2013.11.08
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ミクロネシア諸島自然体験交流事業(1)「僕らは小さな親善大使だ!」

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長 松村 純子

   

 ミクロネシア諸島は、フィリピンの東からハワイにかけての赤道より北に点在する大小2,000以上の島々からなる地域の総称がミクロネシア諸島です。美しい砂浜、マングローブの森や熱帯のジャングルなど世界でも類を見ない「自然の宝庫」と言われています。

 平成25年夏、日本全国から応募した小・中学生16名のディレクターとして、ミクロネシア連邦のチューク州へ7月22日~8月1日の11日間、行ってきました。(日程は、7月22日~7月31日の予定でしたが、飛行機が飛ばず、1日延長することになりました。)

 今回から何回かにわけて、ミクロネシア諸島自然体験交流事業について紹介したいと思います。

 

1.事業趣旨

 この事業の趣旨は、太平洋諸島に日本の子どもたちを派遣し、自然、異文化及び同世代の人々との交流などの体験活動を行い、子どもたちに自然のすばらしさ、共存することの大切さを学ぶ機会を提供することにより、子どもたちの体験活動の重要性について普及・啓発を図るものです。また、太平洋諸島の子どもたちを日本に招聘する招聘事業も実施しています。

 2002年から実施している事業で、今年度で12年目となりました。本年度は、ミクロネシア諸島地域のマーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦、パラオ共和国に行きました。

 

2.スティックダンス「トキア」

 各地域での主な活動内容は、(1)海や森での体験活動プログラム (2)無人島での野外生活体験 (3)ホームスティ (4)文化交流 です。今回は、(4)の文化交流について、少し書きたいと思います。

 今まで、お互いの国の歌や踊りを披露することで、文化交流を行ってきましたが、チュークの伝統文化を子どもたちに体感させたいと思い、今年度初めて、チュークのスティックダンス「トキア」を体験する機会を作り、学んだ異文化のスティックダンスを発表しようという企画をたてました。

 

 スティックダンス「トキア」は、戦いの前に踊る踊りで、棒(スティック)をぶつけ合い、音を出す勇ましい踊りです。

 4日目のピサール島(無人島)で、スティックダンス「トキア」教えていただきましたが、棒(スティック)を使うので、男の子たちが特に気に入り、進んで活動と活動の合間に練習していました。運動会のダンスとしてもおもしろいなぁとつい思ってしまいました。

 8日目には、フェアウエルパーティが開かれ、州知事夫人や副知事夫妻も参加くださり、この時チュークの伝統のスティックダンス「トキア」を披露しました。チュークの子どもたちより上手だと褒められ、「いつから練習していたのか」と副知事が聞かれるほどでした。無人島の滞在期間に練習したと伝えると誰もかれもが「そんな短期間で」と驚かれました。

 

 

3.チームのめあて「僕らは小さな親善大使だ!」

 また、参加者研修会で、チームチュークのめあてを「僕らは、小さな親善大使だ!」と決めました。団旗を作成することになり、真ん中に「僕らは、小さな親善大使だ!」と書き、その回りを全員の手形で囲み、個人のめあてを書きました。団旗は、チュークのホテルでも無人島でも、いつでもみんなの見える所に貼っておく手だてをとりました。

 子どもたちに注意をする時も、「親善大使は、そんな事はしませんよ」と伝えたり、常に「親善大使の皆さん」と呼びかける事で、子どもたちも自然と「自分たちは、親善大使だよね」と話すようになってきました。

 この声かけの手法はとても有効で、私は期間中大きな声を出すこともなくすごす事ができました。

 

 チュークから日本に戻って「はい。おしまい」では、「体験のやりっぱなし」となってしまいます。

 子ども達には、めあてとした「小さな親善大使」は、自分の体験を皆に伝える事が使命だと話しました。すると団員の一人が夏休みの課題として作成したチューク新聞を送って来てくれました。このような事後報告が沢山届くように、連絡を取り合うことも私たちスタッフの役目だと思っています。

 子どもたちが親善大使として、各学校や所属団体で報告しているのですから、私たちスタッフもこの事業の普及につとめなければなりません。

 

 第二次世界大戦の戦場であったチュークの島の回りには、沢山の船が沈んでいます。今回戦争で沈んだ船のマストを見ることができ、参加している子どもたちも私たちスタッフも戦争の悲惨さを肌で感じることができました。

 平成25年8月17日の新聞に「チュークの沈船の記事」を見つけました。今までだったら、気にかけていたかわかりませんが、今回はすぐ切り抜き、職場のボードに貼ってあります。きっとチームチュークの参加者も目にしたと思いますが、体験を日常の生活に活かせるよう日々の生活の中で今回のチュークの体験を忘れずにいたいと思っています。 

松村 純子(まつむら じゅんこ)

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長
元小学校の教師です。勤務地の異動に伴いしばらくお休みをしておりましたが、2年半ぶりの再登場です。「青少年の体験活動の重要性」を発信したいと思います。




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