2013.02.22
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自尊感情を育む

ほしのむらのがっこう 学校管理者 松浦 博孝

今回は自分の教育の柱を

  

 今回で8回目の掲載となります。大阪の松浦です。よろしくお願いいたします。

 前回は、学びの場.comつながりのお話をご紹介させて頂きました。学びの場.comを通して、いろいろな方々との出会いがありました。

 今回は、私の小学校教員の生き方モデルの先生との出会いから私の教育の1番の柱ができたことのお話をご紹介させて頂きます。

 

小学校教員の生き方モデル

 

 私が1番影響を受けた小学校教員の生き方モデルの先生に出会ったのが大学に編入学してから本格的に授業が始まってからのことでした。大学の授業で生徒指導論を選択した時にその方は私の前に現れました。お名前は園田雅春先生です。現在は、大阪教育大学教授であり、「授業文化を創る会」の代表もされています。

 園田先生は、私が出会った当時、現職の教員をしながら夜間に非常勤講師として大学でも教鞭をとられていました。先生の話は現場の生の話で、子どもの事実を中心とした先生のご講義を一番前の特等席で夢中になって聞いていました。こんな先生になりたいなとはっきりとイメージできた瞬間でした。

 ある時、大学の友人からある施設で「兎の眼」の著者で有名な灰谷健次郎さんの講演会が開催される話をしていたら偶然、園田先生がお聞きになっていて私に

「私も行きたいので連絡してほしい」

と言われて先生の連絡先を教えて頂きました。話の流れで私が窓口になって自然に先生とやりとりをすることとなったのです。後から知ったのですが、灰谷健次郎さんも大阪教育大学第二部の出身で、園田先生のこともよくご存じでもありました。

 恥ずかしながら当時、灰谷健次郎さんのことはあまり知らず講演会後の懇親会で直接お会いした時も灰谷さんに

「大阪教育大学第二部の学生の松浦です。灰谷さんの後輩になります。よろしくお願いいたします。」

と握手をするのが精いっぱいで灰谷さんの情報は知らなかったのです。お会いした後から灰谷さんの著書である「兎の眼」を読んで驚いたことを今でも覚えています。

 その後から園田先生への私の追っかけ活動が始まりました。園田先生の著書を読みあさり、園田先生が講演されるところには、何度も足を運びました。いかにして園田先生に近づけるのかを日々考えながら教師としての自分磨きの修行をしました。特に園田先生の考えの中で一番印象に残り、今でも私の教育の柱になっていることが「自尊感情」についてです。「自尊感情」は自分を大切にする気持ちで、今まさに現代に必要な部分だと感じています。年々自分を大切にできないことや他人を傷つけるようなことが、社会全体の中で増加しています。園田先生の考えは、まさに今の状況を予期したかのような核心の部分を以前からついていたように思えます。だから私は今でも「自尊感情」を大切にしています。

 私にとって園田先生との出会いは、小学校教員として生き方モデルに出会ったことであり、今でも先生が目標となっています。園田先生には心から感謝しています。

 園田先生とのご縁で私は「授業文化を創る会」の事務局を担当させて頂いています。

 

児童の自尊感情を育てるには

 

 私が教員採用試験に合格して教諭として新規採用されたのが、今から約10年前です。ずいぶんと採用試験の面接練習に園田先生が親身になってつきあって頂いたことを今でも覚えています。そのお陰もあり合格できて新規採用された場所は千葉県の君津市でした。

 初任者には、当然のことながら初任者研修がありました。その研修で最初に自分の研究テーマの設定が行われました。そこで私は、園田先生から学んだ「自尊感情」をベースにしたテーマを考えました。テーマは、いかにして児童の自尊感情を育てることができるかにこだわってみました。

 その年の夏には、大阪の民間教育団体である野口克海先生が代表をされている「子ども教育広場」の夏合宿に参加させて頂きました。園田先生も参加されるご縁で参加しました。その時にも2学期からのアクションプランを立てた時に「児童の自尊感情を育てるには」にこだわりました。その時の様子が本になって出版されています。野口先生と園田先生の共著で「若い教師たちの挑戦(三晃書房)」で運良く私の文章も1ページ分ですがP224に掲載されています。その文章を以下にご紹介させて頂きます。

 

 私の合宿中のテーマは、「子どもの自尊感情をいかに育てたらよいか」でした。子どもたちは、他者から認められたい気持ちや自分って結構いけると思える気持ちを持ちたいと常に思っています。誰からも認められず、自尊感情がないと自分は駄目な奴だと自分自身を追い込み、間違った自己表現をしてしまうのではないかと考えます。自分を応援してくれる人や思いやりを持ってくれる人が自分の周りに誰もいなくて、ひとりぼっちになってしまっている。そんな子どもが私たちの周りにはいないでしょうか。

 私は、すべての日常的な積み重ねによって自尊感情が育てられると考えています。日々の子どもとの関わりの中で、子どもたちに対するひと言ひと言が大事になってきます。できるだけ自然な形で、子どもたちに対しての言葉かけや支援ができ、自尊感情を育てていくことができたらと考えています。また、子どもたちだけではなく、自分自身、教師自身も自分の自尊感情を育てることも必要です。子どもたちは大人の背中を見ているものです。これからも、より自分を磨き、子どもたちの自尊感情を高めて育てていきたいものです。

 

 この文章は、私の教育の原点になっています。この合宿へ参加できたのも子ども教育広場の野口克海代表やスタッフの先生方のお陰です。野口先生には心から感謝しています。

 この夏合宿のご縁で、年に1回の夏合宿も毎年のように参加させて頂いています。また「北河内子ども教育広場」の事務局を担当させて頂くことにもなりました。

「北河内子ども教育広場」ブログ

松浦 博孝(まつうら ひろたか)

ほしのむらのがっこう 学校管理者


社会人経験を得て「であい・つたえあい・つながりあい」をテーマに子どもとともに学ぶ子どもから学ぶ教育活動を展開。様々な学びの場へ自分から積極的に参加して常に教育者修行を行う。同時に様々な武道修行も行っているサムライ教育者。

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