2013.03.13
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教育理念の構築

ほしのむらのがっこう 学校管理者 松浦 博孝

自分が変われたきっかけ

 

 今回で9回目の掲載となります。大阪の松浦です。よろしくお願いいたします。

 前回は、私の小学校教員の生き方モデルの先生との出会いから私の教育の1番の柱である「自尊感情」ができたことのお話をご紹介させて頂きました。

 今回は、しんどい状況から見出せた出会いと自分の「教育理念」の構築についてのお話をご紹介したいと思います。自分が大きく変わることができたきっかけでした。

 

しんどい状況を救った

 

 私は、数年前に学級が上手くいかず、しんどい状況がありました。しかし周囲の職場の先輩方のお陰で何とか乗り切れることができました。特に体を張って私を守って下さった先輩がおられました。今でもあの先輩のお陰で今、教師としておられる自分がいると先輩に心から感謝しております。

 ただ自分自身は、情けない教師だと自己嫌悪に陥っていました。自分は駄目教師と自分自身を責めていました。でも先輩方に助けて頂いた思いを持って何とか本当の意味でのプロ教師になりたい気持ちでいっぱいでした。

 そんなある日、本屋で1冊の本に目が留まりました。

「本気の教育でなければ子どもは変わらない(旺文社)」でした。著者は、原田隆史先生です。以前、この学びの場.comの教育トレンドの教育インタビューに登場されています。

 原田隆史先生のお名前は、学生時代に家庭教師先のお子さんが原田先生の勤務されていた中学校へ通われていたこともあり、すごい先生がいると聞いていて知っていました。

 すぐに本を購入し、読むといかに自分が甘いか痛感させられました。今までの自分の子どもたちへの思いの弱さがわかり、いったい何のために自分が教師をしているのかを今一度、考えさせられました。読んだ中で、原田先生のもとに現役の教師が集まって勉強会をしているという情報が書かれていました。その勉強会が「教師塾」です。原田先生と直接、お会いしてお話をしたいと考え、教師塾へ行けるきっかけを探していました。

 ある日、当時、勤務していた市の研修会で、講座を担当していた先生が研修後に何と行きたいと思っていた「教師塾」の募集案内を配布されていました。思わず、すぐに話をさせて頂き、「大阪教師塾」へオブザーバーという形で初めて行かせて頂きました。参加させて頂き、ものすごい衝撃を受けました。こんなに熱い先生方がこんなにもおられるのだとあらためて知りました。ちょうどそこに当時、同じ学年を組んでいた新任さんの恩師の先生がおられたご縁から、その先生が中心となってされている「京都教師塾」に行かせて頂くことになりました。教師塾へ参加するきっかけをつくって頂いた先生、原田隆史先生、京都教師塾の先生方には、心から感謝しております。

 

自分の教育理念の構築

 

 理念は、会社等の企業で多く使われています。もちろん我が国である日本の国の教育にも理念はあります。日本国憲法が定める教育の部分から日本の教育の基本が考えられます。日本の国の教育理念といえる部分は、教育基本法にあります。

「第一章 教育の目的及び理念 (教育の目的) 第一条  教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」とあります。日本の教育方針として、いったい何のために日本の教育を行なっていくのかがよくわかります。

 国の教育方針にとどまらず、都道府県、市町村、自分の学校の教育方針を知った上で、自分の教育理念を考えます。日本といえども各地域、地方で教育には、それぞれの実態があります。学校によっても実態が違うからです。教育理念は、自分の教育観、児童観が反映されてきます。私の最近の教育理念は、ちょうど上の写真の10年経験者研修の課題から平成25年度の学校づくりの「アクションプラン」を作成したものです。

「夢や自尊感情を育む素敵な学校」をメインテーマとして考えて、そこから具体的な教育活動を考えてみました。「人生で自分も周りの人も幸せになれる教育」を柱に「教育理念」の方は、教師塾で学んだ3つの柱「態度教育」「職能教育」「価値観教育」に分けました。具体的活動につなげるために「態度教育」の部分を人生で必要な人間力とし、森信三先生の「時を守り、場を清め、礼を正す」を参考に時間、環境、礼儀にわけました。

「職能教育」は、教育技術の部分ですが、自立する力をつけたくて心情は自尊感情を中心に考え、授業づくり、集団づくりの具体的活動に分けました。

「価値観教育」では、人生設計に必要な目標設定、夢・希望・志といった思い、そして自分を表現する力に分けました。年度や学校、学年、学級など立場が変われば子どもたちの実態も変わるので毎年度、「教育理念」は書き直していきたいものです。

「教育理念」という自分が教育を行う上で柱となることを教育の「哲学」ともいえます。自分の揺るぎない教育の「哲学」を持っていれば、いかなる場面でもぶれることはないと考えます。そこに自分の教育への道が開かれると考えます。私であれば「夢や自尊感情を育む教育」が柱になります。ただ気をつけなくてはいけないのは、自分だけでは、間違った方向へ行く可能性もありますので、常に周囲の方々の意見に聞く耳を持たなければいけません。「教育理念」や「自尊感情」といった言葉は、あくまでも大きなくくりであって、大切なのは、目の前の子どもたちから考えていくことであります。その気持ちを忘れずに目の前の子どもたちと接して人生において大切な事を伝えていきたいです。そして子どもたちからも自分自身が学んで、ともに成長できたら幸いです。

 

さらにつながる出会いが

 

 実は、この教育つれづれ日誌で連載されている先生の中にも原田隆史先生の教師塾へ通われた先生がおられました。「菊池健一先生」です。過去に関東の東京教師塾に参加されていて菊池先生とは直接、お会いしたことはないのですが、この学びの場.comを通して初めて知って、そのお陰で個人的に菊池先生とつながらせて頂きました。ありがとうございました。

 「菊池先生。今後ともよろしくお願いいたします。」

松浦 博孝(まつうら ひろたか)

ほしのむらのがっこう 学校管理者


社会人経験を得て「であい・つたえあい・つながりあい」をテーマに子どもとともに学ぶ子どもから学ぶ教育活動を展開。様々な学びの場へ自分から積極的に参加して常に教育者修行を行う。同時に様々な武道修行も行っているサムライ教育者。

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