言うと久しぶりの「綱引き」で、本気を出し過ぎ、しばらく腕の震えが止まりませんでした。子供も大人も日本人もチューク人もウンドーカイが大好きです。

4.イルカとの遭遇。そして沈船「鈴木丸」

 ピサール島から、ウエノ島に戻る途中の海上で、沢山のイルカと遭遇し、みんな大歓声をあげました。

 運が良ければ会えるかも?というコーディネーターの言葉に期待しながら、海面を見つめていました。すると私たちの船の前を泳ぐイルカの群れを発見しました。

 驚かさないように船を並走させるとまるで追いかけっこをするように、イルカの群れもついてきます。これには、全員大喜び。

 イルカたちとお別れした後は、シュノーケリングで沈船探検。チューク環礁の中の海底には、艦船が約40隻も眠っています。

 旧日本海軍の航空機運搬船「富士川丸」は、映画タイタニックのロケが行われた事で有名です。富士川丸はとても深い場所に沈んでいるため、子供たちには危険なので、浅い場所に沈んでいる「鈴木丸」を眺めました。

 戦争を知らない私たちがほんの少し戦争の爪跡に触れた時間でした。

5.無人島の生活・・・

 日本の生活と違い、お風呂はありません。男子のトイレは、外にあり懐中電灯は必須です。

 テレビなんてありません。夜、みんなで寝ころんで眺めた満天の星空。

 言葉なんか通じなくても、一緒に遊ぶだけで心が通じたチュークの友だち。

 そんな3日間を過ごしたピサール島。

 

 最後に参加者の作文の一部分を紹介します。

 「言葉は通じないことが多かったけど、笑顔でいれば言葉じゃない別の何かが通じる事もわかりました。楽しい事が沢山あったと思います。僕は、この10日間の出来事を永遠に忘れないようにしたいと思います。」

松村 純子(まつむら じゅんこ)

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長
元小学校の教師です。勤務地の異動に伴いしばらくお休みをしておりましたが、2年半ぶりの再登場です。「青少年の体験活動の重要性」を発信したいと思います。




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